レストラン・スコヴィルの客

料理仲間

赤い森で新生活を始めたラビー。

ラビーはまるで期待をしていなかったのだが

新しい友人も出来た、 いや今までの生活で友人?

が出来たかと言えば微妙なので初めての友人?

兎も角友人が出来た。


「・・・・・やっぱり炭は必要ね」


もぐもぐ、 と自家製の焼き鳥を食べながら呟くラビー。


「これでもおいしーにょ?」

「いや、 炭火は何と言うか違うのよ!! こう・・・何と言うか・・・」

「こんな美味しい物でも満足しないとは・・・

なんか可哀想だにょ・・・」


ほろり、 と涙を流すでぶ妖精。

でぶ妖精も友人かと言えば友人だがちゃんとした人型の友人も出来た。


「おいーっす」


店の中に入って来たのは顔が秤になっている男性だった。


「あぁ、 来たのね」

「おぉ」


手を振ってバスケットを乗せる。


「今日はクラブケーキを作って来た」

「クラブケーキ・・・蟹のケーキって事?」

「そうだな」


彼は料理人である、 騎士達が噂で話しているのを聞いて店にやって来た。

料理の対価は持参した料理、 料理人同士の会合と言うのは悪くない経験だった。

少なくてもラビーは前世ではこういう体験をした事が無いので新鮮に感じた。


「まずはソース無しで・・・もぐもぐ・・・おぉ・・・既にマスタードが入っているのね」

「その通り、 ソースにもマスタードが入っている」

「見た所、 マスタードとケチャップとマヨネーズかしら

絶対に美味しいじゃない」

「俺の料理が不味い訳は無いがな」

「おでぶちゃんもおでぶちゃんもー」

「はいはい」


でぶ妖精ももきゅもきゅとクラブケーキを食べる。


「おいしいにょー」

「こいつ等何言っても美味しいって言うから作り甲斐が無い」

「どんな物でも美味しく食べれるのはステキだと思うにょ?」

「そうね、 じゃあ私も御返礼」


そう言うとラビーは揚げ物を始めた。


「揚げ物か・・・」

「好きでしょ?」

「大好き」


そうこうしている内に揚げ終わった。


「どうぞ、 ハラペーニョホッパーです」

「ほう・・・」


ハラペーニョポッパーとはハラペーニョの中にクリームチーズなどを詰め

パン粉をつけて揚げた料理。


「中々ドギツイ見た目だな、 では頂きます」


サクリ、 と一口食べる料理人。


「・・・・・」


黙って持参していたビールをラッパ飲みする。


「ぷはぁ・・・これは酒に合うな!! 女将も一杯どうだ?」

「私お酒はちょっと・・・」

「そうか、 なら仕方ない・・・これってベーコンとか捲いても」

「絶対旨い」

「だよなー!!」


はははと笑い合う二人だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る