第124話 士道不覚悟切腹よ~♪

 少し女子会をすると言っていたので小一時間程はかかるだろうと思い、何かで時間を潰そうと思い本棚を漁ってみる。


 女子が3人も集まったからか、無意識に複数女性に言い寄られる系統のものを探していたのだけれど……


 自分の部屋に置いておいたと思ったけど見当たらない。

 悠子ちゃんに引き渡したあっちの部屋に入れていたのだろうと思い諦めた。

 少しHな内容のものは自分の部屋にしまっていたと思ったのだけど。


 仕方ないので本棚の他の棚を調べていると、昔々の懐かしいゲームが収納され陳列しているのを見かける。


 「これとこれと……」

 いくつか取り出したゲームのジャンルは、妹系、調教系、ナース系ばかりだったがこれは無意識だ。

 取り出したゲームをタワーにしてタイトルを確認してみて感じた事。


 パソコンを起動させると一つのソフトをドライブにディスクをセットする。


 プレイしているのは某有名絵師さんが原画を担当していた18禁ゲーム。

 この頃はまだ声がなっかったそうで、純粋にシナリオと絵と演出、音楽で勝負していた気がする。

 声が当てられ当たり前のように主題歌が入るようになって作品としてのクオリティは上がったけれど、売りにする箇所が変わっていったような気もしていた。


 最もジャケ買いや原画で決める人もいるし、メーカーで決める人もいる、声で決める人もいる。

 人それぞれなのはわかっているけれど。

 それに絵のクオリティというか、可愛いの基準も年々変わっていっているのは明らかだ。

 90年代のゲームと00年代10年代ではまるで違う。


 しかし名作と呼ばれるのは2000年前後に多かった気がする。

 だからこそ懐かしいゲームをプレイしていた。


 音漏れ防止のために音声はイヤホンで聞いている。


 加〇、けよりな、みず〇ろ、はぴ〇す、ショ〇ラ、天〇爛漫、、ましろ色〇ンフォニー、はじるす、はじいしゃ、妹ブ〇マ、初恋〇報、家族〇画と義妹攻略可能なゲームが積まれている。

 今ドライブ内に入っているのは「犠妹」。

 

 その他にタワーに積まれているのは……メーカーでいうとBI〇HOPやわるき〇ゅ~れのものが多い、懐かしの夜〇病棟なんかも積んであるがこれはナースものというのか調教ものというのか。両方か。

 ZE〇OとかLIL〇THとかアトリエ〇ぐやとかル〇のものも多いか。他にも奴隷〇場とかカスタム隷〇なんかも積まれている。


 復讐ものとして……ツグ〇ヒも積まれていた。

 未だに脳内ベストソングとしてあの作品の曲は心に刺さる。

 

 これ、普通にやべぇやつの机になっちまったな。

 女子3人が家にいるのに何をやってるんだか…… 


 しかし……前はパッケージを読んでるだけでも反応したものだけれど、まったくと言っていいほど無反応。

 酷い時は透明な液体がパンツを濡らしていたりもしたというのに。


 海綿体と睾丸が仕事をさぼってるのかというくらいに男性としての機能はお亡くなりになっていた。


 普通不能でも睾丸が精子を作成するくらいはするのではないだろうか。違うのかな。

 


 とはいいつつも、ただいま「犠妹」プレイ中。

 Se〇enの妹調教系ゲームだ。

 このゲームの主題歌も結構良かったのを覚えている。


 なんでエロゲ―をプレイしようと思ったのかはわからないけれど、懐かしいものをみたらついやりたくなってしまう心理ではないかと思う。

 問題は何も女性3人がいる家の中でやる事かどうかという事なだけで。


 だからこそ気付かなかった。

 偶然悠子ちゃんと同じ悠の字がヒロインに使われている事を。



 そして気付くのに遅れた。

 「お兄ちゃん」という言葉が声が、イヤホンから聞こえるものではなく、部屋の入口から聞こえてる事を。


 ぎぎぎと効果音が鳴ってもおかしくない程ゆっくり部屋の入り口を見ると、3人の女性陣が俺のパソコン画面を見て固まっていた。


 いや、正確には約1名は身体をぷるぷる震わせていたけど。

 「あ、これはその……」


 今までの俺の、黄葉真秋像が崩れた瞬間だった。




☆ ☆ ☆



 「それで、お兄ちゃん。あれはなんだったの?妹系ゲーム……そ、それもえっちなゲームだなんて。し、しかもちょちょっ調教モノだなんて。」

 真っ赤になって悠子ちゃんが興奮している。


 「流石黄葉君ね、義妹と調教のダブルパンチ、これでナースも同梱していたら完璧だった。」

 「いや、小澤は少し黙ろうか。」

 小澤は平常運転中だった。


 「ふ、不潔です。せめて女性陣の居ない時にしてください。そ、それと積みゲーの中にナース調教モノもありました。私は見ました。」

 最後の方は聞き取り辛かったけどなんとなくはわかった。夜勤〇棟とかの事を差しているのだろう。


 「それと、時と場合は選んで欲しいと思いますが、これは恋愛や性に対して前向きになってきたと捉えても良いのでしょうか。」

 月見里さんが少し穿って捉えているようだ。本当に無意識だったんだと説明しても信じては貰えない。


 「時間潰しにとつい懐かしいと思ってやってました。何も今する事ではないと思ったけど、気が付いたら遊んでました。」

 素直に頭を下げた。音漏れをしていたかとかそういう問題ではない。


 「でも2000年頃の作品て名作も多いし、主題歌も力を入れ始めた時期で結構良い曲とかもあるんだ……よ。」

 せめてもの反論を示すと意外にも月見里さんがそこに喰い付いてきた。


 「それは知ってます。私もI’〇e信者ですから。所謂電波ソングも好きですけど。」

 行〇とかぶる〇みれとか巫〇み〇ナ〇スの事だろうか。

 士道不覚悟切腹よ~って。

 「それに、えっちなゲームのキャラって結構コスプレのネタの最前線だったりもしますし。」

 

 「脱線したけどお兄ちゃん。現実の女性がここには3人もいるのに、ああいうのはダメだと思うのです。」


 「そうそう。私ならいつでも……」

 「小澤((茜さん))は黙ってて。」

 「あ、ハイ。」


 当の茜本人以外の全員がツッコミを入れた。


 「あぁうん。流石にもうプレイしない。」

 流石に女性3人からの視線は痛かった。

 怒ってるというよりは……


 3人共何故自分達を頼ってくれないんだ?という悲しい目をしていた。

 なぜだか俺にはそう受け取れた。



☆ ☆ ☆



 どういうわけか悠子ちゃんと小澤は一緒に風呂に入っている。

 

 どうしてそうなったのか……

 

 「お兄ちゃん同盟?」

 どうやら俺に再び恋愛をして貰いたい3人がその手伝いをする会らしい。


 確かに殺伐とした春夏ではあったけれど。


 ある一定の女性に対して不信ではあるけれど。


 俺のここは反応しないままだけど。



 この先恋愛をしないとは……言ってないけど、そう思われても仕方がないか。


 

 「というかそういうのは本人に言っちゃいけないやつなんじゃ?」


 「だって不用意に近付いたりしたら不信がられて単に突き放されそうだよもん。」

 だよもんって……


 月見里さんならともかくなぜ悠子ちゃんがそれを知っているのか。


 「でもまぁ、精神科の先生が言うには、センサーの働かない人との触れ合いは大事とは言ってたけど。」



 「じゃぁ決まりだね。せっかくだし今日は泊まってもいいかな?」

 小澤がそう言ったのを皮切りに……


 「そ、それじゃぁ私も泊まります。」

 続いたのが月見里さんだった。


 二人共何を考えてるの?

 見る人がみたらただのハーレムだよ?


 前向きになるしかないとは思ってるけど、いきなり急すぎないかな?

 いくらセンサーにかからないとは言っても女性陣に囲まれるのは……



 抑泊まる事に許可は出して……ないけど女性陣3人は乗り気のようだ。

 これ反対すると声が大きくなってまた小倉さんが乗り込んできてしまうかもしれない案件だ。

 いや、それはないか。あれは本当に大声だったからな。



 「私が決める事じゃないけど、大丈夫だよ黄葉君。どちらかというと女性陣の親睦を深める会というか女の子きゃっきゃうふふな会だから。」



 外堀というか別堀が埋められていたようだ。


☆ ☆ ☆

 実は先程部屋でゲームする前に風呂は洗っていた。

 お湯が溜まるまでは20分もあれば時間は足りる。


 そして少し話した後、悠子ちゃんと小澤は二人で風呂に入りにいった。

 ちょうどお風呂が沸きましたとアナウンスが流れていた。


 その間に俺は晩御飯の準備を進める。



 寝る時どうすれば良いんだ。準備を進めながら先程の事を思い出す。


 客用の布団があと1セットはあるけど、枕が足りない。

 この面子であれば女性陣3人は並んで寝れば良いと思っている。

 布団2つを並べれば3人なら大丈夫だろう。だけど枕が足りない。

 大事な事なので2度言いました。


 誰かが誰かを抱き枕にというわけにもいかないでしょ。


 「枕なら自分のを持ってきます。家下ですからね。」

 ついでに下着も持ってくるとか言っていた月見里さん。

 そこは着替えをじゃないのだろうか。

 なんて言って月見里さんは自分の部屋に一旦戻り、お泊りセットを準備しているはず。



 というか、女性陣逞しすぎませんかね。

 なぜ……と考えるとすれば答えは少ないか。


 女子会の続きでもするのかもしれない。



 あ、悠子ちゃんの布団一式は俺の部屋にあるじゃないか。



―――――――――――――――――――――――――――


 後書きです。


 女性陣は一気に距離が縮まってしまいました。

 一緒に風呂に入ったりお泊りしようとしたり。


 今話では述べませんでしたが、真秋のためともう一つ。

 悠子のためでもあります。


 今日あった登校日の嫌な出来事は、何もなくても真秋と触れる事で安らいだだろうけど。

 瑞希と茜によって安らげる道であっても良いのではないかとも感じます。

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