第204話 兵糧丸、食べずにはいられない!
イルミとアンジェラと合流して4人になったライト達の前に、3つの首を持つ骸骨犬の姿があった。
(ケルベロスだよね、骨オンリーだけど)
前世の記憶があるライトには、目の前に現れた化け物の正体に心当たりがあった。
その答え合わせをするべく、ライトは<鑑定>を発動した。
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名前:なし 種族:スカルケルベロス
年齢:なし 性別:雄 Lv:60
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HP:12,000(-500)/12,000(-500)
MP:10,000(-500)/10,000(-500)
STR:2,500(-500)
VIT:2,500(-500)
DEX:2,000(-500)
AGI:1,500(-500)
INT:3,000(-500)
LUK:2,000(-500)
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称号:
二つ名:なし
職業:なし
スキル:<
<
装備:なし
備考:弱体化
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(また
スカルケルベロスに<鑑定>を発動し、ライトが真っ先に気づいたのはスカルケルベロスが
「Lv60のスカルケルベロス。爪、噛みつき、砲撃、範囲攻撃に注意して。骨の壁を創り出せて魔法攻撃に耐性あり。
「「「了解!」」」
ライトが<鑑定>の結果を共有して指示を出すと、ヒルダ達は頷いてすぐに行動に移った。
「私から行くよ! 【
スカルケルベロスの真正面から、ヒルダが素早く聖気を纏った十字の斬撃を放つ。
しかし、その斬撃はスカルケルベロスに届くことはなかった。
<
壁を構成する骨が辺りに散らばった時には、スカルケルベロスはライト達から距離を取っていた。
その隙を見逃すことなく、ライトはグロアの死体とプラフィティアーを<
そんなライトに攻撃させないように、アンジェラが攻撃を仕掛けた。
「せいっ!」
アンジェラがグングニルを全力で投げると、それがスカルケルベロスの右側の頭に命中して罅が入った。
骨に罅を入れられたことで、スカルケルベロスは怒った。
骨だけの体では吠える器官がないため、咆哮の代わりに上空に魔方陣を展開する。
次の瞬間、魔法陣からライト達を目掛けて無数の骨でできた槍が発射された。
「【
ライトは自分の前方に光の壁を創り出し、骨の槍から身を守った。
【
だから、ライトは自分の身を守るのに最小限の光の壁を展開するに留まった。
「お姉ちゃんを忘れてもらっちゃ困るよ! 【
バキッと音が鳴り、イルミの放った拳によってスカルケルベロスの左前脚の一部が砕けた。
それにより、スカルケルベロスのバランスが崩れる。
そうなれば、その隙を見逃すライト達ではない。
「【【【・・・【【
無数の光の鎖が現れ、スカルケルベロスの全ての脚と尻尾を地面に縛り付けた。
3つの首は動かせても、<
それゆえ、<
しかし、そんなことに気を取られていればライトの思う壺である。
「【
聖気を纏わせたグラムを構え、ヒルダが正面からスカルケルベロスの顔に6連続の突きを放った。
全ての突きが命中すると、スカルケルベロスの真ん中の顔の眉間に罅が入るだけでなく、グラムの効果でスカルケルベロスのAGIを攻撃の命中した回数分だけ一時的に20%カットする。
弱体化の効果も加味すると、スカルケルベロスのAGIの数値は万全の状態の20%未満だ。
そうなってしまえば、最初の速さと比べて亀のように遅く感じるため、攻撃が当たらないはずがない。
「砕けなさい!」
アンジェラがグングニルを投げると、それが再びスカルケルベロスの右側の頭に命中する。
罅割れた部位に命中することで、スカルケルベロスの右側の頭が砕け散った。
「お姉ちゃん閃いた!」
そう言った時には、イルミはスカイウォーカーの効果で空を駆けてスカルケルベロスの背中の上に着地した。
そのまま、筋肉痛を我慢して攻撃を仕掛ける。
「【
四肢と尻尾が地面に縛り付けられており、残った首2つもグラムの効果で動きが鈍っていることから、イルミの攻撃をスカルケルベロスは邪魔することができなかった。
その結果、まともにイルミの攻撃を受けてしまい、スカルケルベロスは大ダメージを負った。
ここまでダメージを負えば、ライトも十分手が出せる範囲である。
「後は任せて! 【
パァァァッ。
イルミの頑張りに応えるべく、イルミの筋肉痛を治してからライトはスカルケルベロスを強制的に成仏させた。
スカルケルベロスが消えるのと入れ替わりに、魔石と思念玉をドロップした。
《ライトはLv61になりました》
《ライトはLv62になりました》
《ライトの<状態異常無効>と<超回復>が、<
スカルケルベロスを倒したことにより、一連の戦闘で得た経験値がライト達に加算された。
ライトに至っては、スキルの強化まで生じている。
早速<鑑定>で確認すると、<
一切の状態異常や病気にかからず、HPとMPは使用した瞬間から高速で回復し、減った分だけ最大値を増やす。
それに加え、即死に至る攻撃を受けてもHPが1残る踏ん張り効果付きだ。
自分が以前よりも死ににくく回復速度も上がったため、<
その後、ライト達は戦利品を回収した。
「ヒルダ、この思念玉はグラムに使って」
「良いの?」
「良いんだ。僕はルー婆を復活させられたし、ルー婆の予想では思念玉でグラムも強化できるはずだから」
「わかった。ありがたく使わせてもらうね」
ライトから思念玉を受け取ると、ヒルダはグラムの柄に嵌まっている赤い宝玉にそれを吸収させた。
すぐにライトが<鑑定>を発動し、グラムの強化ができたか確かめた。
すると、グラムに新たに使用者のMPを1.5倍にする効果が追加されていた。
そのことを話すと、ヒルダはライトを抱き締めた。
「これでもっとライトの役に立てるね」
「今でも十分過ぎるぐらい頼りになってるよ」
「使えるMPが増えれば、<水魔法>ももっと使えるようになるもん。戦術の幅が広がるよ」
ヒルダがホクホク顔で言うと、イルミが嬉しいけど困ったというような顔になった。
「むぅ。ヒルダがまた強くなった」
「これで模擬戦は私が勝ち越すかな?」
「いや、負けない。そんなことよりお腹減った!」
「イルミ姉ちゃん、帰ったらご馳走してもらうんでしょ? 兵糧丸に手を伸ばしたらもったいないよ」
「兵糧丸、食べずにはいられない!」
「これは重症かも。急いでセイントジョーカーに戻ろう」
イルミがおかしくなったので、ライト達は直ちにセイントジョーカーへ戻ることにした。
確かに、イルミがお腹を空かせたのなら、兵糧丸を食べれば良いかもしれない。
しかし、イルミはヘレンのお気に入りの店で奢ってもらうのを楽しみにしている。
それを考慮すると、戦闘前に兵糧丸も食べていることだし、店でたらふく食べたいと言っていたイルミの気持ちを考えてライトは止めざるを得ない。
そういう事情から、ライト達は
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