足音が聞こえた

暗黒街の傍を走るラビーとツイスト。


「・・・・・」

「・・・・・」


ぴし。


「おーっと、 止まって貰うぜぇ」


頭が鋲になっている亜人が現れた、 両手には巨大な釘が握られている。

この亜人は生物を含む対象1つの運動を停止させる能力を持っている。

相手が魔法等で対抗しない限り動きを封じて倒す事が出来る厄介な相手である。

賢明な読者ならばそんな能力ならば隠れて能力を発動してから攻撃すれば良いと思うだろう。

しかしながらこの男は尋常じゃなく強い、 能力の厄介さも有るが

身体能力が高い、 その為、 出会った相手は確実に殺される。

その為、 彼は殆ど情報が出回らず警戒もされていないという厄介な相手である。

事実、 ラビーとツイストが彼と戦えば苦戦は必須だっただろう。

ただ


「ぐべ!?」


まともに戦えばの話である。

ラビーは周囲の温度を下げて氷や霜柱を形成し近付けば

氷が砕ける音で接近を感知出来る。

即ち奇襲はされない、 逆に来る事を予見して攻撃の準備が出来る。

ラビーは氷柱を形成して刺しツイストがマジックハンドで押し倒す。


「てめ」


氷柱の槍衾に貫かれ能力を発動する間もなく鋲の亜人は息絶えた。


「ここに来るまでに亜人達の質が上がっているな」

「そうですね」


ラビーとツイストは既に他の亜人のチンピラから

自分達を襲っている者のアジトの場所である暗黒街と

アラモードが捕まった事を聞きだしている。


「二人だけでは不安だが・・・」

「居た!!」


二人が振り返ると巾木を含めた4人が後ろから追って来ていた。


「皆さん!! 無事でしたか!!」

「何とか・・・実はさっき亜人の賊を尋問した所

アラモード殿下が誘拐されたらしい」

「私も聞きました、 今向かっています」

「うむ、 それからラビー

敵方には旧ビア帝国第十三騎士団【純白の真珠】のマヤが居る」

「純白の真珠!?」

「あの亡霊だと!?」


驚愕するラビーとツイスト。


「あぁ、 私達は手も足も出なかったと言って良い、 完敗だ

交戦途中でマヤが轟音の方に向かわなかったら間違いなく殺されていただろう」

「そこまでの相手なのですか・・・」

「あぁ、 しかもラビー、 マヤは君を狙っている」

「私を!?」

「しかもかなりの執着だ、 気を付けろよ」

「わ、 分かりました」

「おーい!!」


遠方から大勢の警備部員を連れて来た騎士達も見えた。


「なんとかなりそうですね・・・」


ラビーは一息ついた。

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