第128話 自問自答……答えは出るとは言ってない。
あのお泊り会が嘘か夢かどっきりだったのかと思えるくらいに毎日は進んでいく。
気になるのは悠子ちゃんの発した瑞希さんの話を聞いてあげてって言葉。
似たような事を言われた事があったなと思えば、妹・深雪がかつて悠子ちゃんの話を聞いてあげてって言葉と被った。
それを確認しようにもいきなり聞き出すのはぶしつけ過ぎる気がする。
あれから再び病院にも行った。
☆ ☆ ☆
「へぇ、リア充爆発すれば良いのに。」
と、精神方面の先生の言葉とは思えない単語が飛び出してきた。
「半分冗談ですけどね。それは多分、私の会話したり触れ合ったりしてみてはという事を実践出来た結果という事でしょう?」
「そうかもしれませんね。理由はわかりませんが、3人からは友人以上の何かを貰ってる気がします。」
「だからリア充爆発すれば良い。」
そんな物騒な、と思ったけれど端から見るとリア充に見えるのか?
充実……なのだろうか。確かにここ最近、とうより8月に入ってからセンサー含め嫌な気持ちになる事は減ったような気がする。
荒んでいたピーク時に病院にきていたらまた違ったのだろうか。
「あ、そうそう。盲腸とかには気をつけてくださいね。タイミングがあえば剃毛する看護師……彼女になるかもしれませんよ。」
その言葉にびくっと震えを覚えてしまう。個人情報てって一体……
「そ、それは誰の事を指してるんです?」
「自分の胸に聞いてみろと天下一〇闘会で言われませんでした?」
先生はいつの時代の少年漫画で育ったんですか?
「それは乙女の秘密ですよ。」
心の中読まれてるぅ。
まったく……先生と話していても気が楽になっているような気がする。
「でもまぁ、順調と思って油断していると何が起こるかわからないのは普通の病気と変わらないので、気は抜かないでください。」
「先天性の女性不信ではないですし、同じ後天性でも要因となる元はある程度想定出来ているのですから、ある時ぱっと消えてしまう事もあるかもしれませんけどね。」
「その反対で急に悪化する事も考えられるので……気を抜かないでという事です。狭い世界かも知れませんが、リア……げふんげふん。その3人の女性ともっと信頼を深める方が良いです。」
「その結果、ハーレムになっても私はリア充爆発しろとしか言えませんけどね。」
この先生、味方なのか煽ってるだけなのかわからなくなってきた。
多分……両方なんだろうけど。センサーは働いてないわけだし。
ぶっちゃけると……待合室にいる時は多少なりとも働いている。対象距離がどのくらいかわからないけど。
電車の中の事を考えると数メートルかなとは思っているけど。
「そんな無責任な。」
「結婚だけが倖せじゃないんですよ……私も独身ですし……」
「いやその個人情報要ります?」
「誰か貰ってくれないかなぁ……チラッ」
「だからこっちみないでくださいよ。」
「妹に先越されて焦ってるなんて思ってないんだからねっ。」
「いやそれは……しらんがな。」
「あっはっは。本当に、大分良い傾向にはありますよ。前回来た時と大違い。その前の本当に酷い時は知りませんけど、このまま改善していくことを願ってますよ。」
「一応今のやり取りもカウンセリングの一種だったと?」
「半分本気よ。」
「うへぇ……」
「2回もカウンセリング受けて、これだけ会話したのだからもうマブダチでしょ。」
話し方が急にフレンドリーに?
「早く治って欲しいのと貴方みたいな面白い人が来なくなると寂しく感じてしまうのと半々ね。」
「あ、その半分なんですね。」
「もちろん、まだまだ産める年齢だからハーレムに加わる気も満々よ。貴方みたいな人ならぞんざいには扱わないでしょうしね。」
元婚約者はとことん突き落としましたけどね。
「まぁ、ハーレム云々はともかく。女性不信が収まったら……良い友人にはなれそうな匂いはしますけどね。」
「え?匂いフェチなの?私はアブノーマルなのも大丈夫よ。」
「違うわっ。ってもう先生と患者の会話じゃなくなってますよ。」
「診察ではあるけどカウンセリングでもありますからフレンドリーな会話も改善するためなら必要なのです。」
「急に真面目になった!?」
☆ ☆ ☆
診察後一人でアニスミアに寄ってみた。
「あれ?みんなに愛想つかされちゃいましたかにゃ?」
って失礼な。どうしてみんな俺をハーレム扱いをしたがるのか。
「一人で物思いに耽りたくなる時もあるんです。」
という事で端っこの席にして貰った。
なんだか先生にもロックオンされた気がする。
絶対普通は医者と患者の間での会話じゃなかった。
半分以上は冗談だとしても……俺のどこに惹かれる要素があるんだろうか。
「カレンさん、俺のどこに惹かれる要素あるんでしょう。」
運ばれてきたのは、今回珍しく頼んだにゃんこカレー。
野菜でねこの顔を表現している。もはやアートだ。ラテアート程は凄くないけど……これはこれで凄いとは思う。
「うわっめんどくさい質問されますにゃ。それは本人に聞くしかわからにゃいにゃ~。」
「ですよねぇ。」
結局何も解決しないしわからなかった。
ただ、カレーは美味しかった。この心のぽかぽかはカレーのスパイスに違いない。
「ポイントは着々と溜まっていきますにゃん。」
カレンさんはにこやかにポイントカードを返却してくれた。
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