おまけ:キャラクター紹介その2(仲間たち編)

ここまでお読みいただきありがとうございます!

セイルの過去、そして王女に出会うまでの第2章はお楽しみいただけましたでしょうか。


今回も幕間話といたしまして、キャラクター紹介と小話をさせていただきます。読み飛ばしても問題ありません。


第3章は、ようやく旅に出た一行がさっそく厄介ごとに巻き込まれるというお話です。キャラクター同士の掛け合い多めで賑やかになっております。


どうぞ今後も当作をお楽しみいただければ幸いです!


***


※情報は2章終了時までのネタバレを含みます。


<主人公の旅の仲間たち>


☆エルシー・ホワード


セイルの妹で15歳。しっかり者で利発的な少女。母の死後、木こり一家を牽引してきたおかげで家事全般を完璧にこなせる。兄と違って人の心に敏く、人づきあいも上手い。


精霊の隣人マナフィリアン”という特殊な性質を持っており、あらゆる属性の精霊から愛されている。中でも風の精霊とは仲が良く、有益な情報を仕入れることもしばしば。また、すぐれた魔術師でも難しいとされる治癒術も精霊経由で扱える。


セイルと同じく、前騎士団長ヤクレイウスに長年に渡り師事を受けた。おかげで弓やナイフ、追跡術など多彩な技術を持っている。


自身が竜人になったわけではないが、唯一の家族となった兄を支えるため旅に同行する。素直で世話焼きな性格はいつも一行を明るくするが、同じく実直な騎士リクスンとはぶつかる場面も多い。


「あーっ、もう! お兄ちゃんより頑固なんだから! 嫌になっちゃうわ」

「君こそ理解しがたい頑固者ではないかッ! 俺は退かんぞ」

「シチューに必要なのは甘みでしょう! だからお砂糖ッ!」

「馬鹿を言うな、辛みが肝なのだ! よって粗挽き胡椒ッ!」



☆リクスン・ライトグレン


ゴブリュード王国近衛騎士隊に所属する青年。フィールーンの側付を務めている。


とある事情があり、幼き頃に騎士隊長カイザスの義弟となった。才能溢れる兄を心から慕うも、その名声には頼らず己の努力のみで騎士隊内で出世を果たす。


ゴブリュード王家に多大な恩を感じており、15歳の頃に王女フィールーンの側付人となった。以降は彼女に尽くす日々を送っている。やや傾倒ともとれる過保護さを発揮し、王女に近づく者へは最大の警戒を敷く。


性格は義兄に負けず劣らず素直で、器用な嘘はつけない。頑固で自分の意見は曲げないが、悪いと思ったら謝罪するという誠実さも持っている。余念なく日々の鍛錬に打ち込み、半端竜人たちにも臆しない勇気と実力を持つ武人。


何かと口が立つエルシーとはよく会話するものの、いがみ合うことも多い。城の淑女たちとは違いはっきりとした物言いをする彼女に、珍しく気圧されているとかなんとか。


「もう少し柔和な言葉を選べんのか、木こり妹!? 姫様を驚かせるな」

「あのね……その“木こり妹”って呼び方、どうにかならないの?」

「む、そうか失礼した。では“ホワード妹”と」

「はぁ……。お兄ちゃんもあなたのこと“騎士”としか呼ばないし。どうして男ってこうなのかしら」

「き、騎士は気安く婦女の名を口にしないものだ! 君こそ、俺のことを」

「じゃあリンさんって呼ぶわね。年上だし」

「ッ!?」



☆タルトト・テルポット


長旅が初めてだというセイル達を不安に思い、カイザスが寄越した商人。リスとヒトの特性をもつ獣人。


まだ幼いが機転が利き、多くの経験を余すことなく活かす世渡り上手。クセのある商人言葉で話す。金や儲け話に目がなく、損をすることには敏感。ゴブリュード市場でも名の知れたやり手だが、店は構えずに便利屋としてさまざまな仕事を請け負って暮らしている。


戦闘能力は無いかわりに、旅荷の管理や物資購買などを担う。長い旅の経験があり、道案内としても期待されている。


どうやらカイザスに大恩があるらしく、リクスンに負けず劣らず彼を敬愛している。時折城下町で落ち合い、市井の情報を彼に流しているとかなんとか。


「正式にお目にかかるのは初めてでやんすがね、リクスンさま。こう言っちゃ何ですが……お兄様とは似てないっすねえ」

「当然だ。俺と義兄上に血のつながりはない」

「うんにゃ、そういうトコじゃないでやんすよ。あの方がまとう高貴さっつーか、輝くような知性や溢れでる品格っつうか。そういう魅力はちっと少ねえなと」

「な、何を言う!? 俺と義兄上を比べること自体が間違っているとは思わんのか! あのように完璧な気品、長たる者にふさわしき気概、そして分け隔てなく注がれる厚意――それらを兼ね備えた人間がゴロゴロ存在するわけがなかろう!?」

「まあ、確かにそうっすね。カイザス様が大粒の真珠だとしたら、あっしらなんてみんな割れた茶碗片みたいなもんでやんす!」

「わかっているではないか、商人ッ!」

「あっしも、あなた様となら楽しい旅ができそうな気がするでやんす!」


獣人と騎士がガシリと手を取り合っていた頃――事件の後処理に追われる城では。


「……うん? 呼んだか、クリュウ」

「いいえ、カイザス様」

「はて。何だかやたら熱く名を呼ばれたような気がするのだが」

「大方どこかの侍女がまた、貴方様のお噂でもささやき合っているのでしょう。みずからに与えられた務めを差し置き、まったく不謹慎極まりないことです」

「そういうお前にも仕事があったように思うが……?」

「瓦礫を片付ける人員の手配ならば、もう済みました。そ、その――貴方様の始末書制作も数日続いております故、よければ東に伝わる茶や菓子などをと……」

「おお、それは願ってもない! さっそく頂こう。ちょうど調理場に返し損ねていたカップが溜まっていてな。私が淹れよう」

「そ、そのような雑務ならば自分が!」

「なに、茶を淹れるのは密かな趣味だ。座っていてくれ。今日の城壁塔は風が強かっただろう? しばし温まっていくといい」

「……。いただきます……」


***


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