第382話 さっきからキレてばっかだけどカルシウム足りてる?
ファフナーはライトの一撃を弾き返すと邪悪な笑みを浮かべた。
「どうしたよ? そんなもんか? もっと私を楽しませてくれ」
「お前が楽しいかどうかなんて知ったこっちゃないね」
「そう冷たいこと言うなって、
「【
手が滑ったと言ってファフナーがヒルダ目掛けて斬撃を飛ばすが、それが届く前にライトは光のドームでヒルダを守った。
ファフナーの能力値はヒルダを上回るので、受け流すように防御してもヒルダがダメージを受ける恐れがあった。
ヒルダを弱点扱いするようで良い気分ではなかったが、それ以上にヒルダがファフナーに傷つけられるところは見たくない。
そう判断したライトは、ヒルダを全方位の攻撃から守れるように【
「チッ、
「そんなことさせる訳ないだろ」
「そうかよ。じゃあ、貴様で遊んでこのイライラを解消しようか」
ファフナーは<
だが、その隙をライトが見逃す訳ない。
「【【【・・・【【
「鬼ごっこかぁ? 遅いぞ」
ヘルムを被った瞬間、ファフナーを狙って射出された無数の光の鎖がファフナーを避けるように通過した。
「サイコヘルムの効果か」
「Exactly」
ライトは<神眼>により、ファフナーが頭に装着したヘルムが
INTが1,000に満たない者が装備すると頭が弾ける代わりに、被ればMPを消費して念じることで物を動かせる。
ファフナーはINTの能力値が余裕で1,000を超えるから、デメリットなしでサイコヘルムの効果を使用できる。
「今度はこっちの番だ。【
「【玖式:
「甘いなぁ」
「お前がな。【
ライトがミストルティンを使った乱舞でファフナーの夥しい数の蹴りを捌くが、ファフナーはサイコヘルムの効果でミストルティンを手前に引っ張り、ライトのバランスを崩す。
そこに握っていたハンプティ・ダンプティで斬りかかるも、ライトはそれを予測していたので光の壁を自分の身を守るように出現させてファフナーの攻撃を防いだ。
サイコヘルムは有用そうに見えて欠点がある。
それは、座標が固定されている物を動かすことはできないということだ。
例えば、落ちている物体を持ち上げることや地面に刺さった者を引っこ抜くことはできたとしても、【
その欠点を見抜いて対策を立てることで、ライトはファフナーの攻撃を防ぐことに成功した。
「バレてたか」
「当たり前だ。僕の目を欺けると思うなよ」
「そうかい。だったらMPの無駄になるから止めだ」
ライトにサイコヘルムを使った攻撃は通じないと悟ると、ファフナーは潔くサイコヘルムを外して<
ファフナーが見せた隙をライトが攻めない理由はない。
「【参式:
「甘いんだよ!」
「【陸式:
「何ぃ!?」
ライトは高速で刺突を放ったが、ファフナーがそれを横に躱したのを見た瞬間に技を【陸式:
突きと見せかけて右薙ぎというところまではファフナーも読めた。
しかし、薙ぎ払いの途中にライトがミストルティンを持つ手を右手から左手にスイッチするのは想定外だったらしく、ファフナーは避け切ることができずに技に当たって右に吹き飛ばされた。
吹き飛ばされたのだが、ノーフェイスもLv80だからすぐに体勢を立て直した。
「なるほど。着想は新撰組の平突きか。大したもんだよ」
「引っ掛かった癖に何様のつもりだよ」
「何様だって? 私こそが絶対強者だ。【
自分を絶対強者だと言ってのけたファフナーは、残像をその場に残してライトの背後に回り込み、そのままハンプティ・ダンプティを振り下ろした。
「想定内さ。【
「また読んだか!?」
自分の思考を読んで防御したライトに対し、ノーフェイスは声を荒げた。
「お前みたいな卑怯者の考えることは、正々堂々から離れたものだ。だから、それに逆張りしてれば余裕で防げる」
「・・・私を卑怯者と呼んだな? 良いだろう。ならば正面からぶち破ってくれる!」
プライドを傷つけられたファフナーは、ライトから距離を取ると保有する全ての
その直後にハンプティ・ダンプティから黒い靄が噴出し、床に散らばっている
「【
黒い靄が瘴気だと気づき、ライトはすぐに部屋全体の空気を浄化した。
そのおかげで、ファフナーの狙いは半端にしか実現しなかった。
「
「【【【・・・【【
床に落ちている
「【
ファフナーは邪魔されて堪るかと闇の波動を放ち、ライトが射出した無数の光の鎖を弾き返した。
ところが、光の鎖と闇の波動の衝突により、地面に落ちていた
ライトに背を向ければ、必ず背後から攻撃を受けることになる。
それがわかっているのでファフナーは後ろに飛んで行った
「貴様に見せてやろう。私のハンプティ・ダンプティの恐ろしさを」
ファフナーはそう言うと同時に、ハンプティ・ダンプティをライトに向かって軽く振るう。
その動作に力はまるで入っていなかったというのに、アルバスの【
しかも、瘴気を纏っているからただ防ぐだけでは瘴気が拡散するおまけ付きである。
ミストルティンで防げば瘴気が舞い、【
であれば、ライトの取るべき行動は回避である。
日々鍛えていた体の柔軟性を発揮し、斬撃をぬるりと躱して前進した。
「単発なら避けられるか。だったら乱発ならどうだ?」
ファフナーはニヤッと笑うと、瘴気を纏わせた鋭い斬撃を軽々と乱発する。
「【壱式:
乱発されてしまうと流石に普通に避けるには厳しいので、ライトは【壱式:
ファフナーと距離を詰めると、仕上げと言わんばかりにライトは振り下ろしを放つ。
「かかった」
ゲス顔をしたファフナーは、ライトの振り下ろしをハンプティ・ダンプティで弾いた直後、ハンプティ・ダンプティでライトに斬りかかる。
だが、ライトの方が行動が早かった。
「【捌式:
「ぐはっ!?」
ライトの2回目の振り下ろしが、ファフナーの攻撃よりも先にファフナーの右肩に命中した。
【捌式:
ライトはファフナーがゲス顔になった瞬間、ファフナーの意識に緩みを察知した。
だからこそ、【捌式:
当然、ライトはファフナーがたたらを踏んだ隙に追撃を狙う。
「【拾壱式:
「チィッ」
ライトから放たれた高速での5連続振り下ろしに対し、ファフナーは防戦一方だった。
5回目の振り下ろしが最も力強く、バランスを崩しながらも防御していたファフナーを後ろに吹き飛ばした。
ファフナーは着地した瞬間に踏ん張って体勢を立て直したが、自身のハンプティ・ダンプティの変化に気づいて不快感を露わにした。
「貴様、ハンプティ・ダンプティの弱化を狙ったな?」
「Exactly」
「私の真似をするんじゃない!」
「さっきからキレてばっかだけどカルシウム足りてる?」
「黙れ
ライトが追撃に【拾壱式:
ミストルティンの効果を活かすためである。
ミストルティンは
ハンプティ・ダンプティは
それを考慮すると、ハンプティ・ダンプティを3回叩いただけでは壊せないと判断し、<神道夢想流>の中でファフナーの身体能力ならば防げて攻撃回数の多い【拾壱式:
結果はファフナーがキレた通りで、5回ミストルティンで叩かれたハンプティ・ダンプティは不具合が生じ始めていた。
自分の目論見を失敗させられ、その上煽られたらファフナーなら当然キレる。
ライトとファフナーの戦いは決着がまだ着かないものの、流れがライトに傾き始めた。
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