第53話 流通都市・バンデハン③

「師匠って俺の女神依頼達成ランキングの順位は知ってますか? 通称メガランって呼ばれてました」


クロポンはマルコスさんやハリッサに聞こえないように小さな声で話してくれた。


「何、その変なランキング……」


ゲーム内に女神の名が付くランキングがあるなんてもちろん知らない。


そもそも女神なんてゲーム内に居たのか?って僕的にはなってしまうんだよね……


「やっぱり知らないんですね……メガランって全プレイヤーが必死になって上げているやつなんですけどね。師匠はそう言うものには興味無い感じでしたよね……ちなみに俺の順位は4年連続1位です」


「えっ? クロポンが4年連続1位? 全プレイヤー数って2000万人位いたあのゲームで1位?」


「はい、そして俺は4年前までは2位でした。4年前まではダントツの1位が君臨していましたからね」


「クロポンも凄いけど、あのゲームでダントツの1位がいたなんて凄いね……ん? 4年前?」


そう言えば僕は4年位前にはファイナルオンラインを引退していたな。


そこからは両親が亡くなり必死で生きたつもりだったけど、うまくはいかなかったんだよね……


「はい。そのダントツの1位とは師匠のことですよ」


「えっ、僕? 僕はそんな1位なるような事をしていないよ?」


僕はひたすら採掘スキルや鍛冶スキル上げをして、魔剣を造ったりしていただけだよ?


女神の依頼とかなんか達成した記憶は全くない。


「それです、師匠はメガランを知らないのに1位で居たことが驚異的なんです……俺は師匠に追いつきたい一心で女神依頼達成ランキングを上げましたけどね。そして師匠が突然引退したとき、俺は絶対に1位は師匠以外には譲らない気持ちでいました」


「僕の知らないところで申し訳ないね……しかし、そのランキングってなにをすると上がるの?」


「ゲームをプレイしていると自然と上がりますよ。モンスターを倒したりイベントに参加したりと項目数で言えば1万を超えますから説明は難しいですが、師匠の場合は伝説的な魔剣を大量に造ったとか、超激レアの鉱石を大量に採掘して売却したり、神竜イベントなどのハイエンドプレイヤー用のイベントに貢献とかそんなところですかね?」


「伝説的な魔剣って……確かにゴッドクオリティの魔剣は数本造ったけど、他はほとんどキングクオリティの魔剣しか造れなかったし……採掘は頑張ったかもしれないな。 それにイベントなんかに参加してないのに貢献?」


クロポンの言うものには身に覚えが無いことばかりだったので、本当に僕のことなのかな?と疑問ばかり増えていった。


「そうですね、もっと分かりやすいのだと……そうだ、メガランの2位はヌルヤ、3位はぴょん太、4位はマリリン、5位は死王なんですけど」


「えっ、全員知ってる……もしかして偶然じゃない?」


僕はゲーム内では他プレイヤーとあまり関わりにならずに遊んでいたんだけど、その4人にはどうしても僕の武器が欲しいと言うから武器を造ってあげていた人達だった。


「そうです、ファイナルオンラインには攻略不可能と言われているイベント、通称ムリクエってものが定期的に開催されるんですが、このムリクエはメガランのポイントがもの凄く高くて攻略すればほぼ上位にランクインするくらいなんです。そしてムリクエには師匠の武器、明魔剣が必須だというのはメガラン上位者の共通認識なんですよ」


「マジかぁ……僕の武器ってそんな感じだったの? ってか、クロポンも含めてみんな強そうじゃなかったけど……む? 明魔剣ってなに?」


「アカリ師匠の魔剣だから明魔剣ですよ」


「その名前、超恥ずかしいんだけど……」


明魔剣って響きはカッコいいけど、名前の由来を聞いたら恥ずかしい……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る