閑話 四天王

一息吐いて茶飲み話をしながらまったりとしているナガンとラテアート。


「所でラテアート坊

イングリント君が魔道具の増産を依頼して来たんだが何か聞いていないか?」

「いいえ? 四天王の方々は何を考えているか分からないし

自由行動裁量権が有るので僕に情報が入って来ないんですよ」


四天王とはビア帝国皇帝フライの子供の中でもラテアートよりも上の兄弟4人の総称である。

ラテアートよりも上の兄弟はフライに反旗を翻して返り討ちになっている者ばかりで

皇子、 皇女合わせて10人はいたがその内6人が既に殺害されている。

残った4人は他の皇族達とは一線を画す能力を持っており

文字通り、 ビア帝国の『王』と言える。


「しかし魔道具の増産となると戦争ですかね」

「戦争か・・・懐かしい、 皇位争奪戦は楽しかったなぁ

沢山死体が手に入って倫理観もまともに働かないから

新しい魔道具作り放題だった」

「僕としてはあんまり良い思い出は無かったですね、 寧ろ嫌な記憶ですよ

しかし戦争かぁ・・・何処と戦争するんでしょうか?

何の魔道具を依頼して来たんですか?」

「カラシニコフ」


カラシニコフとはカラシニコフ式魔導杖の略称である。

魔法の威力を高める魔導杖の中でもコストパフォーマンスが非常に高く

頑丈で扱いやすく各国でもコピー品が出回っている。

因みにカラシニコフとは設計者の名前である。


「態々貴方に直接依頼する必要有ります?」

「カラシニコフは生真面目だから

生産依頼したら確実にフライにチクるだろ」

「ではこっそりと必要? やはり戦争起こす気ですかね」

「さぁなぁ、 マジで反逆するなら

自前の工場でも作るだろうさ、 まぁ俺は小遣い稼ぎ代わりに作らせて貰おうか」

「しかし貴方程の魔道具技師に態々依頼する程の事ですかね?」

「カラシニコフはロマンは無いか良い杖なのは認めるよ」

「室長、 作成数ノルマ終わりましたー」


ナガンの部下が報告する。


「分かった、 では検品するからこれで失礼する」

「検品って・・・室長の貴方がやる必要が有るんですか?」

「あ”?」

「失言でした」

「分かれば宜しい」

「それではこちらも失礼します」


ラテアートはナガン室から出た。


「やれやれ・・・また何か面倒な事を始めるのか・・・嫌だなぁ・・・」


とぼとぼとラテアートは自室に戻って行くのだった。

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