第27話 神護景雲四年 帰京の兆し
流刑の何のと言ったところで、この
しかし、衣食は私一人分しか配給されない。最初こそ、少しばかり手元不如意に思えたが、生活力旺盛な
この地では、読み書きなどの技能がなくとも、できる仕事はいくらでもある。むしろ私のような官人は、役所以外では大した役に立たない。それでも長年の武官生活のお陰で、弓馬の扱いや
年の暮れ、
煙を吹く山の姿も馴染みとなり、
これだけ南の地なので、冬は暖かく雪も降らないだろうと思っていたが、山の近くまで行くと多少は積もる。この辺りは故郷の吉備と変わらない。
海から暖かい風が吹き始めれば、あっという間に雪は消える。花の咲く時期も、鳥の渡りも、雨期の入りも畿内よりは早い。当然ながら耕作の時期も早くなる。
雨期が明ければ、これでもかと強い日差しにさらされる夏が来る。暑いのも畿内以上だが、心地よい風が吹く。
そして秋は、ゆっくりとやって来る。ついでに暴風雨も追いかけて来る。
この年も秋の初めに大雨があったが、幸いにして大きな被害はなかった。皆が安堵に胸をなでおろす。
大雨の少し前、八月の初め頃に、
刈り入れがすっかり済んだ頃、平城からの使いがやって来て、重々しい顔つきで女帝の崩御を伝える。上がった烽火は、これを告げていたようだ。既に一月近く経っているが、国府では三日の服喪に入る。
更に一月後の事、
それにしても、春宮とは誰の事なのか。
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