予想外の選択肢(王子side)

オリエンスが用意した馬車で教会本部に向かうサンライズ一行。


「まるで揺れないな・・・広くて椅子も座り心地が良い

護衛の馬車も数台走っている・・・」

「来賓用の馬車ですのでこれ位は当然です」

「ありがたい・・・実はここに来るまで安い馬車を使っていたから・・・」

「それは大変でしたね」

「あの・・・一つ良いでしょうか?」

「・・・・・何ですか?」


スノーがおどおどと質問をし、 オリエンスが嫌そうに答える。


「ラビー・ストロングの婚約破棄に対して教会は怒っていると聞きました

カラメル王国で対応が出来なかったのも教会本部を恐れていてとの事でした

それなのにこの厚遇は可笑しいのでは?」

「教会本部ね・・・正確には怒っているのは教会本部の教皇派閥です」

「派閥・・・ですか・・・」

「そう、 教会本部には私達聖女派、 教皇を支持する教皇派

日和見の中立派の三派閥で存在します、 ラビー・ストロングを支持しているのは

教皇派ですね、 我々聖女派はラビー・ストロングの追放に賛同しますわ」


にっこりと微笑むオリエンス。


「そ、 そうですか、 それは良かったです」

「えぇ、 聖女でも無いのに世界を救った等と喧伝するのはよろしくありませんからね

所でアスパル男爵令嬢はウェーサーカ法国に帰化なさるのですか?」

「は、 はい?」


急に話を振られてアスパルが困惑する。


「聖女になったのですからウェーサーカ法国に帰化するのが当然の流れ」

「否、 それは無い」


サンライズが遮る。


「でしょう、 そこの所、 如何考えておられますか?」


遮られても気にせず言葉を紡ぐオリエンス。


「・・・アスパルはカラメル王国の王妃となる女、 帰化する事等あり得ない」

「ふぅむ、 聖女も王妃に並ぶ地位だと思いますが・・・

まぁ、 それを決めるのは彼女です、 如何しますアスパル男爵令嬢?」

「え、 えと・・・その・・・」


混乱するアスパル、 こんな展開知らない、 聖痕自体知らなかったが

ますます輪をかけて分からない展開になって来ている。


「お、 おいアスパル大丈夫か? 顔真っ青だぞ」

「時間はたっぷりありますよ、 ゆっくり考えて下さい」

「す、 すみません・・・」

「・・・・・」


サンライズがアスパルを見る。


「・・・・・」


気まずそうに眼を逸らすアスパル。

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