第14話 妖精さん登場!
◇◇◇
「アデル!アデルはいないか!?」
突然騎士団の演習場に駆け込んできたカミールの、ただならない様子に、騎士団全体に緊張が走る。
「ここだ兄貴、何があったんだ?」
「ああ、アデル!良かった。すぐに一緒に来てくれないか?」
「わかった。皆済まない。抜けさせて貰う。引き続き鍛錬を続けてくれ」
「「「はっ!!!」」」
◇◇◇
「ティアラが回復魔法以外の魔法を?」
「ああ、しかも、見たこともない種子を魔法で生み出したと言っていた……。おそらく、完全にオリジナルの魔法だ」
「何もないところから物を生み出したのか……」
無から有を生み出す魔法。人はそれを創造魔法と呼ぶ……
「なぁ、兄貴」
「なんだ?」
「ティアラは、俺達が思うよりずっと、特別な存在かも知れないな」
「ああ……本当に、そうだな」
カミールは腕を組んだまま、じっと何かを考えているようだった。
「でもさ、大事に隠して閉じ込めることは、ティアラが望む人生じゃねーと思うんだ。上手くいえねーけどさ。新しい力を拒むよりも、受け入れて役立てる方がいいと思わないか?」
「……」
「ティアラが何を望んでも、俺達は味方になってやろーな」
ニカッと笑うアデルにカミールはふっと肩の力を抜いた。
「ああ、分かったよ、アデル」
「と言っても、俺ができることなんざ限られてるけどな!頼りにしてるぜ!兄貴!」
「まったく、お前には勝てないよ。今、ティアラには執務室で待ってもらっている。土属性の魔法はおまえの方が詳しいだろう。とりあえず見てやってくれないか?」
「ああ、わかった。種子を生み出す魔法か。全く、ティアラには最近驚かされてばかりだな」
◇◇◇
「ねぇ、アンドレ」
「何でございますか、姫様」
「カミールお兄様どこに行ったのかなぁ?」
「恐らく……アデル様のところかと」
「アデルお兄様?」
「はい。アデル様は土魔法の第一人者でございますからね。姫様が魔法で生み出した種子を見ていただくおつもりでは?」
「あっ、そうか!そうだよね!先にアデルお兄様にみてもらえば良かった!」
「すぐに戻られると思いますよ」
◇◇◇
紅茶を飲みながら新作スイーツに舌鼓を打っていると、アデルを連れたカミールが戻ってきた。
「ティアラ、待たせてごめんね。アデルにもみてもらおうと思って連れてきたよ」
「ティアラ、凄い種子作ったんだって?兄ちゃんにも見せてくれるか?」
「カミールお兄様お帰りなさい。アデルお兄様も。これが魔法の種です!」
そう言ってワクワクしながら先程の種を差し出す。
「こっちの種が甘くて美味しい果実が成る果樹の種で、こっちが栄養たっぷりの野菜の種!」
アデルは、差し出された種を一つずつ摘みながらしげしげと眺めてみる。種の大きさはそれ程大きくなく、一般的な種と変わらない見た目をしている。
「これは、どんな見た目の果実や野菜が成るか分かるのか?」
「うーん?見た目は想像してなかったからわからないけど、植えたらすぐに実がなるの。お兄様達、一緒に植えてみる?」
「植えたらすぐに実がなるのかい!?」
今度はカミールが声を上げた。
「植物を成長させる魔法をかけるからすぐに実がなるの!」
「そうか、凄いな……」
「ティアラ、元々ある野菜や果樹の種なんかも作れるのか?」
「作れるよ?さっき花壇にも、お母様の好きなマーガレットの花を咲かせたの。でも、果樹や野菜を勝手に植えると、庭師のみんなに怒られちゃいそうだから、野菜や果物の種は孤児院の子ども達へのプレゼントにどうかなって」
「そうか。ん~、でも、全く知らない植物や果樹を世話するのは、子ども達には難しいかも知れないな。特に果樹は凄く大きくなるかもしれないしな」
「そっかぁ……」
「孤児院には元々ある果樹や野菜の種を持って行ってあげたらどうかな?子ども達と一緒に育てたら喜ぶだろう。新しい種は一度王宮に植えて、私達と一緒に育ててみよう。問題なかったら孤児院にも持って行って上げるといいよ」
カミールが提案すると、ティアラは嬉しそうにパアーっと顔を輝かせた。
「孤児院にいってもいいの?」
「ああ、しっかり体を休めてもうすっかり元気になったようだしね。でも、無理はいけないよ?」
「はい!カミールお兄様ありがとう!」
新しい種を孤児院の皆にプレゼントする件は一旦お預けになったものの、久し振りの外出許可にウキウキするティアラ。
「じゃあ、早速植えてみるかい?」
「はいっ!」
◇◇◇
「カミールお兄様!アデルお兄様!これがさっき植えたマーガレットです!綺麗でしょ?」
ティアラが若干ドヤ顔で指を指した先には、マーガレットの花が花壇一面に咲き誇っていた。
「これは……凄いな」
「ああ、確かに、マーガレットだな」
「特に何の効果もない、普通のマーガレットだね!」
「ん?効果とはなんだい?」
「えっと、食べると体力が回復したり、毒消しになったりとかはしないよ」
「えーと、それはもしや、効果を付けようと思えば付けられるということかな?」
「できるよ?その程度の付与なら、それほど魔力も使わないし」
ティアラは不思議そうに首を傾げる。
「そうか……ティアラの魔法は、凄いな。最近色々な魔法が使えるようになったと言ったね?他にはどんな魔法が使えるのかな?」
「んー?どんな魔法がいいかなぁ?」
「例えば、私のように水を操る魔法とかはできるのかな?」
ティアラはちょっと考えると、指先に魔力を集中させ、小さな水球を作り出してみせた。すると、水球が見る間に形を変え、小さな妖精の姿になる。
「水の妖精さん、花壇に雨を降らせて!」
妖精は小さく頷くと花壇に優しく水を降らせ始める。
「もういいよ!ありがとう!」
ティアラが声をかけると、妖精はパシャンとはじけて消えてしまった。
「こんな感じ?」
ティアラが振り向くと、ポカーンと開いた口が塞がらない二人がいた。
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