第13話 育成システムの確認 後編


 さーて、どんなステータスがあるのかは確認出来た! それじゃ育成要素のチュートリアルの続きを進めていこー!


<次は育成方法の説明になります>


 そうメッセージが出たと思えば、別の画面へと切り替わった。あ、ステータス画面から項目の切り替えが出来るみたいだね。


「えーと、項目は【ステータス】【キャラ育成】【進化】【アイテム】【設定】の5つなんですねー! 装備ってないんです?」


ミツルギ : まぁ、根本的に実在する動植物がベースのモンスターだし、その身が武器や防具そのものみたいなもんだから。

イガイガ : ほら、ライオンで言うなら、爪と牙が武器に相当するやつだから。

咲夜 : その辺はモンエボの独特なとこだからね。


「なるほど、そういう事なんですねー!」


 つまり、自身のキャラの身体能力が強さの全てを決めるという訳なんだね! ……他のゲームだったらボスに勝てない時とかに武器を強化しまくって力技で押し切ったりはするけど、その辺は無理っぽいなぁ。ううん、その場合はLvをガンガン上げてやればいいだけですよ!

 ん? そういえばこのモンエボってボスはどういう風にいるんだろう? ジャンルがアクションRPGになってるし、ストーリーがほぼないみたいな事は聞いたけど、ボスがいないって事はないよね?

 んー、まぁこの辺はやっていけば分かるではず! ともかく今は育成要素を確認していくのみ! まずはあのゾウを倒す事を考えよー!


「えーと、育成方法は……あ、スキルツリー方式なんですね。へぇ、『生命』『屈強』『堅牢』『俊敏』『器用』『知恵』の6系統のツリーがあるんですか!」


金金金 : あ、オフライン版ってスキルツリーなのか。育成システムは結構違うんだな。

ミツルギ : まぁそうなるけど、オンライン版の情報をサクラちゃんがオフライン版のものだと勘違いしても困るからその辺は出来るだけ触れない方向で。

イガイガ : 確かにその可能性はありそうだ。

金金金 : あー、それは俺の配慮が足らんかった。オフライン版の育成方法は全然知らんから、見るのに徹するわ。

神奈月 : それが良いだろうな。


「私が勘違いするのを前提にして話す内容を制限するのって失礼じゃないですかねー!? いえ、ネタバレ厳禁でやるので、変に話さないという点では良いんですけど、何か釈然としないー!」


 確かにまだ画面を開いたばかりのこのモンエボの育成システムと、それとは異なるらしいオンライン版の育成システムを一緒に語られても困るけどー!

 ふぅ、皆さんがそういう言い方をしてくるのはもういつもの事……いつもの事ってまだ1時間も経ってないのにいつもの事と慣れて良いの、私!? 大丈夫、その内すぐに払拭出来るはず! その証拠に皆さん、ドジっ子だとは言わなくなってきた!


「それじゃ具体的に見ていきますね!」


 えーと、スキルツリーは6種類あって、タブで切り替えるみたい? ふむふむ、チュートリアルの説明を読む限りでは幼生体ではそれぞれのツリーに3段階の強化先があるんだね。

 1段階目はどの項目でも共通で『能力強化』になっててステータスの強化があるみたい?

 2段階目から枝分かれして……おぉ! 『スキルの取得』が出るようになるの!? そっか、ステータスとスキルをスキルツリーから取得して強化していくんだね!


 それで肝心のスキルツリーのそれぞれの項目の解放方法は……え、進化ポイントを消費するの!? えっと、1段階目は1ポイントずつで、2段階目から3ポイント、3段階目で5ポイント!?

 え、進化ポイントって今は……あ、同じ画面に表示されてる。そりゃここで使うなら表示されるよね。えーと、2ポイントしかない! これ、全然足りないじゃないですか!


 えぇ、Lvが上がった時に進化ポイントが手に入ってたけど、これって他に入手する手段はあるよね? いや、ないと困るから! うーむ、あのゾウにリベンジはしたいから、ここは苦肉の策を取るしかないねー!


「皆さん、ちょっと質問良いですかー?」


イガイガ : 君に決めた! アドバイザー・ミツルギ!

ミツルギ : その言い方はやめろ! イガイガは放置しといて、サクラちゃん、何が気になったんだ?

イガイガ : しっかり反応しといて放置とか言ってるー!

咲夜 : はい、ストップ。それ以上はまた脱線するから、しょうもない争いはそこまでな。

真実とは何か : 汝が求める真実は何か?


「えっと、進化ポイントってLvが上がる以外にはどうやって入手するんですか? あと、ネタバレになりそうだけどかなり気になるんで、アンロックに進化ポイントを使うのかも教えてください!」


チャガ : 初期の種族以外のアンロックには進化ポイントを使うぜ。てか、その辺って種族選択の部分で説明は見れなかったか? そのくらい確認しねぇの?

咲夜 : そりゃそうなんだけど、サクラちゃんがその辺に触れてなかったし、そもそもそこって一番初めに見た時には分からない項目だし。

ミナト : あれってアンロックされてるキャラをやる時までは無意味な項目だからねー。

チャガ : あー、そういやそうか。悪い、今のは初見の人に言う内容でもなかったな。


「あっ、いえ、チャガさん、大丈夫ですよ! なるほど、アンロックするのには進化ポイントは必要なんですね! それならどこかで入手は出来るはずですよね!?」


 そうじゃなければゲームとして成立しないもんね! うーん、それにしても育成とアンロックされた種族の解放の両方に進化ポイントが必要なのかー。

 アクションRPGなんだからキャラ育成をしないという選択肢は存在しないけど、狐は早めにアンロックして使いたいんだよね。うぅむ、まだ気が早い気もするけど、進化ポイントを貯めていくことも考えないと……。


ミツルギ : ……進化ポイントの説明があるのって、どのタイミングだったっけ?

イガイガ : まさかのアドバイザー・ミツルギのタイミングの忘却だと!? こりゃアドバイザーの名前は返上だな。チュートリアル・ミツルギに退化か。

ミツルギ : 何でもかんでも完全には覚えてねぇよ!

神奈月 : えーと、大真面目に答えるなら、初めのチュートリアルの最後のとこだな。幼生体の同族を倒して、進化に至る為の情報を奪えって感じ。


「え、幼生体の同族!? 敵にも幼生体がいるんですか!?」


 あ、そういえば種族を選択する時に誰が言ったのか知らないけど、ゲームの音声で『支配を望む』とか『他を蹴落とし』とか言ってたっけ? そっか、そっか、要するに私のライオンと同じような存在から力を奪い取ってしまえという話なんだね!


ミナト : 基本的にプレイヤーと同種の存在である精神生命体と同化した相手との生存競争だからねー。幼生体の時なら幼生体を1体倒せば、進化ポイントが1ポイント手に入るよー。

イガイガ : だそうだぞ、ミツルギ。思い出したか?

ミツルギ : 初出のタイミングを忘れただけで、取得方法自体は忘れてねぇからな!?


「大丈夫ですよ、ミツルギさん! 誰にだって凡ミスはありますって!」


 私はミスに対しては寛容なのですよ! ちょっとど忘れしたくらいで、責め立てるなんてナンセンスだからね! みんなももっと寛容になれば、世の中平和になると思うんだけどなー。


ミツルギ : サクラちゃんに言われるのは釈然としねぇ……!

金金金 : 確かにそれは同意。


「フォローしたのに、それはいくら何でも失礼じゃないですかねー!?」


チャガ : というか、質問した側がその発言ってどうなんだ?


 うぐっ!? た、確かに言われてみればそうかもしれない!? いやいや、そこは寛容にスルーしていただければ助かるんですよ!


「そ、それはそうとして、今の段階だと進化ポイントが全然足りないんですけど、敵の幼生体ってその辺りにいるんですか? 今の流れからすると、さっき私を殺したゾウがそうな気がしてるんですけど? というか、倒したシマウマは幼生体じゃないんですか?」


 これはあくまで私の予想だけど、明らかにそれまで倒していたシマウマとあのゾウの強さは違ってたもん。でも、シマウマが何かが逆に分からなくもなるんだよねー?


ミツルギ : あー、まぁ多分あのゾウは幼生体だろうな。それもサクラちゃんよりLvはそれなりに上なやつ。多分。

イガイガ : サクラちゃんが未強化とはいえ、あれだけの差があったら幼生体の上限に近いんじゃね? 多分だけど。

咲夜 : 多分そうだろな。ある意味、あの時点で遭遇するのは運が悪かった。

ミナト : うんうん、まぁあれは仕方ないよ。他にも幼生体はあちこちにいるはずだから、まずは強化しつつそっちの方を倒していくべきだね。

神奈月 : ちなみにさっきの……多分シマウマは一般生物で、まぁ精神生命体と同化してない普通のシマウマだ。序盤の経験値稼ぎは一般生物でも問題はないぞ。


「なるほど、あのゾウが私より強い幼生体で、シマウマは一般生物って言うんですね! ……ところで、なんで皆さん、多分になってるんです?」


 ここまではこんなに多分を付けて教えてくれていたことはないのに、なんで今回は多分が多いんだろ? 皆さんの見解は一致しているみたいだし、断言しない理由がよく分からない?


ミツルギ : あー、理由はあるにはあるんだが……ネタバレ案件だぞ?

イガイガ : まぁそういう事になるよな。


「あ、そういう事なら了解です! それなら手探りでやっていくんで、多分のままで問題ないです!」


 ネタバレ案件なら、聞かずにですよ! とにかくこの草原にいる幼生体とやらをなんとか倒して進化ポイントを貯めて、ステータスの強化やスキルを獲得していくぞー!


ミナト : サクラちゃん、ファイトー!

チャガ : あー、完全に手探りでやるんだな。ま、頑張れ!

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