第45話 悪質ですね
「呪いですか……」
「はい。間違いないと思われます」
「しかしレイナさん、わたくし共でも調べましたが【鑑定】結果は毒状態だと出ています。呪いなどなかったはずですわ」
そんな事は何回も調べているからだろう、クリスティーナはレイナの診断に疑問を呈す。
「ええ、毒状態と偽装されているみたいです」
「偽装!? まさか!!」
クリスティーナが驚くのも無理はないだろう。
偽装する能力は禁忌の能力であり簡単に出来る事ではない。
使える人間も一握りしかいない。
増してやそれを見破るなど規格外の能力であり、レイナがその力を持っている事をクリスティーナが信じられないのも仕方ない事だろう。
だか鑑定内容は否定しようにも否定出来ない説得力がありクリスティーナは受け入れる。
「いったい誰がそんなことを……」
「分かりません。もう少し詳しく調べてみませんと何とも言えませんが、呪いで間違いないと思われます」
「確かに。それなら今までの治療が効果無かったのも頷ける」
今までクリスティーナ達はシールズには毒に対しての治療を繰り返しているのみだった。
周りの者達は偽装された鑑定結果を信じて疑っていなかった。
もし呪いだと分かっていたなら他の方法を試していただろう。
「それなら解呪師を呼べば……」
「いえ、一つ問題があります」
クリスティーナの話を遮りレイナは言う。
「レイナさん、何が問題なのでしょう?」
レイナは表示されている呪いの詳細を見る。
絶命の呪い:解呪者に絶命の呪いが掛かる。
「この呪いは解呪した人間にも掛かる様です」
「まさかそんなことが!」
クリスティーナは口に手を当て驚きの表情を見せる。
余りにも悪意に満ちている、全員の見解はこれに尽きるだろう。
ただでさえ厄介な呪いが伝染するなんて、この呪いを掛けた人間の性根を疑ってしまうのは当然だ。
では誰が呪いを掛けたのかレイナは考える。
相手はどうしてもシールズを亡き者にしたい人物。
敵対する貴族とかそんなところが有力なのかもしれない。
そこら辺の事情はレイナには分からないので、治療が可能であるのかというところにレイナは思考を割く。
「レイナさん弟は助かるのでしょうか?」
クリスティーナの不安がレイナに伝わってくる。
症状の改善と治療、そして自分が呪いを受けない事を同時に行わなければならない。
治せるなら治したいとレイナは思う。
しかし厳しいと言わざるを得ない状況にレイナは苦悩する。
その間にも【鑑定】を続け、レイナは新たな情報を探る。
「クリスティーナ様、今までの毒の治療で体調がおかしくなった方はいらっしゃいますか?」
「いえ、その様な事はありませんでした」
「そうですか」
ならば見当違いな治療なら呪いは掛からないと言う事なのだろうと、レイナは自分の鑑定結果が間違っていないと確信する。
呪いと認識して治療をしようとする者にだけ呪いは伝染するという事なのだろう。
更に【鑑定】を続けると定期的に毒を排出する呪いだと分かる。
人間に使用して良いものではない、余りの非道にレイナは唇を噛む。
レイナはシールズを救う為に治療のプランを頭の中で固めていく。
「クリスティーナ様、シールズ様の治療をしてみたいと思います」
「でも無理に解呪したらレイナさんまで呪いに掛かってしまいますわ」
「大丈夫なはずです。私に出来る事は全てやってみたいんです」
完治させる方法は分からないが、予感と言った方がいいのか何故か自分には治療出来ると言う自信がレイナにはあった。
レイナの真っ直ぐな目に信じてみたいとクリスティーナは折れる。
「分かりました。よろしくお願いしますレイナさん。でも無理はしないでください」
「はい。全力を尽くします!」
レイナは呪いの解除に挑む。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます