到着

午前8時。

冥府の門行きの昇降機が地面に到着した。

ここにやって来た15人は昇降機から降りた。


「おはようございます」


昇降機を降りると

そこには目深に帽子を被った魔法使いの様な恰好をした人間が数名待ち構えていた。


「貴方達は?」

「我々はビア帝国からこの冥府の門に派遣された外交官です

冥府の門の亜人感情を逆なでしない為に個人認識が出来ない様にこちらの服に着替えて頂きます」


外交官はそう言うと自分達が着ている様な服を渡して来た。


「ちょっと待て」


盾の騎士が待ったをかける。


「その服、 ボタンが無いじゃないか」

「ローブですので」

「亜人着れないじゃないか!!」

「亜人感情を逆なでしない為に人間の方々だけに来て貰いますので亜人の皆さんはそのままで」

「ここで着替えろって言うの?」


アラモードが不快そうに尋ねる。


「上から羽織って頂ければいいので」

「あらそう」


画して上からローブを羽織り帽子を被り着替えた人間組。


「では我々が護衛しますので付いて来て下さい」

「あ、 はい」


外交官達に連れられるラビー一行。

昇降機が有る建物から外に出る。

永劫ランプが配置され光は充分だがそれでも暗い印象の街並みだった。


「それなりに大きな街だな」


剣の騎士がぽつりと呟いた。


「麻薬王の直轄地、 と聞いていたからもっと大きな街かと」

「農場がメインですから、 街としての機能はこんな物でしょう

さぁこちらへ、 馬車を用意してます」

「馬車?」


案内された所にはキャスターが取り付けられたヤカン状の謎の装置に引かれる

馬車、 の様な物だった。


「魔動馬車か、 馬無しでも走る魔道具」

「一時期噂にはなったが普通の馬の方が馬力が有るからと廃れたな・・・」

「馬力が無い分、 静かだから住宅地を走る時には便利ですし

何よりこんな奈落の底では馬にかかるストレスが凄いので

此方の方が手間がかからないんですよ」

「そうか・・・」


解説を交えて魔動馬車に乗る一同だった。


「ではこれよりビア帝国大使館に向かいます、 そこからビア帝国にお送りします」

「なるほど、 外交官殿、 ここから何分位で大使館に着きますかな?」


ゼロが尋ねる。


「10分位ですね」

「そこそこかかりますね」

「何か食べてから向かいます? 気の利いた小料理屋とか有りますが」

「いや、 結構」

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