第384話 獅哮衝波の凝縮


 草むらから脱出する為に、獅哮衝波の溜めをやってるところ! ふふーん、ちょっと話をしてる間に2段階目の溜めに突入! もういつでも撃てるようにはなったけど、今回は最大まで溜めてみるのです!


「……時間がかかりますね、この溜め! というか、1段階目でも結構な射程ですね!」


 『戦意の把握』で射程範囲が視界に出るようになったけど、そっちは草むらで見えないからどこまで続いてるか分かんない! でも、マップを見る限りでは結構先まで届くよね!


チャガ : 山麓エリアのこの手の高い草むらを抜けるのなら、もう十分なだけの射程はあると思うぞ。

ミナト : 色々なエリアの要素を内包している分、個々の範囲はそう広くはないからねー。


「え、そうなんです!? あ、よく考えたらそこまで広い訳がないですよね、これ!」


 色んなエリアの特徴があちこちにあるのなら、1つずつの場所が狭くなるのって当たり前だー! あれ? ちょっと待って!


「あのー、この山麓エリアって色んなエリアの要素を内包してるんですよね? もしかして、こんな草むらがずっと続くようなエリアもあったりします?」


ミツルギ : あるかどうかで聞かれたら、まぁあるな!

神奈月 : 草原エリアの一部とかがこんな感じにはなってるぞ。河川域とか、そういうエリアもだな。

G : というか、サクラちゃんがいた草原エリアでもこの手の場所はあったぞ。ただ、そこには行ってなかっただけで。

ミナト : 草原エリアではないけど、水際に高い草むらは結構あったりもするね。ほら、湿地でショウブとか見た覚えあるでしょ?


「あれ!? 実は既に行った事がある感じですか!? 確かに、そういう場所はあった気がします!」


 多分、草花の種類としては別物なんだろうけど、掻き分けて進んだ覚えは地味にあった! うん、確かに湿地エリアで川と陸との境目が分からない時ってあったもん!

 あれ? そう考えてたら、なんか少し嫌な予感がしてきたよ? てっきりあのエリアボスのカメって陸に住んでるタイプのカメかと思ったけど……カメの住処って基本的には水辺だよね?


「この先に進めば、実は沼地で脚が嵌まるなんて事は……ないですよね?」


 今いる場所の足場はしっかりしてるけど、少し進めば全然違う可能性は否定できなくなってきた気がする!


金金金 : あー、そうか。そういう可能性もあるにはあるんだな。

水無月 : 草の種類までは分かんないけど、その可能性ってありそう!

ミナト : んー、見える範囲はススキやサトウキビとかのイネ科の植物が多いかなー?

神楽 : あ、カメが最初にいた方に地味にショウブがあったような……?

サツキ : あれ? そういう場所も確かにあったとは思うけど、ここがそうだったかは覚えてない!?


「なんか、オフライン版をプレイしてる方のほとんどがコメント無しって状況が気になるんですけど!? ミナトさんが見える範囲に限定してるのも気になりますし、サツキさんのコメントはより不安になるんですけど!?」


 うがー! この反応、皆さんは私が沼に嵌るのを待ってたね!? ふっふっふ、でも先にそれに気付いたのなら問題なーし! その地面ごと、最大まで溜めた獅哮衝波で吹っ飛ばしてしまえば……あれ? 大丈夫なの?

 それって表面の草むらが無くなるだけで、足場に関しては何も解決してないような……? わわっ!? 歩けない足場じゃ、どうしようもない気がする!


金金金 : 慌て始める狐っ娘アバター。それで、実際の所はどうなんだ?

咲夜 : ノーコメントで! どっちと言おうが、反応が面白そうだ!

神奈月 : 確かに、それは同意だな。

G : あー、その気持ちはよく分かる!

こんにゃく : 気持ちは分かるんだが、Gさんに同意されるのはなんだか複雑な心境……。

G : なにおう!?

イガイガ : この手の場所、判別しにくいんだよなー。まぁマップの位置的にどっちのパターンかは分かってる訳だけど。

ミツルギ : それを含めて、判別の為に草むらを吹き飛ばすと良いぞ。

富岳 : まぁその辺はサクラちゃんが自分で確かめてみてくれ。

サツキ : サクラちゃん、ファイト!


「今回は皆さん、まるで教えてくれる気は皆無みたいですね!?」


 むぅ、何かと教えてようとする皆さんだけど、今回は揃って教えてくれない事に意見が一致してるよ!? もうこれは自力で何とかするしかないやつ!


「……どっちにしても射程の確認は必要そうなので、3段階目まで溜めますねー。ちなみに沼地に脚が嵌まった場合って、どうやって抜け出すのが楽です?」


 まだ2段階目の溜めすら終わってないから、雑談は継続なのですよ! せめて、もし嵌ってしまった場合にはどうしたらいいのかを今のうちに考えておくのさー!


サツキ : 脚が沈む前に、他の脚を進めてそれで表面を駆けていく!

咲夜 : 理屈の上では水の上を走るやり方ー!? いや、実行するのは無理だから!

富岳 : あくまで、ライオンでは不可能なだけだけどな。種族的に、そういうスキルを持つのもいる。

ミツルギ : トカゲや一部の鳥の中には、『水上走行』ってスキルがあるからな。それなら水の上は走れるが……これは、嵌った後に抜け出す方法じゃないな?


「それ、沈まずに走り抜ける方法ですもんねー!? いえ、確かに内容的には興味深いですけども!」


 何かで見た事ある気がするよ、水の上を走る鳥とかトカゲ! あれがモンエボにはスキルとして存在してるんだ! あるとしたら俊敏のスキルツリーの中だったりするのかな?


いなり寿司 : 正直、一度嵌まると抜け出すのは難しいんだよ。特に大型種族だと……。

咲夜 : 一番簡単な方法は、敵に殺されてランダムリスポーンだなー。

神楽 : それって、不確定要素が強くない? 格下の相手ばっかだと、そもそも寄ってきてくれない事もあるんじゃ?

咲夜 : まぁそういう時もある!

G : そういう場合はあれだな。沼の中に顔を突っ込んで、窒息からの死亡。これに関しては、適応進化は発生しないけど自発的に死ねるようにはなってる。

水無月 : もう死んで脱出しろって言ってる気がするよ!?

ミナト : あはは、まぁ実際にそう想定されてるみたいだけどねー。だから、可能なら嵌らないようにすべきとこだよー!


「システム的にも嵌ったら死ねって事ですよねー!? むぅ、脱出は困難ですか……」


 まさかの、脱出方法がなかったー! でも、湿地エリアで実際にそういう風になったもんね……。うーん、今いる場所は目的地の東端まで遠いし、もし沼に嵌るような事になれば、ランダムリスポーンで位置を変えるのも良いのかも?

 もうエリアボスは倒したし、今の場所は南西の端の方だから、より遠くなる事はないはず! でも、嵌って死にたくはないよ!


「あ、2段階目の溜めが終わりましたねー! おぉ! 一気に射程が伸びましたね! 3倍くらいに伸びてます!」


 わー! 1段階目まででも結構な射程があるのに、2段階目の射程がこんなに伸びてるとは思わなかった! ふっふっふ、流石は見えない位置まで届く遠距離攻撃!

 前にエリアボスのウサギに使った時は確実に当てる必要があったから見える距離ギリギリまで近付いたけど、今はそれも必要なーし! 1度でも交戦状態になった敵相手なら、超遠距離からの攻撃が可能だねー!


 あ、3段階目までの間に『衝撃凝縮』で凝縮率を変えられるみたい! そっか、2段階目は溜め終わってから凝縮が可能になるんだねー。うん、1段階目までは溜め終わるまでにしなきゃいけないみたいだけど、この違いは地味に大事な気がする! 凝縮率30%くらいにしてみたら……おー、射程範囲が1段階目までの2倍くらいの距離まで縮まった!


「30%凝縮しても、1段階目の2倍の距離があるって凄いですね!」


 1段階目までと同じ距離まで凝縮するのは……えっと、60%くらいみたい! うん、とりあえずこの凝縮率にしとこ! うふふ、これでどれだけ威力が上がるんだろ?


富岳 : 時間がかかる分だけ、威力も射程も跳ね上がるからな。射程を短くした分だけ、威力も跳ね上がるぞ。

水無月 : 凶悪な威力な予感!

金金金 : 3段階目まで溜めるんだし、もっと凶悪になりそうだが……そうも言ってられないみたいだな。

ミナト : あらら……。


「……そうですね。なんだか後ろから敵が近付いてきてるみたいですけど、どうしましょう?」


 索敵で表示されてた距離があった敵だけど、射程の確認をしてたらそんな状態になってきてる! 位置的に真後ろだし、ライオンの首が動く範囲でしか狙いが変えられない! 真後ろとか、首が回りません! これ、どうすればいいの!?


ミツルギ : あー、タイミングがいいのか、悪いのか……。位置関係的に、攻撃が当てられないな。

いなり寿司 : まだ距離は少しあるが……2段階目まででぶっ放して、近付いてきてる敵の相手をするのが無難かもしれん。

こんにゃく : 器用系統ならもう攻撃されてる距離だし、この状況で近付いてくるのは屈強系統か知恵系統のどっちかだな。

神楽 : えっと、襲ってきやすいのは屈強、器用、知恵だっけ?

サツキ : そうなるねー!


「屈強系統も知恵系統も、どっちも厄介な敵じゃないですかねー!?」


 基本的に襲ってくる敵は私と同じLvかそれ以上だよね!? エリアボスのカメでここの最大Lvは10なのは分かったし、今の私はLv9! だから、敵はLv9か10のはず!

 襲ってきやすい進化系統の事も考えると、このまま3段階目まで溜めるのは危険な状況だよね……。うぅ、今の段階でぶっ放して戦うしかなさそう……。うがー! 予定通りに3段階目まで溜めさせろー!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る