第4話 もふもふパラダイス!?
◇◇◇
アリシア王国の王都では、王族による孤児院の視察、慰問が定期的に行われている。「子供は国の宝」とする建国の祖である賢者の言葉を守り、孤児となった子供たちは国によって保護される仕組みが作られているのだ。
ただし、今回カミールが新しく作った孤児院は従来の孤児院とは大きな違いがあった。
「獣人の子供たち……!?」
部屋の中には30人程の子供たちが集められているが、3才から12才くらいの子供たちはすべて、獣人の特徴を備えていた。
(あわわわわ!なにここ?天国?もふもふパラダイス!?か、かわいい~!!)
ティアラは前世でも現世でも、もふもふに目がなかった。
ティアラが子供の一人に近づくと、慌ててシスターの後ろに隠れてしまう。頭の上のもふもふの耳がピコンと立ち上がり、フサフサのしっぽは不安げに垂れている。
(綺麗なシルバーグレーの毛皮。この子は狼の獣人かな?)
「怖がらなくていいよ。私はティアラ。お友達になれるかな?」
さらに一歩踏み出すと今度は部屋の隅まで逃げてしまった。
(あらら、逃げられちゃった)
シュンとしたものの気を取り直して疑問を口にする。
「アデルお兄様、この子たちはどうしてここにいるの?」
◇◇◇
獣人は成人を迎えると優れた身体能力を生かして冒険者や騎士になるものもいるが、その数は多くない。元々少数民族であり、同族同士が小さな部族を作って助け合って暮らしているため、生まれ故郷を離れること自体稀なのだ。
特に獣人の子供たちは成人するまで各部族で大切に育てられるため、ここ王都でも、成人前の獣人の子供を見かけることはほとんどない。大抵、アリシア王国に点在する孤島や深い森の中に好んで生活している。
「実は、誘拐されてきたみたいなんだ……」
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