第106話 総員に告ぐ! 地獄を見せなさい!
ローランドがグラッジと戦っている頃、ライト達は東門にゲイザーがやって来たのを発見し、迎撃態勢を取っていた。
「叔母様、今から生徒会パーティー以外の方々を強化します」
「お願いするわ」
ライトが何をすると言ったのか瞬時に理解し、ヘレンはライトにGOサインを出した。
「【【【・・・【【
<
「なんだ!?」
「温かい光ね」
「神々しい」
「尊い」
「嘘だろ? 同時展開される
ざわつく他のパーティーの者達を見て、ヘレンが口を開いた。
「総員注目! 今のはライト君の【
「「「・・・「「おう!」」・・・」」」
ヘレンの指示を聞き、レイドメンバー全員の士気が高まった。
その間に、ライトは目視で確認できるようになったレギオンに<鑑定>を発動した。
-----------------------------------------
名前:ゲイザー 種族:レギオン
年齢:なし 性別:なし Lv:60
-----------------------------------------
HP:8,000/8,000
MP:10,000/10,000
STR:3,000
VIT:3,500
DEX:3,000
AGI:1,000
INT:4,500
LUK:2,000
-----------------------------------------
称号:なし
二つ名:なし
職業:なし
スキル:<浮遊><多重霊格><
<物理攻撃透過><
<離合自在><自爆>
装備:なし
備考:なし
-----------------------------------------
(マジか。邪眼なんて中二病みたいなスキルがあるのか・・・)
ゲイザーのスキル欄の中に、<幻惑の邪眼>を発見したことで、ライトの頬は引き攣った。
しかし、すぐに首を横にブルリと振って思考を切り替えると、ライトはヘレンに鑑定結果を伝えた。
それを聞いたヘレンの表情は、かなり渋いものへと変わった。
「厄介なスキルばかりあるわね」
「そうですね。<多重霊格>と<離合自在>は特に困ります」
「えっ、困るのはそれだけなの?」
ライトが厄介に思っているスキルが、自分の想定していたものよりもかなり少なかったせいで、ヘレンの目が点になった。
「<多重霊格>は、レギオンを動かす霊格が変わるせいで戦闘のパターンを読むのに手間がかかります。<離合自在>は、分離すれば1体あたりの能力値は分離した数で等分されますが、それでも挟撃されると面倒です」
「<
「そんなものは、【
「そ、そうなのね。でも、<
「【
「ライト君がいれば、少なくとも負けることはないわね・・・」
「当然です。自慢の
ライトの回復と防御が、自分の想定よりも遥かに有能だったと知り、ヘレンは引き攣った笑みを浮かべた。
そこに、今まで黙っていたヒルダがドヤ顔で割り込み、ライトはすごいのだと自慢した。
そんなヒルダはひとまず置いといて、ライトは大事なことをヘレンに伝えることにした。
「叔母様、ゲイザーのHPが3,300以下になったら、僕に任せて下さい」
「【
「その通りです。今の僕なら、ゲイザーのHPが3,300になれば一撃で仕留められます」
「わかったわ。ゲイザーのHPを6割減らせば、ライト君がとどめを刺せるのね。覚えとくわ」
「お願いします」
無駄な犠牲が出ないように、少しでも早く戦闘を終わらせるため、ライトは必要なことをヘレンに話し終えた。
すると、ヘレンは再び指示を出した。
「”筋肉武僧”と”夜明けの守り人”の前衛がヘイトを全力で稼ぎなさい! 生徒会パーティーの前衛は遊撃! それ以外の後衛は、アーマとノウンの後ろから攻撃と支援!」
「「「・・・「「了解!」」・・・」」」
ヘレンの指示によって、レイド全体が配置に移動した。
アーマとノウンの後ろに控えるのは、ライト、メイリン、ヘレン、”夜明けの守り人”の
ゲイザーが射程圏内に入ると、開戦の狼煙を上げたのはヘレンだった。
「私に続きなさい! 【
自分の弓から、MPを消費して創り上げた矢を前方の空に向かって放つと、それが落下するタイミングで分裂して雨のようにゲイザーに降り注いだ。
「キケケケケ。痛ッ、痛ェ」
「アノ女、殺ス」
「ヒャハッ、殺セ」
「顔ヲ奪エ」
「15ヲ超エタラ年増ジャネエカ。オバサンノ顔要ラネエヨ」
「膨ラミカケガ至高」
ダメージを受けたゲイザーのいくつもの顔から、言いたい放題の感想が飛び出た。
最後2つの顔については、業が深そうな感想を漏らしている。
そんな言われ放題なヘレンの額には、当然のことながら青筋が浮かび上がっていた。
「総員に告ぐ! 地獄を見せなさい!」
「「「・・・「「Yes, Ma'am!」」・・・」」」
レイドに所属する男は特に、ヘレンから殺気と言って良いオーラを感じて姿勢が正しくなった。
ゲイザーの発言は、この場にいる15歳以上の女を全員怒らせるには十分なものだった。
(おいおい、スキルでもないのに挑発されてどうすんのさ)
「【【【・・・【【
ライトは女性陣に冷静になってもらうため、【
パッと<鑑定>した限りでは、ヘレンのステータスの備考欄に激昂の文字があったからだ。
念のため、女は全員治療対象にカウントしている。
その効果もあって、ヘレンを筆頭に女性陣は落ち着きを取り戻した。
「叔母様、落ち着きましたか?」
「・・・オホン。ごめんなさい。少し取り乱したわ」
(少しで済むとは思えないけど、鎮火したのに再燃されるのはごめんだから黙ってよう)
前世でも、異性への年齢に関する発言は即座にセクハラになると思い出したので、ライトはヘタなことは言わずに無言で頷いた。
その一方で、”筋肉武僧”の5人がレギオンを包囲し終えて攻撃に移っていた。
「「「「「【
「効カナイヨォ」
「アヒャヒャ、馬鹿メッ!」
「ウハハハハァ!」
「ソノママ呪ッテヤル」
「無駄無駄無駄ァ!」
「「「「「グペッ!?」」」」」
馬鹿にしていた5つの顔に、【
しかし、VITの数値が高いせいで、殴られた顔以外は平気な様子であり、自分に物理攻撃が当たったことを不思議がっていた。
「何故ダ?」
「当タッタゾ」
「意味不明ダ」
「訳ガワカラン」
「誰ガ悪イ?」
「ワカラナイ。敵全テカラ、嫌ナ気配ガスル」
数ある顔の1つが、ライト達のレイドの全員から聖気を感じて不快そうに顔を歪めた。
そこに、イルミが攻撃を仕掛けた。
「
「ガハッ!?」
「ゲペッ!?」
「グッ!?」
「ノホッ!?」
「ヌァッ!?」
イルミは殴れるだけ殴り、ゲイザーにダメージを与えた。
しかし、イルミが殴ったゲイザーの顔は1割にも満たず、他の顔はダメージを負ったという事実しか認識しておらず、すぐに反撃した。
「「「・・・「「死ネ」」・・・」」」
「やらせないよ。【
イルミに反撃しようと、複数の顔の前に瘴気が集められて<
その隙に、イルミはレギオンの正面から離脱した。
「ライト、ありがとう! お姉ちゃん助かった!」
「お礼は後で良いから、余所見しないで!」
「わかった!」
本当にわかっているのだろうか。
イルミがゲイザー相手に、ヒット&アウェイで無事に戦えるか心配になったのは仕方のないことだろう。
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