ツイストと巾木の恋愛論
昇降機がゆっくりと降りていく。
「はぁー・・・あー・・・」
見張りをするツイストと巾木。
「ツイスト殿下、 そう明らかにがっかりしないで下さい」
「議員殿、 そうは言ってもがっかりだ・・・ラビーとキャッキャウフフしようと思ったら
何で野郎と一緒に見張りなんだ・・・」
はぁーと溜息を吐くツイスト。
「くじ引きですから仕方ないでしょう」
「まぁ、 俺も大人ですから文句は言いますまい、 でも愚痴位は零したい・・・」
「愚痴ねぇ・・・」
「貴方もラビーと親交を深めたいとは思いませんか?」
「は・・・?」
ツイストから投げかけられた言葉に呆気に取られる巾木。
「・・・・・確かに好きか嫌いかで言えば好きだが
だからと言って娶りたいとは思わない」
「おやおや、 『親交を深めたいのでは?』と聞いて結婚まで飛躍するとは・・・」
くつつと笑うツイスト。
「・・・・・女の事ばかり考えるのは如何かと思いますよ殿下」
「女の事ばかり考えて何が悪い?」
「聊か軽薄に見えるでしょう」
「軽薄に見えて何が悪い、 俺は皇子なり
そも人生を如何過ごそうが俺の勝手だろうが」
「それは・・・まぁ・・・」
言葉を濁す巾木。
「巾木議員、 想像してみて下さい」
「?」
「もしもラビー嬢が結婚したとしたら、 貴方、 素直に喜べます?」
「・・・・・」
複雑な心境である。
無論喜ぶ気持ちも無くはない、 だが・・・なんだろう、 もやもやする。
「・・・私は公人であり、 エルフだ、 人間と交わる事は出来ん」
「結婚を通り越してそこまでイキます?」
「うるさい」
「ははは、 でも今時人間差別は流行りませんよ」
「・・・差別ではない、 寿命の差だ」
遠い目をする巾木。
「私はエルフ、 人間よりも遥かに長生きの私がラビー嬢と結ばれる事は無い
死に別れる事になるのは辛いだろう」
「辛い事から逃げていては何も始まらないだろう
良い事も悪い事も全部ひっくるめて人生じゃないのか?」
「・・・・・そうかもしれないな」
巾木はこの女好きの軽薄な皇子を少し見直した。
「俺だってそうだ・・・」
「殿下も・・・誰かと死に別れた事が?」
「そう言う訳じゃない・・・後で後悔するだろうと分かっていても・・・やる事が有る」
「それは・・・一体?」
「後で浮気がバレて修羅場になるだろうとは
分かっていても浮気をする・・・とか」
「台無しだよ」
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