第22話 ウツロと龍子のもぐもぐタイム
「あ、フーガス屋さんだ」
現在地である
そこにかかる
「
「お、いいね、ウツロ」
フーガスとは、
ウツロと
「すみません」
「いらっしゃいませー! すぐに作れますよ!」
ウツロが話しかけると、店員さんはニコッと笑って対応した。
「フーガス、四つください。ドリンクはザクロとヘビイチゴのスムージーで。龍子はドリンク、何にする?」
「えーと、わたしはコーラで、って……ウツロ、三つも食べる気なの!?」
「いまにわかるよ」
「うーん……?」
なぜウツロが四つも頼んだのか、真田龍子にはわからなかった。
しかし彼女がそれを
「うわあ、いいにおいだ」
「本当、わたし、おなかが鳴りそう」
「俺もだよ、グーグーガンモだね」
「んー、うーん……」
ウツロの
そんなやり取りをしているうちに、四人前のフーガスは完成したのだった。
「お待たせしました! フーガス四つと、こちらがザクロとヘビイチゴのスムージー、こちらがコーラになります!」
目の前にほくほくのフーガスが差し出される。
「ありがとうございます。龍子、俺が出すよ」
「え? そんな、悪いよ」
「いいからいいから。生活費が支給されたばかりだから、大丈夫だよ」
「うーん、じゃあ、お言葉に甘えます……」
こうして焼き立てほやほやのフーガスを手に
「あれ……?」
橋を歩きながら
その人影は、ウツロや真田龍子と同じ
「あれ、黒帝の男子だよね。ケンカかな……?」
真田龍子は河川敷の光景に不安を覚え、ウツロに問いかけた。
「
「はあっ!?」
ウツロはフーガスを食べつづけながら、のん気なトーンで答えた。
「いつもあの
「じゃれ合って、って……それどころじゃないでしょウツロ! 早く止めなきゃ!」
「心配ないよ、毎度のことだし」
「もう、ウツロ! なんでそんなにのん気なの!」
真田龍子は
それどころか、一緒に注文したドリンクを静かに吸っている。
「ああ、じれったい! わたし、止めてくる!」
「待ってくれ龍子。落ち着いて、そしてきいてほしいんだ」
「ウツロ……?」
ウツロは食事をやめ、急に真剣な表情になって、真田龍子に顔を合わせた――
(『第23話
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