第4話 披露宴の暴露ビデオレター
会場内の騒めきが大きくなり切らなかったのはあいつや不貞の事がまだ明らかになっていないためだ。
妊娠の日数を多少間違うのはある事だと思う。
ただ2~3ヶ月間違う事はないはずである。
そんな2~3ヶ月も間違うような診断をするなら、産婦人科医は辞めてしまえと思う。
でも流石にそんな医師はいない。
この時点では妊娠の時期を2~3ヶ月も違って報告するともえに何かしらの違和感を感じた程度だろう。
この時に俺は興信所を使い、ともえの不貞の現場を押さえるよう情報を集めた。
この頃、というか彼女の着床予想時期である8月は仕事が忙しく夜はレスであった。
まだ結婚もしていない恋人同士なのだから子作りの義務もないし、互いの気持ちが乗った時にだけしているような状態だった。
ともえにも仕事はあるし、疲れている時に無理やりしても、それは半ば強姦と変わらない。
夫婦間であっても合意がなければ最悪強姦罪が成立するような世の中なのだから、無理して性行為はしてこなかったし向こうも求めてはこなかった。
その代わりする時はとことん互いが満足するまでだったけれど。
ともえとのレスは6ヶ月前に始まり4か月前まで続いた。6月末から10月初旬だから実質は3ヶ月と少し。
その約3ヶ月は誰ともしていない。正直自◯行為ですら途中からしていない。
それだけ仕事が忙しく疲れていた。でもそれは仕方がない、会社存続の危機を乗り越えるためだった。
新人ですら即戦力として残業しなければ乗り切れていない。
ただ、そのかいあってかどうにか3か月前には通常に戻れた。
勤務時間も残業も通常に戻れたのだ。
これまで寂しい想いをさせたと、ともえと少し贅沢なプチ旅行もして持て成した。
もちろん夜も再開した。最初妊娠3ヶ月を告げられた時はこの時のハッスルかなと思ったくらいだ。
産婦人科のやり取りの後流れた映像は、妊娠の証明となる写真だった。
確かに5ヶ月前から命の鼓動が見られる。少なくとも3ヶ月よりは前なのがはっきりとわかる。
興信所に頼み情報を得た様子が得られる。
この時点ではモザイク処理で誰が相手かはわからないが、妊婦のともえが一人の男とラブホテルに入っていく写真だった。
日付入りの写真なのでどれもこれもが別日だというのがわかる。
そして滑稽なのが、利用するホテルがいつも同じラブホテルなのがわかる。
ホテルの名前にピンときた俺はこの時ある2人の同級生に連絡を取った。
そして、事情を説明するとあっさり協力してくれた。
防犯カメラ映像はオーナーは自由に見られる。
第三者が勝手に見るのは違反ではあるが……
そこで別々ではあるが、弁護士事務所で働く同級生と、警察官になった同級生にも連絡を取る。
映像を確認するが違法になるかどうかと。
ギリセーフという事になった。
オーナー同伴の元の確認であればということで。
事件性があれば、警察官立ち寄りの元可能でもあると言っていたが。
ピンポイントで嫁となる予定の女の不義を確認するため、その部分だけとなったらギリセーフという事になった。
そして流れる映像は……
お腹の少し張ったともえとまだ顔モザイクのかかった男がバスタオルを巻いた状態でホテルの風呂から一緒に出てくる所だった。
そして二人はそのまま行為へと移るが、流石にそこはモザイクなしには流せないためストップする。
そして子供や未成年もいるため行為自体は流せない。
映像の音声に対し、司会者から付け加える。
「この様子は流石に流せないので割愛させていただきますが、原本はこちらにございますので確認したい親族の方がいらっしゃれば後程ご覧になる事は可能です。」と。
その後、同日の少し場面が進んだ先の映像と音声が流れる。
「お前、それ俺の子だろ?良いのかあいつに黙ってて。後でバレたら俺は否定するぞ。」
それに続いて女の声が流れる。
「大丈夫でしょ。妊娠を伝えた時の喜び方が半端なかったから疑ってなんてないと思う。2歳か3歳くらいまで育てられれば、後はバレても何かを理由に離婚して慰謝料ふんだくれば問題ないでしょ。」
「可哀想なのはあいつと、その腹の中の子だな。法律上はあいつの子として登録されるわけだし。」
「まぁそうだけど、
「大丈夫だよ、ともえ。あいつは何だかんだで俺にぞっこんだからな。金積めば離婚届けに判子押すだろ。」
聞いているだけでも虫唾の走る内容が、披露宴会場に大音量で流れていた。
まだともえはこの様子を知らない。
あいつ……クズ野郎こと貴志はかなりの数の睨みの目線を向けられるが、目を反らし何食わぬ顔をしていた。
俺はその様子を場内カメラ越しに控室で確認していた。
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