43.
緑の幼女に着いていくこと暫し。木製の螺旋階段が見えてきた。壁面の窓からエメラルド色の怪しげな光が射し込み、階段の下を照らしていた。幼女はその暗がりで立ち止まると、杖の先端を頭に翳した。すると窓から差し込む光がその暗がりを照らし、大理石の暖炉を映し出した。
「ほれ、ここに入るんよぉ」
緑の幼女は杖を使って暖炉の"穴"を指し示した。中を覗いてみると、確かに狭い通路があった。僕やこの子が辛うじて通れるくらい大きさだった。
「少し高さがあるみたいだけど……って、うわッ!」
お尻に衝撃が走ったかと思うと、僕は穴の中に落下していた。
「痛てて……ってあれ?痛くない?……というか、なんて事するんですか!」
幼女は見下すような視線を向けた後、小さくジャンプして穴の中へと降りてきた。
「おっそーから、つい」
何事もなかったかのように、幼女は先の通路へと進む。遅いという意味だろうか。見かけに寄らず、乱暴な事をする。
通路を抜けた先には小さな図書室があった。中央にはテーブルとソファがあり、そこには見覚えのある人物が二人座っていた。
「お〜い!アノちゃん!こっちこっち」
「……遅ぇぞ」
元気よく手を振るのは水無月小百合、サユリさんである。その隣にはユウトの姿があった。幼女に付き従うのは正しかったらしい。
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