ラビーへの事情聴取

カランコロンと入店する

盾の騎士、 剣の騎士、 旗の騎士の3人。


「いらっしゃいませー」

「あー・・・店長・・・今日は・・・そうだなー・・・」

「ささみ的みたいな中々腹にたまらないもたれない料理を人数分頼みます

とりあえずこれで作れるくらいお願いします」


剣の騎士が一斗缶程の大きさの缶を渡して来た。


「これは?」

「オークのラード、 普通の豚のラードよりも味が強いのが特徴ですね」

「面白いですねぇ・・・」


ラビーは椅子を取り出して騎士達の傍に座った。


「て、 店長?」

「食事目的では無いですよね?」


戸惑う盾の騎士にラビーは言った。


「・・・・・何でそう思うんだ?」


剣の騎士が剣呑な声色で言った。


「これ、 業務用ですよね? そんな物を偶々持っていたと言う訳では無いでしょう

恐らくは騎士団から渡された物ですよね?

そして注文も普段はしないような料理、 何かしら理由が有ると思います

最後に貴方達を見れば分かります」

「見れば分かります? どういう事だ?」

「貴方達の事はちゃんと見ています、 だから分かります」


旗の騎士の言葉に答えるラビー。


「・・・そうですね、 ちゃんと話しましょう」

「お、 おい!!」


盾の騎士の対応に二人の騎士が止めようとする。


「止めろ二人共、 店長は悪人じゃないのは分かるだろ?」

「だがしかし!!」

「後から問題になったら俺の首を切って良い」


盾の騎士は言い切った。


「店長、 今、 我々は貴女に会いに来たビア帝国の皇子二人を拘留しています

ラビー・ストロング公爵令嬢と言うのは貴女の事で合っていますよね?」

「はい、 私はラビー・ストロングです、 追放されたので今も公爵令嬢かは知りませんが」

「・・・・・質問しておいてなんですが、 あっさり認めるのですね」

「隠す事でも無いですから、 あ、 亜人の価値観では自分の名前は秘する物でしたっけ?」

「う・・・まぁ・・・そうですが・・・こんな事聞いてすみません」


頭を下げる盾の騎士。


「いえ、 構いませんよ、 質問にはお答えしますよ

折角ですし、 何かつまみながら聞きますか?」

「うーん・・・仕事中ですし遠慮しますよ

込み入った事も聞きますが大丈夫ですか?」

「答えられる事ならば何でも答えますよ」

「ありがとうございます・・・」


ペンと紙を取り出した盾の騎士が自嘲聴取を始めた。

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