学校に行けなくても勉強はできる(ウル&スノーside)

大帝国コロシアム内戦最終戦戦没者慰霊ミュージアムから出たウルとスノー。


「地下にも何か有ったみたいですけどね・・・」

「地下5階まで展示品が有るとか王国の美術館でもそこまでの面積は無い

とても今日中に回り切れんよ」

「少し残念ですね・・・」

「そうでもないぞ、 ミュージアムの中でクーポンが置かれていた」

「・・・クーポン?」


スノーはクーポンを見せる。


「【大衆食堂バーリトゥード】?」

「ミュージアムの中に二号店があった様だが、 折角だから本店の方に行って見ないか?」

「確かにお腹空きましたしね・・・行って見ましょうか」


ウルとスノーは歩き始めた。


「えーとクーポンによるとミュージアムから3-12通りまで歩くらしいな」

「3-12通り?」

「こっちだな」


クーポンに載っている地図に沿って歩く二人。


「・・・そう言えばさっきから通りの名前が3-8とか3-9とか

何と言うか無味乾燥な感じがしますね」

「フライ陛下以前の治世での単純化政策の名残ですね」

「なんですかそれ」

「物事を単純化して民をコントロールしやすくする政策

政策下では平民には簡単な数字だけしか教えないと言う事が法定化されたとか」

「・・・それじゃあ経済活動に支障が起きるでしょう」

「それは大丈夫じゃないのか? 数字が分かれば問題無いだろう」

「何れにせよ教育機会を与えないのは国として如何かと思いますよ?」

「確かに、 半ば有名無実化し憲兵が検挙の口実に使っていたらしい」

「無茶苦茶な・・・」


歩いている内に3-12通りに着いたウルとスノー。


「ここですか?」

「ここを曲がって4-12通りの間に有るらしい」

「でもここ・・・」


壁にラクガキが書いてあったりとあまり良い環境とは言い難い場所であった。


「まさにスラムだな・・・お、 これは・・・」


スノーがラクガキの一角を見る。

何やら奇妙な記号が羅列していた。


「スラム言語か」

「何ですかそれ」

「さっき言っていた様に平民は教育機会を奪われていた

だから文字も分からない、 だがそれだと不便極まりないから

治安が悪いスラムの住民達は独自の言語を作って学んでいたと言う訳だ」

「教育出来なければ自分で文字を作る、 か

凄い熱意だぁ・・・」

「スラムの住民にも学ぶ所が有るな」

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