久々の対面

「とりあえずラビー、 何か食べる物を」

「はい?」


ラビー達は店の中に戻りゼロがさも当然の様に要求する。


「私、 昨日から何も食べてないんだぞ」

「それは気が利きませんでした、 何にします?」

「何が有るんだ?」

「まぁ色々とありますよ」

「じゃあ卵を」

「はい、 巾木さん達も何か食べます?」

「え・・・あー・・・」


雷をちらとみる巾木。


「いえ、 結構ですラビー嬢」

「そう」


卵を割ってグラスに開けるラビー。

1つ、 2つと割った所でゼロにグラスを差し出す。

卵を飲み干すゼロ。


「生で!?」

「私の好物だ」


カンッ、 とグラスを置くゼロ。


「とは言え契約農家の卵じゃないから左程良い卵でも無かったな」

「文句言わないで下さいよ」

「ふん・・・減らず口を叩けるとは思った以上に元気そうだな」

「父上もお変わり無く」

「いや、 そうでもない、 お前を助けたいと国内から大勢の貴族やら何やらが

私の所に来て困惑して少し参っている所だ」

「それは・・・お気の毒に」

「だな・・・今更だが帰ってくるつもりは無いか?

陛下も文句を言わないだろう」


ゼロがラビーに問いかける。


「いえ、 お断りします」

「「「「「断るの!?」」」」」


ラビーの返答に驚く巾木達。


「そうか、 それよりもラビー」


反面ゼロは大して驚いていない。


「・・・反応薄いですね、 てっきり怒るか驚くかすると思いましたが」

「別に、 私の興味は寧ろ、 そこの盾の頭の奴だ」

「あ、 ほんとだ、 何者だお前!!」


雷が問う。


「どうも、 この赤い森に入って来た人を帰さない様にする騎士団の騎士の一人です」

「物騒この上ないな」

「反応が薄い!! と言うか聞き捨てならねぇな、 俺達も帰さないつもりか?」


雷が詰め寄る。


「それが仕事ですので」

「とりあえず雷、 落ち着きなさい」

「だがラビー嬢!!」

「彼は話せば意外と分かる人間だから」

「人間じゃなくて亜人ね」

「・・・・・」


雷は座った。


「ラビー嬢が言うなら納得する・・・が、 俺達はここで骨を埋める気は無い

何れ脱出はしよう」

「そうだなぁ・・・私、 公爵だけど何とかならないか?」

「いや、 上に聞いて貰わないといけないので暫くお待ち下さい」

「待つ・・・って何処で待てば・・・」

「・・・泊まります?」

「狭いし嫌だ」


ラビーの問いに即答するゼロ。

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