フライとフライの話

「先日、 公爵と亜人についての話をしたんですよ」

「した・・・と言えるのか? 私は会話を拒否したのだが・・・」

「お父様、 何で会話を拒否したのですか?」

「亜人とは関わり合いたくない、 無用な問題を増やすだけと考える

騎士のお二人、 貴方方も人間と関わるのは問題が有ると思うだろう?

相互理解は困難だ」

「確かに・・・人間圏に近い場所なら兎も角

人間に恐怖心を持つ亜人は多い、 問題は起きるだろう

最悪、 戦争になっても可笑しくない」


勲章の騎士は語った。


「それでもだ、 何時かは理解し合える日は来るだろう」

「難しいでしょうな、 国家間での理解も難しいのに

今だって私はこんな所に残りたい娘の気持ちすら理解出来ない」

「私はそれでも信じたいんだ

人間だけじゃなく大半の理性有る者達は全て善の心を持っている」

「そうかしら」


アラモードが口を挟む。


「性善説は今時流行らないわよ」

「流行りには疎いからな、 こう見えても2000才超えてる

しかし善の心が無ければ助け合わないだろう

皆が自分勝手に行動したら社会が成り立たない

故に全ての理性有る存在とは言わないが大半は善の心が有ると思う」

「いやいやいや、 私の父は悪人ですが

それでも人と協力する事はあったじゃないですか」

「覇王、 か」

「覇王? 何ですかそれ」

「・・・嘆かわしいな」


雷の言葉に頭を抱える巾木。


「皇帝フライが即位する前の内紛時にフライと同盟を組んでいた男が居た

フライ・ニンフ、 と言う現皇帝のフライと同じ名前だったから

区別する為に白のフライ、 若しくは覇王と呼んでいる」

「因みに私の父は黒のフライ、 若しくは魔王と呼ばれていた

内紛が落ち着いた時に皇帝の座を得る為の戦いは激戦と語られている

白のフライも性善信奉者でしたね」

「彼とは昔、 私が下っ端の書記だった頃に会って

話したが分かり合おうとする姿勢は素晴らしいと思えた

嘗て傲慢だった私は人と分かり合おうと積極的に動いて出世したよ」

「人間に長寿のエルフが看過されたんですか?」

「エルフの人生は薄い、 人間の方が濃い人生を歩んでいたよ」

「・・・・・それで話を戻しますが意見が分かれたと言うのは?」

「つまり亜人との交流をするべきか否か、 と言う所ですよ

残る者と戻る者に分ける事になりました」

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