急転直下するウィノ(ウィノside)

ウィノはカラメル王国の王都ブリュレの路地裏のとある建物に住んでいた。


「屋根が有るって素晴らしいなぁ・・・」


ウィノはここ数日

まともな部屋で食事が三食提供される生活を送っていた。

怪しげな男の後に付いて仕事を請け負った。

とは言っても大した仕事じゃなかった。

最初は奴隷の如くこき使われるかと思ったが

仕事の前に身形が汚いと仕事用の服を支給されて散髪をさせられた。

少し前のウィノとは印象が大分違うので擦れ違った程度では分からないだろう。

次に仕事内容もシンプルで、 荷物を運んで別の場所に置くだけである。


一日に一回荷物運びをするだけで住居と食事、 更に日給で2万Gも稼げるのだ。

仕事が無い日も有るがそう言う日は骨休めをするのだ。


「久々にまともな生活が送れるなぁ・・・少し部屋が狭いが・・・」


コンコン、 とドアがノックされた。


「はい、 どうぞー」


ガチャ、 とドアが開く。


「おぉ兄ちゃん、 悪いけど今日相部屋になるわ」

「相部屋? 確かにベッドはもう一つ有るが・・・何で?」

「あー・・・ウチの上司の取引相手がなぁ

やって来て今日一日泊めろって、 一応ここは保養施設って名目だし断る訳にはいかんのよ」

「別に構いませんが・・・」

「そうか、 じゃあこの部屋ですんでー」

「うん、 分かったー」


部屋に入って来るアラモード。


「やぁ」

「・・・どうも」


挨拶するアラモードに会釈するウィノ。


「あ、 荷物持って来てー」

「了解しました」


大量の荷物を持って部屋に入るポッキー達。


「ぽ、 ポッキー副団長!?」


ウィノが荷物持ちをしているポッキーに驚く。


「うん? ・・・・・ウィノ!?」

「知り合い?」

「指名手配犯です!! 下がって!!」

「っ!!」


ウィノは剣を取り出してアラモードの背後に回り首元に剣を突きつける。


「動くな!!」

「っ!! 貴様・・・騎士の誇りを捨て去ったか!!」


激昂するポッキー。


「・・・・・OK、 ウィノ君、 だっけ? 君の要求を言いなよ」


アラモードがウィノに促す。


「・・・・・逃走用の早馬、 そして金だ」

「OK、 お金はこれ位で足りる?」


スッ、 とアラモードは財布を差し出す、 中には金貨が詰まっていた。


「大体50万は有るよ」

「よ、 よし、 では受取ろう、 次は早馬だ」

「ポッキー、 直ぐに手配する様にさっきのイケイケおっさんに伝えて来て」

「し、 しかし」

「良いから」

「わ、 分かりました・・・」

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