第40話 俺様最強種
蛇人のシンさんが、勝手に主従宣言してしまった。
許す、って言ったの俺だよ、俺なんだけどさー、 ふう、人生ってままならない。
シンさんの色気パワーは、凄すぎる。お義母様や屋敷のメイド達、俺と比べて見る目が違いすぎる。そんな溢れる美形と色気の持ち主が、俺に仕えるって、違和感しか無い。
俺だって、それなりの見た目だよ、前世から比べたら、10割マシでイケメンと言ってもいいぐらいなんだが、もうね、レベチ。
もはや、神。 通常のイケメンレベルじゃ、ただの草だよ。WW。
なんかさ、顔の造りだけじゃないんだよね、オーラというか、エロさというか、存在自体が卑猥なくせに品があるとか、世界最高峰の娼婦? 知性と教養を併せ持ち、美貌とテクで戦う俺様最強種?
男にも女にもなれるらしいが、とりあえず男で!
あんな美女が俺に仕えるって、どんな罰ゲームだよ!
目立ってしょうがない、絶対トラブル! 男のほうがまだマシ・・・・だと思う。
ジェドの傷が治ったら、また、話し合うということで、やっと家に戻ってきた。
疲れた、ほんっとうううに、疲れた。
シンさんは当たり前のように家についてきたし、うん、いいんだ、そんな気がしてたから。
あまりにも、濃い夜を過ごしたせいか、すっかり忘れてたけど、ギルドに呼ばれてたんだ。ダンジョンにも行かないとな、猫又達だって、ミハルに会いたいだろう。
ギルドで、今後のダンジョンの運営について話し合った。運営はギルドが総責任者となって進むのだが、発見者の特典として、報奨金とは別に何か一つおねだりしてもいいと言われたので、ドロップ品の優先買付権にしてもらった。
ギルドが買い取ったドロップ品の1割は俺が優先的に買い取れることになる。
ミハルにお願いすれば、ドロップ品はある程度、調整出来るし、どの階層まで踏破されてるのかわかりやすいからね。
ナナミとタイガーヴァイスは、ドロップ品の買い取り価格を1年間、通常より2割増しで話がまとまった。
さて、ようやく、居酒屋への第一歩が見えてきたぞ。ドロップ品を買い取ってメニューを充実させるんだ、仕入れ値を抑えられるから、コスパもいい。
早速、商業ギルドで登録だ、お金さえ払えばすぐに出来る。
・・・ん、ちょっと待て、不安を感じて自分の冒険者カードを見てみる。
【冒険者カード・ブロンズ】
名前:ダイチ(18)
種族;人族
ランク:F
拠点:シュバーツェン
スキル:鑑定
アイテムボックス
念のため、ナナミのカードも見せてもらう。
【冒険者カード・ブロンズ】
名前:ナナミ(18)
種族;人族
ランク:F
拠点:シュバーツェン
スキル:光魔法
やっぱりだ、低ランクのカードは、HPやMPは記載されないけど、スキル欄に属性魔法が載るんだ、俺の時空魔法って載っちゃうのか? あっっぶねー、試してみる勇気は俺には無いな。
仕方ない。冒険者ギルドに戻り、ギルマスに極秘の話があるからと無理矢理、時間を作ってもらって、ぶっちゃけた。ごめん、俺が領主なんだよ。
相当、狼狽えていたが仕方がない。でも、ナナミや俺にべったりなシンさんを見て、何かあるんだろうと思ってはいたらしい。で、実は以前には魔力が抑えられていたが、今は解放されてるので、この状態でカードの登録はしたくないが、買取権は欲しい。店も出したい。どうにかしてくれ。
結果、どうにかなった。特例として冒険者だが、1年間だけ店を出す許可を貰えたんだ。商業ギルドへは、商売人としての税金はきちんと払うと、シュバーツェン男爵家の保証付き。で、認められた。
やっふー! 貴族でもいいことあるじゃん。
ギルマスのアダムさんは、身分を隠してダンジョンの発見と調査か・・なかなかうまいやり方だな、なんて、ぶつぶつ言ってるのが聞こえたけど、そんなん、知らん。
それよりも店を出すと言った時点で、シンさんが若くて美人でテクニシャンな娘はお任せあれ、とか言ってたけど、却下だからね、何の店だよ、何のテクニックが必要なんだよ。
大丈夫、自分は身も心も捧げてるので心配いらないとか、お望みとあれば自分一人で男も女もとか、そういう貴方が一番心配ですよ。
シンさんは、蛇人族の長の親なんだって、娘に地位を譲ってのんびり隠居してたら、捕まったらしい。住んでた洞穴に薬を撒かれて、弱っているところに呪をかけられ、奴らの道具になっていたと。
うーん、洞穴に帰ってもいいんだよ、そう言ったら、主従の誓いを破るのは自分からは出来ない、どうしても帰したかったら、死体を送り返してくれと言われて、黙る、オレ。 そこまでかよ、わかったよ。
さて、いよいよ、明日からダンジョンアタックが始まる、最初は少人数で抽選方式、日帰りで戻るのが条件だ。
俺も買取を始めるぞ、そして、屋台を準備しよう、と思ったらナナミやシンさん、猫又達にまで反対された。
てっきりナナミは、ダンジョンアタックに行くのかと思っていたら、お店を手伝ってくれるらしい。
シンさんも張り切っているが、悪いけど、そんなに大きい店にするつもりはないんだ。店も俺一人で切り盛り出来て、出来ればお客様と近い距離間で、カウンターとテーブルが2,3席あれば十分なんだ。
そこは譲らないぞ、別に金儲けのために店を出したい訳じゃないんだ、赤字は困るけどな、それじゃあ、ただの自己満、道楽にしかならないからさ。
我が主はなんと慎ましい、望めばこの国一番の高級レストランを買い取って・・・とか、またシンさんがたわ言を垂れ流してるが、無視だ、無視。
俺は一流の料理人を目指してる訳じゃないし、何店舗も経営する大手チェーン店をやりたい訳じゃないからな。
身の丈に合った、アットホームな個人経営の居酒屋さん、常連さんが何人かいてくれて、メニューの試食とかしてもらってさ、
今日はどうする? 久しぶりにあそこ行ってみる、 おっ、いいね、 行こうか、
そんな店になればいいな、そんな店にしていきたいな、
そうだ、店の名前は何にしよう、
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