第247話 こういう事もある


 うがー! また死んだー! 才智の蝶と悪い足場に集中し過ぎて、他の確認が疎かになってたみたい。うぅ、その辺は反省点だね……。


「いつまでも凹んでいても仕方ないので、意識を切り替えていきましょう! さーて、今回はどこに出ましたかねー? あ、これを忘れないようにしないとですね。『看破』!」


 ランダムリスポーンになったからには、まずは周囲の確認から! 看破も忘れないように要注意! えーと、周囲は……木だらけ! うん、森の中に出たっぽい!


「って、木に思い切り囲まれてません!? ちょっとこれ、ほとんど身動き取れないんですけど!?」


 ぎゃー!? これ、前後左右に木があって、ライオンじゃ方向転換くらいしか出来なくて、冗談抜きでまともに動けない!?

 待って、待って、待って! この状態って、それこそさっきやった木々を薙ぎ倒して道を作らないとどうしようもないやつだよね!?


水無月 : え、これってまともに動けないんじゃない?

ミツルギ : あー、これを引いたか。ランダムならではの、厄介な復活パターン。

サツキ : こんなパターンもあるんだ!?

いなり寿司 : この手の森で、大型種族だとなりやすいんだよな、これ。

イガイガ : まぁ大型種族なら脱出手段はあるから、大丈夫だろ。

G : というか、小型なら普通に通れるスペースあるしな。

咲夜 : 川の中にランダムリスポーンするよりはマシなんだよなぁ。

いなり寿司 : それは確かに。


「大型種族だからこそ発生する事なんです!? というか、その反応ならそれほど心配する必要もない感じですか?」


 慌ててるのは私だけみたいだし、そこまで警戒する事でもなさそう? というか、割とよくあるっぽい!

 うがー! ランダムリスポーンめ、また厄介なものを用意してくれるよね! でも、川の中にランダムリスポーンする可能性もあるなら、まだマシ? うーん、五十歩百歩な気がする。


ミナト : さっきの今だけど、サクラちゃんがやってた獅子咆哮での自然破壊がこの場合は有効なんだよねー。ちなみに爪撃で木を切り倒すのでもいけるよー!

神奈月 : 状況的にはそれが最適解になるんだよなー。

こんにゃく : まぁちょっと時間はかかるけど、爪撃で切り拓くほうが一般的か。


「何となくそんな気はしましたけど、やっぱりそれですか!? それで失敗して死んだばかりだから嫌なんですけど!? 時間もかかるのも微妙な心境です……」


 出来ればそれ以外の方法で抜け出したいんだけど、また枝の上にジャンプしてみる? うーん、上が開けてないからそのまま枝に頭をぶつけそう。そうなったらあれだよね! 朦朧になって、そのまま地面に落ちるやつ! なんとなくそんな予感がする!


ミツルギ : 他の手段となると、威嚇で敵の方に切り拓いてもらうとかだな。まぁこれは丁度いいサイズの敵が近くにいればになるけど。

富岳 : むしろその場合はサクッと殺されてランダムリスポーンを狙った方が早い。

金金金 : それなら獅子咆哮で破壊しつつ、出来るだけ敵を倒して、その上で再度のランダムリスポーンを狙うのが最善か?

富岳 : 今の場合だとそうかもな。


「それ、ついさっきやった事なんですけどー!?」


 狙ってやった訳じゃないけど、今の状況からの脱出方法がさっき死ぬまでやってた事だなんてどういう皮肉なの!? 雷纏いは使えないし、これだけ身動きが取りにくい場所だとさっきよりも酷くなる気しかしない!


ミナト : サクラちゃん、マップを最大表示にしてもらっていい? ミニマップ表示だと今の位置が正確に分かんない。場所によったら、爪撃での切り拓きで楽に抜けれるかもしれないしさ。

チャガ : ランダムリスポーン以外で抜け出したいなら、現在地の把握は重要だな。


「あ、それもそうですね! ミニマップで見れる範囲は未踏破なんですけど、どうか踏破済みの近くであってください!」


 それならなんとか爪撃で木々を切り倒して自力で抜け出せる! という事で、マップを最大表示! さぁ、今いる場所はどの辺だー!


「……マップの南西の端……ですか」


 うん、マップの北側から入ってきて東側を通ってきたのに、一番遠い踏破が全然出来てない周辺だった! しかも西の端でもあるから森のど真ん中!

 まだ南と西に進める範囲は多少はあるけど、この距離ならもういっそ次のエリアを目指した方が早くない!? うぅ、でもまだエリアボスは倒すどころか見つけてもないし……。


ミナト : あらら、この辺かー。うーん、どうしたものかな……?

ミツルギ : これは悩ましいとこだな……。

G : ん? この辺って何か……あぁ、あそこの近くか!

金金金 : なるほど、この近くにはプレイ済みなら知ってる何かがあるのか。

チャガ : だが、それを教えるとネタバレだからな……。

咲夜 : ネタバレ案件のやつー! てか、何かがあるのをネタバレしちゃってない?

ミツルギ : あっ。

G : あー。

ミナト : あらら、やっちゃった……。

いなり寿司 : 咲夜さんに指摘されるのは、何か釈然としないな!

G : それは確かに。

咲夜 : うん、俺もそう思う。

こんにゃく : 自分で認めるんかい!


「えーと、まぁ今回のは私が変に突破方法に悩んでたせいもあると思うので、気にしない方向でいきましょう!」


 さて、そこは気にしないにしても、本当にどうしよう? この辺に何かがあるのは確定だとしても、それを皆さんに教えてもらってそこまでの道を切り拓く?

 うーん、それってなんかズルな気がする! 別に誰かに迷惑をかける訳でもないからそれでも良い気はするけど、私の匙加減でどうとでもなる部分でもあるんだよね。皆さんのネタバレに頼るか、自力で脱出を頑張るか、どっちにしよう?


金金金 : 悩み顔の狐っ娘アバター。

ミナト : サクラちゃん、どうする? ネタバレOKで良いのなら、脱出できる方向を教えるけど?


「……ちょっと考えさせてください」


ミナト : うん、分かった。それじゃ決まったら言ってねー!


 うーん、本当にこれはどうしよう? 凄い悩むなぁ……。脱出しやすいルートが近くにあるというのが分かったから、本当に悩む。もうそこまで聞いちゃってるんだし、ここはネタバレを解禁して脱出しちゃう?

 でも、未プレイ部分の知識を攻略に使うのはあんまりしたくないし……。そんなのばっかしてたら、初見プレイじゃ無くなっちゃうもん! だけど、ここで停滞させるのもそれはそれで配信としてダメな気がする。……うん、決めた!


「悩んだ時はいつものあれでいきましょう! 聞くか聞かないかは、サイコロに託します!」


 悩んだ時は運任せ! よく考えたらまだサイコロの笊のお披露目もまだしてないし、これは良い機会かも! という事で、モンエボから和室の方へ切り替え!


咲夜 : ここでそれかーい!

ミツルギ : またサクラちゃんらしい事になってきた。

いなり寿司 : もう和室に切り替えてるんだから、手際が良いよなー!

サツキ : いつものあれ、始まるよー!

富岳 : サクラちゃん、今回は聞くか聞かないかの2択でいいのか?


「あ、はい! その2択でいきます!」


 手早く進めたいから、和室の方に切り替わってすぐに立ち上がってサイコロを取りに行こー! ふふーん、今回からは笊があるから変なところには転がっていかないのですよ!


富岳 : 出目が丁……偶数で、『ネタバレを聞く』。半……奇数で、『聞かない』。今回はこうだな。

チャガ : おっ、なんか今までに無かった物を持ってるぞ。

サツキ : おー! 笊が出来てるね!

いなり寿司 : もう完成してたのか!

咲夜 : 紹介がなかったから、まだ出来てないのかと思ってた。


「ふっふっふ、実は完成していたのです! という事で、今回からはもう変な方向には転がっていきませんよ! あ、富岳さん、それでいきますねー! まとめ、ありがとうございます!」


 完成した時間はかなりギリギリだったけど、それでも今日の配信には間に合ったもんね! あ、気付けばもう19時も結構過ぎてた。今日の配信は後40分くらいだし、ここを脱出したらエリアボスを見つけに行かないとね!


「さーて、それじゃネタバレを聞くかどうか、サイコロに任せます! えいや!」


 笊の中にサイコロを投げ入れて、机の上にドンと置く! サイコロの転がる音が少し聞こえて、音が止まった! 出目は何になったかなー? 笊を持ち上げて確認だー!


「えーと、4なので『ネタバレを聞く』に決定です! という事で、教えてもらってもいいですかー?」


 サイコロは私にネタバレを聞けと指し示したのです! だからこれは、堂々と聞いて問題なーし! 全ての責任はサイコロにある! という事で、モンエボに操作を戻すのさー!


ミナト : えっと、その位置からなら北かな。そんなに距離はないはずだから、爪撃や連爪で切り拓いていけば見えてくるはずだよー! あと、獅子咆哮の使用はおススメしない!

ミツルギ : 多少の誤差はあるかもしれないけど、そこは勘弁なー!

富岳 : 木を切り倒すのにスキル、草花を退けるのは通常攻撃でやっていくといいぞ。

いなり寿司 : 倒れてくる木に押し潰されないようになー! むしろ、倒れた木で他のを押し潰すつもりの方が進みやすい。

水無月 : ワクワク!

金金金 : さて、どんな場所が待っているのか!


「流石に多少のズレがあっても文句は言いませんよ! 色々注意点もあるみたいですけど、それも気にしながらどんどん切り拓いて進んでみましょう! 『爪撃』『連爪』! わっ、こっちに倒れてこないでください! 『振り回し』!」


 ふふーん! ここから北に向けて、どんどん爪で切り裂いていくのさー! 私に向かって倒れてくる木を正面の邪魔な方に吹っ飛ばしつつ、スキルの再使用時間を待ってる間に通りやすいように草花とかを通常攻撃で切り裂いていくのです! うーん、これは思った通りの方向に狙うのが中々難しいね。

 正直、これって面倒だー! でも、獅子咆哮だと駄目っぽいし、この方法で出来るだけ早く身動きの取り辛い場所から脱出するのです! 何かあるっぽいこの先に期待しながら頑張ろー!



ーーーー

更新お休みについて


『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』の第31章が終わったら、お休み期間に入る予定です。

申し訳ないですが、それに合わせてこちらも少し更新をお休みにします。

詳しくは近況ノートにて!

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