第39話 武器スキル②
話の流れで赤晶石の大剣をマチルダさんに500万コルで売ることになった。
「今更、売るのは無しってのは無しですよ?」
「僕は良いのですが……本当に500万コルで良いのかなと思って……」
アイテムボックス内には似たような剣が大量にあるのに、日本円で500万円位の価値があるのだろうか?と疑問に思うのと同時にちょっとした罪悪感が沸いてきたんだよね……
「アカリさん、マチルダのことは本人が良いって言っているのだから気にしないで良いよ」
「そうですか……? あっ、そうだ、赤晶石の大剣を買ってくれるのなら、サービスとして武器スキルを発動させやすくしておこうか」
「そう言えば、さっき武器スキルがどうとか言ってましたけど、魔剣でもないのに武器に固有スキルなんてあるんてますか?」
「魔剣の武器スキルとは別物ですよ、魔剣の武器スキルに比べたら大したことはないけど……ちょっと貸してもらって良いですか」
僕は赤晶石の大剣をマチルダさんから受け取る。
ハリッサには自力で武器の力を引き出して欲しいから、全ての武器はフラットな状態で作製していたけど、マチルダさんにはあまり剣術の才能は無さそうだから、サービスで武器スキルを発動させやすくする細工をして上げることにした。
僕は赤晶石の大剣に武器が壊れない様に魔力を流していく……
「それじゃあ、こっちの手を繋いで下さい」
「はい、これで良いかな?」
「はい、大丈夫です」
僕の魔力を全体に満たした大剣とマチルダさんの体内にある魔力を自分の身体を経由して循環させていく。
「ちょ、ちょっとアカリさん? か、身体の中がウズウズするんだけど……」
マチルダさんが身体をくねくねさせながら、恥ずかしそうな表情をしている。
「身体がウズウズ? もしかしたら体内を魔力が循環しているだけなので、すぐに慣れるかもしれないですからちょっと我慢して下さい」
現実世界で魔力を循環させると身体がカユくなったりするのかな?
僕も同じ様に魔力を循環させるけど、何ともないんだけど……何か違いがあるのかな?
「こ、これに慣れとか……はぁ、はぁ、あるのですかね……うっ……」
マチルダさんは立っていられないのか、その場に座り込んでしまった。
「多分、もう少しで終わるので頑張って下さい」
ゲームの時は魔力循環みたいなコマンドやスキルは無かったけど、ベテランプレイヤーは皆魔力循環みたいなことが出来ていたみたいで、僕も何となくだけど鍛冶スキルを使うときに魔力循環をする癖みたいなものが付いていた。
今思うと、ゲームなのに何で魔力循環みたいなコマンドやスキル外の不思議現象に疑問を覚えなかったのだろうか?
『……いします』
「えっ? マチルダさん、何か言いました?」
「私は……はぁ、はぁ、何も……言ってないわ、はぁ、はぁ……」
「あれ? おかしいな……」
『私が話しかけました、マスター』
えっ、武器から声が聞こえてくる気がする……幻聴?
『幻聴じゃないですよマスター。私はマスターの剣に宿った火の精霊ですから、発声出来ないのでマスターに直接話かけています』
火の精霊?
もしかして、全ての武具に精霊が宿るの?
『いえ、私みたいに意志のある中位精霊が宿るのは非常に稀ですが、マスターの造る武器にはほとんど意志の無い下位精霊が宿っていました。通常は鍛冶人生をかけた職人の武具に私達が宿る筈なんですが、マスターの造る武器は心地良いので精霊が集まっているのかもしれません』
そうなんだ……何で急に火の精霊の声が聞こえてくるようになったの?
『私達、中位精霊はモノに宿ると魔力を摂取する術を失いますが、マスターのいう魔力循環により意志疎通出来るようになりました』
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