10.
僕はすぐさま一階へ駆け降り、玄関をバッと勢いよく開けた。すると──
視野に飛び込んできたのはやはり見渡す限りの煉瓦造りの家々。家の前にある筈の道路は石畳になっていた。そこにはローブに身を包んだ男や、馬車を引く者が横行している。
「こ……これは……」
俗にいう"異世界転生"なのだと思った。でもどうやら違う気がする。
「幻覚……」
口をついで出たのは謎の少年が通告した現象。目の前に広がる光景は信じ難い。けれどこれは幻覚作用のある薬物が見せている紛い物に過ぎないのだと、そう勝手に結論づけた。
とはいえ、簡単に受け入れられるものではない。目も眩むような状況に立ち尽くしていると、不意に背後から怒号のような声が飛んできた。
「──ッ──ッ!──ッ──」
僕は仰天して後ろを向くと、玄関近くの小窓から見知らぬ老婆が睨みつけていた。何で僕の家に見知らぬ人が……まさか、不法侵入者!?
身体を強張らせながらも、意を決して話しかける。
「あ……あなたは一体誰ですか!」
「───?──────────!──……」
老婆はどこの国とも知らない言語で言い返してくる。何を言っているのか、僕には理解出来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます