万年筆令嬢の恋バナ

ラビーは大量の薫製を作った事によって自身の固有魔法を大分使いこなせる様になった。

深海戦争でも戦術レベルの魔法だったのにまだ上が有ったのかと

当時のラビーを知る者ならば驚いただろうが、 なんとラビーは寝ながらでも

自動的に温度調整が可能になり、 寝ながらでも冷燻をする事が可能になった。


「無意識レベルでの魔法の使用・・・もう滅茶苦茶ね」


自分の事ながら笑うラビー。

とは言えラビーは疑問に思った事がある。


「魔法って何だろう」

「私に聞く?」


店に来ていた万年筆の令嬢に尋ねるラビー。


「私は自分の固有魔法を当たり前みたいに使っているけども

私は固有魔法が如何言う原理で動いているか説明する事は出来ないんですよ」

「それならば亜人の固有能力だって説明のつかない力だし

似た様な物よ」

「そう考えると怖くなってくる、 私の魔法って一体なんだろうか・・・って

そもそも私は私なのか・・・自分でも説明できない魔法を使える私って・・・」


三島かラビーか、 自分がどっちなのか分からなくなって来た彼女は不安を

万年筆の令嬢に言った。


「そんな事分かる訳ないじゃない」


万年筆の令嬢は出された紅茶を飲み干した。


「自分が一体何なのか、 それを説明出来る人も亜人も居ないわ」

「・・・・・」

「でも客観的に見ると、 貴女は私の恋敵なのよ」

「私は盾の騎士さんの事は男性として見ていませんよ・・・

お客さんとしてしか見ていません」

「今はそうでしょう」


びっ、 と指を指す万年筆の令嬢。


「でも彼は素晴らしい人よ、 私が保証するわ

きっと貴女も恋に落ちる」

「そうですかね・・・所で何で盾の騎士さんが好きなんですか?」

「良いわ、 話すと長くなるけど教えてあげるわ

彼が任務で私の警護をしてくれた時に夜盗に襲われて

その時に私を守ってくれたの、 命を賭けて私を守ってくれたのよ」

「それはカッコいいですねぇ・・・」

「と思うじゃない? ここ迄ならば尊敬できる人レベルで終わっていたわ

でもここからなのよ、 彼の本領は」

「?」


首を傾げるラビー。


「私が彼に礼を言ったら彼は『仕事だから当然です』って・・・

女ならば誰でも惚れるでしょ?」

「ちょっときゅんとしますね」

「でしょー?」


令嬢とラビーは恋バナで盛り上がったのだった。

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