第847話 海賊粛清計画

「で、結局はどのように?」

「陸軍閥には神国の合同軍の功績を独り占めされたのに、海軍閥のなかの粛清まで頼むことはできないと」

「つまり?」

「他国の侯爵ではなく冒険者のサラ様に転移までは依頼する。ただし強力な戦力・火力による軍船等の焼失、もしくは戦利品としてサラ様に提供することを避けるため、依頼内容はあくまでも人員の転移までに、と。サラ様、受けて頂けますか?」

ダニエーレ王子とタカマーノのやり取りを横で聞いていたサラは頷く。

「自国に確認しますが、おそらく大丈夫でしょう。ただ、その作戦では粛清する側の将兵の皆さんの怪我なども多くなると思われますが?」

「仰る通りですね。回復魔法の支援もお願いできるのでしょうか?」

「それも確認しますね」


宰相ジョエリーに状況報告と合わせて確認すると

「冒険者サラの自由にするが良い。ただ、報酬はしっかりと貰っておくようにな」

と了承される。


海賊被害を増やさないためにも短期決戦が大事とのことで、昼過ぎには王都ゴルガの海軍閥の将兵の多くが集められていた。サラは回復魔法を使える従士団員に集合させておくのと合わせて、海賊を見張っている拠点から海賊拠点の島にこっそり移動して転移場所を確保している。



そのころ、海賊拠点においても騒動が起きていた。前日に帰着していた私掠船であるガレー船のメンバが海賊仲間や海軍たちに、商船から返り討ちに逢いそうになったことの報告があったからである。

「確かに最近、出撃していた部隊が帰って来ていないな」

「帆船だけ帰ってくる、尾行でもあったかと怪しい状態だったものは撃沈しておいたぞ」

「何をバカな!帆船にはわが神聖騎士団員が乗っていたはずだぞ!」

「ふん!帆船からは反撃もまともになかったようだから、すでに囮の商船にやられていたのだろうよ。どうせガレー船と並走していないということは反撃されたということだからな」

「何!?ならば、今回のガレー船だって尾行された可能性があるだろう?」

「いや、見晴らしのよい海上で、視力の良い船乗りが見渡しても尾行は居ないことを確認してある」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る