第196話 ちょっと悩みがある。

 ということで、天塩と清水と大吟醸と白米。


「うん」


 わたくし、自分てものがないような気がするんです。


「ないね」


 うん……絵にも個性がないし。


「ないね」


 そのかわり、これをコピーしろと言われたら、完璧に近いコピーを作れる。


「うん」


 あのキャラクターをこの文体で、あじつけを~ふうにして、と言われたら、ほぼパーフェクトにミッションクリアできる。


「うん」


 でもそれって亜流ってことですよね。


「ですよね」


 個性ってどうやったら身につくんだろ。


「たぶん、遊ばないとだめよ」


 遊ぶって何をどういう風にするんですか?


「遊ぶっていうのは、個性を磨くことを言うのよ」


 磨く個性がないんだから。


「しかたないわね。レールガンの主人公二人を精霊使いの剣舞の文体で構成からなにまでコピー」


 うーん、それって亜流にならない?


「亜流どころか、しっかり勉強しました! って感じ」


 ラノベの勉強したとき、〇と△を足して二で割ったような作風はだめだってテキストにあったよ。


「よかった。それだけわかりましたね」


 やれというならやりますが。


「だめ! それじゃだめなの」


 はあ。


「んとに、個性がないなあ」


 やれといったらやりますよ。


「だめ、やめておけ」


 どちらなんですか、もう。


「なまじ、コピー能力があるだけに、無味乾燥になりがち」


 ミッションクリアしたときの達成感が忘れられない。


「だめー!」


 マシーンにあこがれてて。


「そういう時期は子供の頃捨ててきたはずなのに……!」


 子供なんでしょうか。


「子供だ」


 子供は天才だから。


「凡人になれ!」


 いや、作品でなくてリアルを小説世界に正確に落とし込んだら、それは個性になりませんか。


「なりませんか? できるというの?」


 できると思いますよ。


「じゃあやってよ」


 あいあい。

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