鴨葱と休息

色々有ったが漸く鴨葱を求めるでぶ妖精に鴨葱を食べさせるラビー達。


「とは言っても鴨と葱を焼いただけの料理だろ?

そんな物が美味しいのか?」


少年が疑問を口にする。


「鴨を食べた事が無いからそう言えるのよ」


そう言いながら鴨と葱を切るラビー。

そしてスキレットで切った鴨肉を焼き始める。


「うわ、 油敷いて無いのに・・・凄いな」

「鴨肉の脂は凄いのよ、 これだけでも充分焼ける」


鴨肉の脂で充分焼けるのだ、 そして葱も一緒に焼く。

鴨は焼き過ぎると固くなるので早めに皿に避難させて

葱はきつね色が軽くついたらあげる。


「にょー、 おいしそうにょ―」

「・・・・・と」


と、 ここで焼いた物をでぶ妖精に直ぐに渡さないラビー。


「早く寄越すにょー」

「まぁ待ちなさい」


鴨葱を焼く前に用意した鬼おろしを鴨葱に乗せて

そして醤油を少しかける。


「はい、 どうぞ」

「いただきますにょー」


むしゃむしゃと鴨葱を食べる。


「うーん、 鴨がおろし醤油ですっきりと食べやすくなったにょー

葱も脂をしっかり吸って美味しー」


ぱくぱくと次々に焼いた鴨葱を食べ進めるでぶ妖精。


「ふぃー、 お腹いっぱーい、 寝たいー」

「寝る前にそこから退いて」

「はーい」


でぶ妖精はそう言うとのそのそと通路から出て来た。

最初、 塞いでいたでぶ妖精よりも長く無く大きいだけのでぶ妖精だった様だ。

通路から出て来て横の小さなくぼみにすぽり、 と嵌ると寝息を立てて眠り始めた。


「さて・・・ここで先に進める訳だけど、 ここで私から一つ提案があります」


ラビーが提案をした。


「言わずとも分かる」

「ほぅ?」

「先に鴨葱を食べてしまおう、 そう言う事だな?」


料理人が鋭い考察を見せる。


「半分正解」

「半分?」


料理人が怪訝な様子を見せる。


「一旦私の店に戻りませんか?」

「何故?」

「私の店には御飯があります」

「なるほど、 戻るしかない様だな」


鴨葱に御飯、 何も起きない筈は無く・・・


「俺達はかなり腹ペコだ、 御飯の準備は大丈夫か?」

「任せて下さい、 御飯が無い食堂なんて話にならない」

「ふむ、 私も料理を手伝おう」

「それは嬉しいですね」


そう言ってラビー達はレストラン・スコヴィルに向かうのだった。


「ってもう夜じゃない」


遺跡の外はもう既に暗くなっていた。


「あー・・・これは御飯食べたら一旦休むか」

「それもそうね・・・」

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