第28話 クリファス・ファリスタ
クリファスさんの名前はクリファス・ファリスタらしいのだけど、この町の名前もファリスタだよね?
「実は私はこの町の町長の息子なんですよ、まあ、小さな町の町長の息子なんで自慢するような事でもないですが……」
「そうだったんですか。町長の息子さんなのに冒険者をやっているのですか?」
「はい、私は3男ですから町長を継ぐのは兄たちになるので、私はハンターとして生活しようとしていたのですが、仲間の半数に殺されてしまいました……」
「襲撃者してきたのもハンターなんですか?」
僕にはクリファスさんも含めて、あの場にいた人たちの装備はバラバラだったから、誰がクリファスさんの仲間で、誰が襲撃者だったのか見分けがつかなかった。
だから、もしかしたら襲撃者もハンターなのかな?と思ってしまった。
「見たことのない人たちだったので、そこまでは分かりません……ですが、ハンターではない可能性が高いと思ってます」
モグモグ……
「……それは何故ですか?」
「ハンターは皆、この冒険者ギルド発行のタグを身につけているものなのですが、ぱっとみでタグがありませんでした。それにハンターのタグは人を襲撃すると襲撃実行者として犯罪歴が記録されてしまうので、そんなリスクは犯さないと思ってます」
「そのタグを外していた可能性は?」
ハンターのタグに記録されるとしても、犯罪を犯すときだけ、タグを外してしまえば問題ないのではないだろうか?
「タグは装着者の魔力を微量ですが吸収して起動していて、一定時間外してしまうと自壊してしまう作りになっているんです。そしてタグを外したい場合は冒険者ギルドに行かなくてはいけません」
「へぇ、タグってそんな作りなんですね」
モグモグ……
ハンターのタグは、ゲーム内には無かっと思われるシステムだなと思った。
そもそも、ファイナルオンラインには相手を殺したりするには決闘場か修練場、あとは対人戦のトーナメントとかのイベント位だしな。
「アカリさんは戦うのが苦手みたいですが、ハリッサさんくらいの強さがあればハンターなんて良いんじゃないですか? 強さがあれば安定して依頼をこなせると思いますよ」
「ハンターかぁ」
クリファスさんの話を聞く限りはハンターも悪くはない気がするが、どんな規則なのかをしっかりと確認しない事には安易に答えられないなと思った。
モグモグ……
「今日はハリッサさんが食べ終わったら、私の家に泊まって、明日の朝から冒険者ギルドへ一緒に来て欲しいのです」
「事情を報告するってやつですね」
「はい、申し訳ないですがお願いします」
「大丈夫ですよ。僕も冒険者ギルドには興味があったのでちょうど良いです……ハリッサ、まだ食べるの?」
僕がクリファスさんと話している間もハリッサはずっと料理を食べていたのだけど、もうどれくらい食べているのか分からないくらいだった。
「私も完全に想定外なたべっぷりですね……カガリさん、今って会計はいくらになっているか分かりますか?」
「えっと、もうメニューに載っている料理の食材は尽きてしまって、今出している料理は店長がインスピレーションで作っている完全創作料理なので金額は私では分からないんです……店長はあとでクリファス様に直接話すから大丈夫だと言っていました」
「それって、ハリッサは食堂の料理を食べきったの?」
「ははは、それは凄いな……。それにしてはハリッサさんの見た目が全く変わっていないのだけど……ハリッサさんの胃袋はどうなっているのだろうね」
「さあ……それは僕も知りたいです……もしかしたら胃袋は異界に繋がっているのかもしれないですね」
「異界って……それじゃあ、まるで暴食竜のおとぎ話みたいじゃないか」
「暴食竜のおとぎ話?」
「暴食竜を知らない?……ああ、アカリさんは記憶喪失だから覚えていないのかな?」
「あはは、多分そうですね……」
単純に知らないだけなのだが、こういう時って記憶喪失は便利だけど、完全に騙しているから心が痛むな……
「暴食竜というのは体内が異界に繋がっていると言われていて、遥か昔に空腹の為に世界の半分を飲み込んでしまった事に神は怒り、暴食竜を封印したとされているんだよ」
「へぇ、そんな昔話があるんですね」
多分、実在した話ではないのだろうなと思う。
世界の半分の飲み込んだって……どんだけデカい竜なんだよ……いや、そう言えばイベントの世界樹も、天空を突き抜けるほどの高さがあったとかされているし、イベントで神龍はいたから、あり得るのか?
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