第14話 実地調査

それから一週間後

おっさんは、結婚式の様子をブログに起こしていたのだ。


「3本しかブログに起こしてないけど、さすが結婚式だな。なかなかのアクセス数だ。あとは、街づくりについて、新ネタってことでアクセスいいな。まあ、異世界の真実の詳細をブログにしているのも俺くらいだしな」


結婚式編

第123記事目 異世界の両家顔合わせ ~お義父さんの威厳は何処~

第124記事目 異世界の結婚式 ~キスのタイミングは何処~


街づくり編

第125記事目 自分の街を作ってみた ~会議編~


PV:420765

AS:60751


「それにしても、現実世界の国で考えても山が多いのは普通らしいな。9割が山地の国もあるんだな。日本だと6~7割か。それを考えると4割が山で、6割が森はそこまで悪くないか」


おっさんは、ブログを起こしながら、街づくりについて考えていたようだ。

おっさんの封土は小から中規模程度の国の大きさ並みの土地のため、山や森の活用についても考えていたようだ。


「人類の歴史は森を切り開くことから始めたのか。川が近くにないと田畑の水やりに困るな。まあ、山脈が近いから、地下水は豊富そうだな」


街づくりに必要なものをタブレットのメモ機能に記録しているようだ。


「あとは、施設型の魔道具だな。街に必要な灯り用水路の施設も確保しないとな。ごみの焼却施設もだな。他にも必要なものがないか、この辺は王城の役人に相談するかな」


やらないといけないことはたくさんあるようである。

優先順位をタブレットのメモ機能に記録していくおっさんである。


「さて、スキルも大事だな。ASポイントも結構たまってきたし、新しいスキルの検証も含めてとっていくかな」


・氷魔法Lv1 10ポイント

・神聖魔法Lv1 100ポイント

・4次元収納Lv1 10000ポイント

・魔力向上Lv5 10000ポイント

・知力向上Lv5 10000ポイント


NAME:ケイタ=フォン=ヤマダ

Lv:38

AGE:35

RANK:A(・)

HP:1560/1560

MP:1600/1600

STR:237

VIT:348

DEX:348

INT:1540

LUC:363


アクティブ:神聖【1】、火【4】、水【4】、氷【1】、風【5】、土【4】、回復【4】、治癒【4】、魔抵解除【5】、物抵解除【5】、収納【1】

パッシブ:体力【5】、魔力【5】、力【4】、耐久力【4】、素早さ【4】、知力【5】、幸運力【4】、魔法耐性【4】、魔力消費低減【3】、魔力回復加速【2】

仲間:取得経験値上昇【2】、体力支援【3】、魔力支援【2】、力支援【3】、耐久力支援【3】、素早さ支援【2】、知力支援【2】、幸運力支援【2】


加護:検索神ククルの加護(大)


EXP:846448074



「こんなものか、とりあえず検証だな。あとは4次元収納がどの程度荷物が入るかということだな。これがないと召喚獣の飛行で苦労しそうだからな。魔力消費しまくって苦労するのは召喚士だけど」


そして、ダンジョンのコアボス戦で苦労したために探したスキルがあるのだ。

魔法の発動が遅すぎて、収束魔法の障壁を破壊するのに苦労したのだ。


「詠唱で検索しても出なかったけど、それらしいものが2つヒットしたな。魔力回復加速も魔力消費低減もレベル1は100ポイントだったから、この辺の必要ASポイントは統一感があるな。思考力加速はなんか違う気がする」


・魔力発動加速Lv1 100ポイント

・思考力加速Lv1 1000ポイント


取得しないようだ。

まずは現在発動にどれくらいかかっているかタイムを計ってから、取得したいようである。

タブレットには【ストップウォッチ】機能もあるのだ。


「さて、異世界に戻るか」


『ブログ記事の投稿が確認できました。異世界にいきますか はい いいえ』


おっさんは『はい』をクリックすると、ふっと目の前の風景が王都のゼルメア侯爵邸の一室に変わる。

イリーナがそばに立っているのだ。

現実世界に両親を送ったままの状態であるのだ。


「なるほど、こうやってケイタの両親は別世界に行ってしまうのだな」


イリーナが驚いているようだ。


「はい、そうです。私も元いた世界に両親を送ってきました」


「ほ、本当か?横にいたではないか」


「そうなんです。6日間ほど、私だけ時間が過ぎています」


過去の経緯も、世界の移動も先日話をしているため、イリーナはなんとなく理解しているようだ。

顔に出さないようにしていたが、悲しい感じになっていたのか、ぎゅっと抱きしめられるおっさんであった。



そして、翌日の朝である。


「では、新しい街の場所を探しに行きましょう」


「はい」


「ロキは大丈夫ですか?」


「はい、ガンダレフ様に訓練していただかないといけませんので」


昨日は、異世界に戻ってきた後、まだお昼前であったため、ロキとパメラのいる訓練場にいったおっさんである。

セリムの魔力を支援魔法で上げて、しゃべる鎧を4回召喚したのだ。


(1回の召喚は52分だったな。ロキ、パメラ、ロキ、パメラで訓練してたな。つうか、しゃべる鎧ってパメラ相手にするときは、素手だったな。鎧だけど)


ついでにしゃべる鎧の限界召喚時間を調べたおっさんである。

パメラ相手には素手で戦って訓練したしゃべる鎧であったのだ。

しゃべる鎧は、2日訓練して、1日休むことを理解しているため、2日目の方が訓練を厳しくしているようであるのだ。

1日目と2日目でロキのボロボロ具合が違うのである。


そして、今日は召喚獣に乗って、街を作るのによさそうな場所を探しに行くのだ。

トトカナ村の先の先である。

参加者はおっさん、イリーナ、ロキ、コルネ、セリム、パメラ、ソドンの7名である。

召喚獣は飛竜とセピラスの2体。

飛竜組は、おっさん、イリーナ、コルネ、セリム

セピラス組はロキ、パメラ、ソドンである。


これにも理由がある。

おっさんが両方を乗ったところ、セピラスの方が飛行に優れており、背中も羽と羽毛で覆われており、風も防いでくれて乗りやすいのだ。

魔力も飛竜より豊富のようであるのだ。

なので、前日の訓練で疲れているロキとパメラの負担を考慮したのだ。

飛竜と違い、羽毛に埋もれているだけでいいので、乗っているだけでいいのだ。

おっさんはセリムと相談しながら、移動先や着陸を決めるため、このような布陣になったのだ。


(割と皆、抵抗なく、召喚獣に乗ってくれるのね。四次元収納のおかげで荷物が減ったしな)


王都からほどなく離れたところから飛び立つ7人である。

これから、飛竜に乗って獣王都にも乗り込もうと思っているので、あまり大っぴらに飛んでいかないのである。


(王都から冒険者の要塞まで360kmくらいだっけ?直線だともっと早いような。たしか4人乗りで、時速120kmの3時間で到着するはずなので、一度召喚し直せばお昼前には到着するな)


空を飛びながら、到着までの予定時間を考えるおっさんである。


「セリム」


「ん?」


「飛竜とセピラスに道順覚えるようにお願いしていただけませんか?王都からの往復は頻繁にあるかもしれません。飛竜やセピラスだけで、誰も載せずに往復をお願いすることもあるかもですので」


「分かった。伝えるよ」


3時間が経過する。

予定通り、トトカナ村の先にある冒険者の要塞近くに着くのだ。

あまり近づきすぎて驚かせてはいけないので、少し離れたところを通り過ぎていくのである。

当然、ここまでも荷馬車の走る整備された道から少し離れた位置を飛んでいるおっさんである。

タブレットのマップ機能で、整備された道の少し離れた距離を維持するおっさんであるのだ。


「もう要塞に着いてしまったぞ」


「はい。この速さなら獣王国の王都にも1日2日で着くでしょう」


改めて、召喚獣の速さを理解するおっさんらである。


飛竜に乗り、要塞の先の景色を見るおっさんである。

そこにはずっと先まで、続く深い森林であった。


「あれが、大連山ですか!」


「「「おおお!!!」」」


(タブレットの地図上ではこの先の山脈に切れ目があるな)


約300km離れたところに並び立つ大きな山脈である。

これだけ離れていても分かるほどの山脈であるのだ。

標高は富士山よりはるかに高いのである。


(たしか富士山が見える限界って周囲300kmくらいだっけ?大連山はそれ以上の標高がありそうだな!


そして、その山の切れ目が確かにあるのである。


「うむそうだな。街に適したところを探すのか?」


「はい、川か、開けたところがないか探してみましょう」


「分かった」


【ブログネタメモ帳】

・街づくり ~実地調査編~


トトカナ村から要塞までの延長線上を進んでいくおっさんである。

多少ずれてもいいと思うので、皆見る方角を決めて進んでいくのである。


(ずっと先まで森でほとんど変化ないな。木の高さも変化ないし、森林であるがほぼ平地であるんだな。そういえば、空にはモンスターいないのかな。今のところ遭遇していないが)


さらに1時間が経過する。

2時間経過毎に出し直すので、2回目の召喚が間もなく切れるところである。


「なかなかないですね。そろそろ一度地上で降りないといけませんね。って川がありますね!」


1時間といえば120kmの飛行距離なのだ。

馬車移動だと4日なので、要塞から結構離れているのだ。

そろそろ、街に適した場所を見つかってほしいと思っていた矢先である。


「本当だ。結構大きな川だな」


大連山に並行して流れる川である。

平行なので、南北に流れているのだ。

北から南に流れる川である。


(普通山が上流になって川ができるんじゃないのか?なんで水平に流れているんだ?もしかしたら、このまま上流にいってみると平行から大連山に垂直に変わるのか?)


考察しながら、川の近くに降りるおっさんである。

時間を測りながら飛んでいるおっさんであるが、時間ギリギリの不時着である。


「そうですね。川幅が2町(200m)くらいありそうな川ですね」


(いい感じの川だな。水量も十分にあるしな。文明の香りがしてきたで。まあ、川があって、大連山の切れ目と要塞の間にあるし、ここにするかな。少し要塞から離れていてて、結構木があるけど)


多少の不満もあるが気にしないようだ。

川を最も優先順位を高くしていたおっさんである。


おっさんらは森の中を突っ切るように流れる大きな川を発見したのであった。

おっさんの街づくりが始まろうとしているのである。

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