行商人がやってきた!!絶望のパスタを喰らえ!!

でぶ妖精をむにむにしながら一夜明けたラビー。


「んー・・・おはよー」

「おはにょー」


でぶ妖精達と共に伸びをして軽い朝食を済ませて起きる。

すると御客様がやって来た。


「どーもどーも、 アンタがここの店の主人かい?」

「そ、 そうですが・・・貴方は?」

「俺は行商人だ」


頭が何かが詰まった大きな袋になっている男がやって来た。

背中には重たそうなリュックサックを背負っている。


「世捨て人からの紹介で来たんだけど・・・聞いてない?」

「そう言えば紹介してくれると聞きましたけど・・・昨日の今日で来るとは・・・」

「商売はスピードが命だ、 色んな物を用意出来るぞ」


そう言ってリュックサックから色々な野菜や果物、 調味料

パスタやパン等の穀物を取り出した、 勿論コメも有る。


「わぁ・・・凄いですね、 でも亜人の取引は物々交換だって聞きましたけども

一体何で取引します?」

「そうだなぁ・・・じゃあ私は飲み食い自由と言う事で如何だろうか?

後、 私の店の広告を置くとか」

「それで良いんですか?」

「あぁ、 良いとも、 この森は辺境だが訓練で亜人の騎士達とかが来るからな」

「そうなんですか・・・」

「じゃあ早速何か作ってくれよ」

「分かりました」


ラビーは大きな鍋に湯を沸かした。

魔術で鍋の中に炎を発生させて一瞬で沸騰させる。


「凄いな、 君は名の有る魔法使いだったのかい?」

「まぁそんな所です」


そしてパスタを茹でる。

茹でている間に唐辛子を始めとした材料を切って鍋に入れて火にかける

茹で上がったバスタを材料と絡めて炒めれば簡単にペペロンチーノが出来上がる。


「お待たせしましたにょー」


でぶ妖精達が食器を運んでペペロンチーノを持って行く。


「おぉ・・・本当にあの赤い実が入っているんだ・・・頂きます」


そう言ってフォークを使い頭の袋の中にペペロンチーノを入れる行商人。


「うん、 美味しいよ、 これが世捨て人さんが言っていたピリ辛って奴なんだね!!

これはビールが欲しくなるな!!」


そう言って行商人はリュックからビール瓶を取り出して一杯始めた。


「ウチは居酒屋じゃないので酒を置く予定は無いですが・・・

テイクアウトはやるつもりですので持って帰っておうちで晩酌とか如何ですか?」

「いやいや暖かい内に食べた方が良いに決まっているじゃないか」

「そうですかね、 冷たくても美味しい料理と言う物はありますよ」

「そうなのかい? 何れにせよ、 良い店を見つけたかもしれないな!!

これからもよろしくお願いしますよ店主さん!!」

「あ、 私の名前は」

「あぁ、 人間は名前を言うんだったか?

それは亜人にはあんまり言わない方が良いよ」

「何でですか?」

「・・・・・」


こっそりとルビーに耳打ちをする行商人。


「亜人にとって名前を教え合うと言うのは結婚を申し込む様なもんだよ

それ位重要な事だって事さ」

「そ、 そうなんですか・・・」


少し困惑するルビーであった。

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