第56話 魔法には適性があるのですね

「魔法適性ですか?」

「ああ今は回復魔法しか使えないんだろ?」

「そうですね。人に使えるものは【ヒール】だけですね」


 【拒絶と吸収】は魔法ではないので除外するとして、【鑑定】と【インベントリ】も別物かなとレイナは思いそう答える。

 ニコラはレイナの魔法適性を調べ魔法を教えるつもりだ。

 その事をレイナに伝える。


「ついに魔法を教えていただけるのですね!」

「まあな。ただ才能が無ければ教えても無駄だからな。その為の適性確認だ」


 全属性適性があるニコラらしい言い方だ。

 どの属性の魔法でも教えられるという事なのだろうとレイナは感心する。

 同時に凄い人に教えて貰っているんだなと、自分の恵まれている環境に感謝する。


「まあ、私より年下なんだけどね」

「ん? 何の話だ?」

「いえ、こちらの話です。それでどうやって適性を調べるのですか?」


 思わず漏れた心の声を誤魔化しレイナは先を促す。


「適性用の解析魔法で調べる」

「えっ、そんな魔法があるのですか!?」

「ああ、俺のオリジナルだけどな」

「ええっ!」


 通常適性を調べるのは水晶とか神の啓示みたいに特別なイメージをしていたレイナ。

 それを魔法で調べられるなんて便利であると思う反面、それをオリジナルで作ってしまうニコラの才能にレイナは驚きを覚える。


「じゃあ、やるぞ。【アナライズ】!」


 ニコラはレイナに手を向け唱えた。

 レイナとしてはキラキラと体が光ったりとかを期待していたが特に変化はない。


「えっ、終わりですか?」

「ああ、分かったぞ」

「そうなんですね。それでどうなんでしょう?」

「ん? うーん、やっぱりお前変わっているな……」

「えっ、何か変なんですか?」

「普通は属性毎に数値化をしているのだけど、聖魔法以外は???に表示されている」

「それって……」

「適性が有るのか無いのか分からないって事だ」

「はあ。でも聖魔法は適性有って事ですよね!」

「ああ、それは間違いない。俺よりも向いている」

「ニコラ様よりですか!」

「順調に伸ばしていければの話だが、超える事は出来るだろうな」


 ニコラは一瞬レイナを羨ましそうな、ほっとしたような目で見る。


「ええっ! 凄いです!」


 レイナとしては信じられない気持ちであろうが、ニコラの解析は正確だ。

 ニコラとしては万能である事と一芸に秀でている事は別だと考えているし、自分は専門職には成れないなと考えている。

 何でも満遍なくこなせる器用さはあるが飛び抜けるものはない。

 それがニコラの自分への評価だ。


 しかしそれは過小評価と言ってもいいかもしれない。

 なまじ解析が使えるので数値だけで判断してしまう癖がある為、ニコラは勘違いしている。

 ニコラはそれぞれが高い水準で身に付けているのでトータル的な戦闘力と言う意味では他を圧倒出来る事に気が付いていない。

 

 ただレイナの聖魔法との相性はとても良いのでニコラは羨ましく思ったのも事実。

 

「これからは聖魔法を中心に教えていく!」

「はい。よろしくお願いします!」


 今後の方針が決まった。

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