第311話 縄張りの再設置


 マップを見て、現在地と、縄張りを発動した中心の場所と、縄張りの範囲を示してる白いラインの距離を確認! 縄張りの発動範囲は変わらないと思うから、そこからマップで見えているウサギのエリアボスを縄張りに入れない位置で発動しないとね!


「えーと、新しく設置する縄張りは……この辺ですね!」


 発動前に効果範囲が分かればありがたいんだけど、そういう仕様じゃないから仕方ない! でも、多分この位置で大丈夫だと思う!


サツキ : ウサギさえ動かなかったら、その位置で大丈夫なはず!

イガイガ : ……この辺の正確な位置は、自信ないな。

ミナト : どうしても目測になっちゃうからねー。私も大丈夫だとは思うけど……。

咲夜 : まぁ駄目だったら駄目だった時で!

こんにゃく : そういうと失敗フラグに聞こえてくるんだから恐ろしい。

いなり寿司 : まぁ今回のは大丈夫っぽいけどな。

神楽 : こんばんはー! お初です!

ミツルギ : お、来たのか、神楽さん。

神楽 : いやー、なんか気になっちゃってね? オフライン版はやった事なかったし。


「神楽さん、ようこそー! えっと、ミツルギさんのお知り合いの方ですかねー?」


 確か昨日のSNSでチラッと名前を見た覚えがあるし、このやり取りも知り合いだからって感じだもんね! 誰かの知り合いだからって別に問題はないし、むしろ大歓迎ですよ!


神楽 : うん、そうなるね。まぁオンライン版での共同体仲間? というか、コメント欄にチラホラと見覚えのある名前が……。

ミツルギ : そこには触れるなよー。ここではオンライン版のあれこれは無しだからなー。

G : そうだぞ!

神楽 : ……まさかとは思うけど、Gって、あのGさん?

咲夜 : 本人が欠片も隠す気はないし、間違いないくオンライン版でのあのGさんだ!


「えっと、とりあえず私を置いて話を進めるのは止めてもらってもいいですか? 私、オンライン版はやってないですし、話についていけません!」


 なんとなく私の配信のコメント欄はオンライン版での色んな人が集まってるっぽいけど、私にそれを細かく知る術はないもん! 私の配信で、私を置いていかないでー!


神楽 : あ、ごめんなさい! つい、色々と思うところがあって……。オンライン版をやってないなら、余計なコメントだったね。

サツキ : そうだよー! オンライン版をしてる人ばっかじゃないんだから!

真実とは何か : まさに、それが真実なのである!

神楽 : ……はい、すみませんでした!


「オンライン版の話をしないでくださいとは言わないですけど、完全に放置は勘弁してくださいねー!」


 多少の雑談でオンライン版の話題が出るのは別にいいけど、適度なところで節度は守ってもらわないとね! この配信では私がルール!


「さてと、それじゃ縄張りの設置をやっていきましょう! ここで大丈夫そうなので、サクッと再発動しちゃいますね! 『縄張り』!」


 私を中心にブワッと風が吹いていくのですよ! マップを見てみれば縄張りの効果範囲は変わってるし、再設置は成功だね! それにウサギも縄張り内には入っていな……い? 入ってはいないけど、これってマズい気がする!


「わわっ!? ウサギの方へ逃げていかないでもらえますか!? 『畏怖の気迫』はオフで!」


 あー、慌てたー! 新たに縄張りの中に入った敵がウサギの方へ向かって逃げ出すのは焦るよ! でも、オフにしたらそれはそれで襲ってくるから気を付けないと!


富岳 : サクラちゃん、上手くオンオフを使い分けろよ。

ミツルギ : 間違っても、溜めてる間に殺されないようになー!

ヤツメウナギ : 立ち回りを間違えると、その可能性があるのがなんともな……。


「……本気でそこは気を付けないとですね!」


 エリアボスの討伐に来てるのに、その前に殺されたんじゃ話にならないもん! その辺は上手く調整しながら、やっていこー! 


「というか、これってウサギと私の間にいる敵は排除した方が安全じゃないです?」


 言ってみたはいいけど、結構な数がいるし、全部の排除は難しいかな? 今は近付いてきてるけど、縄張りから出てウサギの方へ行かないように追い払うって出来るの? 1体ずつ、地道に仕留めていく?


ミツルギ : まぁそれはそうなる。

神奈月 : その辺はやり方次第だぞー!

富岳 : 追い払うのでもいいぞ。追い払い方ってのもあるからな。


「え、そうなんです!?」


 追い払うやり方……。今の状態で追い払っても、ただ単純に私から逃げるだけだよね? でも、やり方次第でその方向を誘導出来るの? 出来ないのなら、こんな言い方はしないよね? どうすれば出来るように……あ、そっか! 単純な話だった!


「なんとなくやり方を思いついたので、ちょっとやってみますね! 『見切り』『疾走』!」


 看破はまだ効果中だから、今の状況で使うべきスキルはこの2つ! 目指すべき場所は、エリアボスのウサギと私との間にいる敵の間にある、縄張りの境目!


金金金 : 迷いなく走り出したサクラちゃん!

咲夜 : さて、どうするのか!?

サツキ : サクラちゃん、頑張れー!


「はい、頑張ります! わっ!? わわっ!? わーっ!?」


 攻撃頻度こそ低いけど、迂回せずに突っ切ってるから攻撃がすれ違う度に飛んでくる!? 疾走中だから見切りで赤い線や円が出たら、急加速で回避! ふっふっふ、見切りが大雑把とはいえ、急加速があれば回避は簡単!

 そもそも、縄張りの効果で移動速度自体が相当早いもん! 今の私には、そう簡単には当たらないのですよ!


ヤツメウナギ : あぁ、なるほど。真ん中を突っ切って縄張りの端まで行って、そこから縄張りの中心に向けて追い払う気か。

水無月 : え、そんな事して大丈夫なの? ウサギに直接効果が出ちゃわない?


「水無月さん、それは大丈夫です! 畏怖の気迫の効果範囲は、縄張りの中だけのはずですし!」


 縄張りの外にまで効果が発揮しちゃう事はないはず! そうじゃなきゃ、縄張りの中って効果の制限の意味がないもん!


ミナト : うん、それはサクラちゃんの読み通りで正解。そこは正解なんだけど……他のとこで問題点はあるよ?

ミツルギ : まぁ確かになぁ……。

富岳 : そこさえクリアしてしまえば、その作戦自体は問題ないぞ。


「え!? これ、何か問題あるんです!?」


 待って、待って、待って!? その問題とやらが分からないまま、このまま突っ込んでいくと危険な気がするんだけど!? ストップ、ストーップ! 走るの中止!


「近くの敵が邪魔ですね! 『放電』『放電』『放電』!」


 近くにいたLv23の強烈なネズミが近付いてきていたから、放電を放ちつつ近付いていくのですよ! 放電3発も当てれば、半分くらいのHPが削れたね! あ、赤い円が真正面に出たって事は、このネズミが攻撃してくる予兆! それじゃ右にジャンプして回避!


「えいっ! 本当に大雑把ですけど、見切りは地味に便利です! 『強牙』!」


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


「あ、今ので倒せるんですか!?」


 おぉ、縄張りを使い始めてから初めての近接攻撃だったけど、結構な威力! 堅固の敵の残り半分のHPを1撃で削り切れるんだ! 流石にLv差が6もあればその辺も影響してそうだよねー!

 それにしても、この縄張りって畏怖の気迫を使ってないと敵の近くに行った簡単に襲われるのは厄介だよね。格下相手なのに、普通に同格以上を相手にしてるのを同じ……って、あー!?


「そっか! 今の状態で縄張りの端まで近付き過ぎると、普通にウサギの攻撃範囲に入っちゃう可能性がありそうです!? ウサギが見えるか見えないかの手前くらいで止まらないと危険な気がしますよ!?」


 さっき言われた問題点がこれかどうかは分からないけど、間違いなくこれは私が見落としてたやつ! 縄張りのギリギリまでじゃなくてその少し前で止まらないと、ウサギと交戦状態になって獅哮衝波を溜める時間なんか無くなるよ!


ミナト : はい、サクラちゃん、今回も大正解! 縄張りの設置位置がウサギの位置のギリギリだから、ウサギ側の縄張りの端までは行っちゃ駄目だよー!

ヤツメウナギ : あ、そうなるのか!

富岳 : 適度に距離を開けた状態を保った状態で、獅哮衝波の発動の邪魔になる敵を排除すればいい。


「はい、分かりました! 縄張りの端まで行く前に気付けて良かったです!」


 問題は分かったけど、そうなるとどうするのが良いんだろ? 縄張りの端の方にいる敵を1体ずつ撃破? それとも溜めた放電か、獅子咆哮で吹っ飛ばす? その辺はしっかり考えてやらないとね!

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