第22話 道

魔道具の依頼をして、3日がたったのだ。

その間にとうとうロキとパメラのパッシブスキルが生え始めたのだ。

ロキが力向上Lv1、パメラが素早さ向上Lv1を得ることができたのだ。


おっさんの中でパッシブスキルを生やし、成長する方法の考察を進めているのだ。


考察1:ステータスは高い方がパッシブスキルは得やすい

考察2:レベルが高い方がパッシブスキルは得やすい

考察3:個人の特徴で高いステータスはパッシブスキルを得やすい

考察4:負荷をかけたステータスがパッシブスキルを得やすい


考察1としては、王城の訓練ではパッシブスキルが生えなかった。

仲間支援魔法のかかるイリーナの街(開墾中)に来てから、得られたための考察である。


考察2としては、おっさんと共にダンジョンを攻略した仲間は全員レベル38である。

レベルが高い方が、アクティブスキルレベルも成長しやすいのだ。

故にパッシブスキルも成長が早いと考えられるのだ。


考察3としては、パメラが耐久や力よりも素早さが上がったのだ。

やはり各個人のステータスの特徴に合わせたパッシブスキルの成長も考えられるのだ。


考察4としては、鎧の騎士カフヴァンの訓練は、ロキは攻撃を受ける訓練をしている。

パメラは攻撃をかわす訓練をしているのだ。

この辺も、ロキは耐久が上がり、パメラは素早さが上がった要因とおっさんは考えているのである。

なお、カフヴァンはパメラの動きを読んでいるようで、結構あたってはいるのだ。


また、おっさんの分析によるパッシブスキルの効果は、以下のとおり

レベル1:素ステータスの1.2倍

レベル2:素ステータスの1.5倍

レベル3:素ステータスの2倍

レベル4:素ステータスの3倍

レベル5:素ステータスの4倍


仲間支援魔法による効果は、以下のとおり

仲間支援魔法Lv1:2倍

仲間支援魔法Lv2:3倍

仲間支援魔法Lv3:4倍

仲間支援魔法Lv4:不明

仲間支援魔法Lv5:不明



今日は冒険者の要塞にいる測量士達をイリーナの街(開墾中)に招待するのだ。


「ではいきましょうか」


ここは城壁の上である。

伯爵側の城壁の中央であるのだ。


「じゃあ、召喚するぞ!召喚!!」


2体のAランクの狼型のモンスターが召喚されるのだ。

体長15mもある。

2体のモンスターに乗りこむのだ。

おっさん、イリーナ、ロキ、コルネ、セリム、パメラの6人が2体に分かれて乗り込むのだ。


「グレートウォール」


土魔法Lv4で城壁から垂直に伸びる土壁である。

横幅200m、長さ500m、厚さ20mである。

そして、垂直に作った土壁は高さ100mだ。

最も高い50m級の木の倍の高さに作られた土壁の道であるのだ。


「この上を走るのだな」


「はい、その方が安全に案内できますので」


走り出す狼型の召喚獣である。


「結構な速度ですね。飛竜やセピラスほどではありませんが」


(走りでも結構な速度がでるんだな。しかし、上下に揺れるな。一般人では乗りづらいか)


500mの土壁の端に行く前に新たな土壁を作成するのだ。


横幅250m、長さ500m、厚さ20mである。

横幅を50mほど大きくするのだ。


横幅200m、長さ500m、厚さ20m

横幅250m、長さ500m、厚さ20m


この2つの道を交互に作成しながら前進をするのだ。

タブレットで冒険者の要塞の場所を確認しながら、まっすぐイリーナの街(開墾中)までの道を作るのだ。

タブレットの【地図】機能には、街などの施設の場所が表示される。

冒険者の要塞の場所も表示されており、まっすぐ道を作成していくおっさんである。


1時間が経過する。


(ふむ、ちょうど中間くらいだな。時速60kmくらいか)


進みながらタブレットで位置を確認するおっさんである。


「このまま、いきましょう!!」


「おう!!」


大きな声で、もう1体の召喚獣に乗っているセリムが返事をするのだ。


さらに1時間が経過する。

冒険者の要塞が見えてきたのだ。


おっさんが作った、縦横4kmの広さ構造の中にある、縦横2kmの宿泊施設を備えた要塞である。

全体の4分の3が狩場になっており、4分の1が宿泊施設だ。


「一度召喚獣をしまいましょう!!」


「分かった!!」


要塞にいる冒険者を驚かせないためである。


(外にいるだけで1000人以上いるんじゃないのかな)


召喚獣をしまったが、冒険者はかなり驚いているようだ。

前方から伸びてくる道を発見した者もいたようだ。

指をさして、何かを叫んでいる。

要塞の城壁は当時の最大魔力で高さ15mであるが、今回は上空100mの高さにある道である。


宿泊施設に道をつなげていく。

スロープのようにゆっくり下降した道を宿泊施設におろし、施設の地面に足を踏み入れる4人である。

おもいっきり冒険者は警戒している。

さすがに警戒はしているが、攻撃をしてくるものはいないようだ。

この要塞の責任者が駆け寄ってくるので、事情を説明するおっさんである。


(たしか、責任者はフェステル伯爵領の副団長なんだっけ?)


冒険者という荒くれもの達が溢れる狩場であり、街なのだ。

既に千人という規模にたっした冒険者の要塞は、街という扱いである。

2km四方の中に店や宿も出店しているし、素材の加工や買取もここで行っているのだ。

統制するために、フェステル伯爵は領内の騎士団の副団長を2名体制に変更し、1名を冒険者の要塞に配置したのだ。

100人規模の騎士と兵たちによりトトカナ村と冒険者の要塞の両方を管理しているのである。

おっさんが6日後に上空からやってくることはセバスから聞いているので、そこまで抵抗なく受け入れるのである。

この要塞を作ったのもおっさんであるのだ。


副団長の話では、既に少し前に到着しているとのこと。

今呼びに行っているので少し待ってほしいとのことである。


(今着いたばかりか、疲れているなら少し待つかな。本人もそうだけど、馬も疲れているだろう)


そんなことを考えていると、馬車の馬を変えて、すぐに出発してくれるようである。

測量士が3名と、従者が3名ほどの構成のようだ。

測量に必要な荷物等もあり、人数の割にはかなり大型の馬車のようである。


(思ったより少ない人数だな、冒険者もいないし)


冒険者の要塞まで、冒険者は10名体制で護衛したのだが、おっさんがいるので、護衛の冒険者は不要であると判断したのだ。

残り10人は冒険者の要塞で稼いで帰るのである。

従者の3人は御者である。

ここまでのお金も全てフェステル家が払っているのだ。


測量士と冒険者に挨拶をされるおっさんである。


「ヤマダ子爵様お久しぶりでございます。この度はよろしくお願いします」


「ああ、お久しぶりです」


要塞の測量も手掛けたフェステル家お抱えの測量士のようである。

挨拶もそこそこにもう出発できるとのことである。


スロープ状の道を上るおっさんらである。

上空100mまで馬車に乗って進んでいくのだ。


「コルネ、すいませんが、馬車の上に載って索敵をお願いします」


「はい!」


上空にもモンスターは出るのだ。

しかし、Cランク以下で上空100mもの高さを飛べるものは少なく、ワイバーンのようにBランクのモンスターがやってくるのは稀であるのだ。

念には念を入れての対応である。

召喚獣を出すと言ってさっき出していた狼型の召喚獣を2体出すおっさんである。


馬がかなり怯えるようだ。


(かなりびっくりしているな。馬が慣れないようならしまうかな)


馬車の前後を挟むように移動するのだ。

馬車の中にいると作業がしづらいためだ。

イリーナの街(開墾中)戻るおっさんらである。

馬車1台と召喚獣2体で進むのだ。

ロキとパメラは訓練で疲れているため、馬車に乗せて移動させる。


なお、最後に冒険者の要塞との間のスロープは消すのである。

まだ、イリーナの街(開墾中)は人が住める状況ではないので、もう少ししたら、冒険者の要塞と繋ぐ旨、副団長に説明をするのだ。


来る時に道を作ったおっさんである。

帰りは両端と天井に壁を作るのだ。

道の幅を変えたおかげで、500m置きに通気口と雨の排水溝にするのだ。


「グレートウォール」


「グレートウォール」


「グレートウォール」


土壁が両端と天井ができるのだ。

天井にも空気と光穴をあけるおっさんである。

しかし、壁も厚くかなり暗くなる。

馬車につけてある魔道具の灯りもともすのだ。


【ブログネタメモ帳】

・フェステル伯爵領との間に道を作ってみた


(グレートウォール使えるな。やばい土壁にもう頼らないって言ったのに)


土魔法Lv4のグレートウォールはこれまでの土魔法Lv1から3までとは違う特製があるのだ。


・縦横厚さの長さを自分で変更できる

・長さや厚さを変更しても強度は変わらない

・縦横厚さを頭で考えなければ発動しない

・長さの最長は1km、最短は20m

・強度はINT依存


ダンジョンコアのボス戦で無意識に使ったグレートウォールである。

その時、自分の指定した大きさで作れたので、もしやと思い検証した結果、このようなことが分かったのだ。


(まあ、街づくりにはぴったりだな。長さや厚さ調整しやすいし)


馬車に合わせているため、30km付近で道の上で宿泊するのである。


「ん?何を作っているんだ?」


「宿泊施設です」


上空100mのところに土魔法Lv4を4回使って作った2平方kmの宿泊スペースだ。

帰りには、120kmある道の30km置きに3か所作成予定であったのだ。


食事をしながら改めて測量士に話を聞くおっさんである。

なんでも、このままイリーナの街(開墾中)に滞在するとのことである。

また、従者の3人も将来的におっさんの配下になる予定のものを選んだとのことで、開墾中はずっと、開墾に従事するのである。

今回は20前後の若い従者1名に、40前後の従者2名のようだ。

若い人だけではなく、ある程度、知識も経験もあるものを選んでくれたようである。


(ふむふむ、測量の移動は広いんで馬車の操縦お願いするかな)


話を聞いてさらに、予定を加えるおっさんである。


現在、武術大会の招待状を貰って15日目のことである。

これからあと2か月程度は開墾、街づくり、訓練を重ねるのだ。

あと15日程度の30日目で、王都から獣王国の王都に向けて馬車が出発する予定である。

獣王国の外交官からあまりぎりぎりにつかないでほしいとのことであったので、少し早めに出発するのである。


翌日の夕方である。

おっさんの作った完全に舗装された道は、馬車の揺れもほとんどなく、早めに着くのであるが、無理してもしょうがないのでここでいったん休憩するのだ。

領都から冒険者の要塞まで60kmの中間点である。

4平方kmの広めの宿泊所にする。

土魔法Lv4で、宿泊場所を作成するのである。

なお、ロキとパメラはこれから訓練であるのだ。

帰りは4日かかることが前提であったため、2日間は訓練をするのだ。


おっさんは街も作っているが、あくまでも訓練が優先なのだ。

訓練し、武術大会に出ることを全て優先しているのだ。

仲間達にもそのように伝えている。


測量士と従者には驚かないように伝えて代わるがわる鎧の騎士カフヴァンと訓練を受けるのだ。

道上に作った真っ平な宿泊施設で、全力で訓練をするロキとパメラである。

人智を超えた動きでドン引きする測量士と従者である。


それからさらに2日が経過する。

ようやく測量士をイリーナの街に連れてきたのだ。

土壁の上から、開墾が進んだ広い空間を見る測量士と従者である。


「ここが将来のイリーナの街ですね?」


「はい、その名前は仮称ですけど、そうです」


「ん?イリーナの街ではないのか?」


測量士とおっさんの会話に疑問符がでるイリーナである。


「イリーナの街ですけど、正確には違うのです。測量が進めば、まもなく全体像が見えてきますので、その時まで待っててください」


楽しみに待っていてほしいというおっさんである。


「そうなのか?分かった。楽しみにしてるぞ」


イリーナの街(仮称)の測量による街づくりを行うのだ。

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