225 ダブルロード①
魔法の使用制限が守られていたか、それをレーサーひとりひとりの腕輪にはめ込まれた
この審議で魔法使用時間が二秒を超えていたり、三回以上発動したりした痕跡が確認された組は即失格だ。
「やられましたね」
そう言って振り返ったシオサイは力なく笑った。舵役は繊細なコントロールを連続で強いられるだけあり精神的疲労が帆役よりずっと大きい。ヨワは労りを込めて微笑み返した。
「重力操作に加えて時間操作の魔法を使われたら敵いませんよ」
「え。いつそんな魔法使われましたっけ」
「え? ゾオ・ブランチと並んだ時ですよ。いつもより体が重く感じませんでした? まあゴール目前で時を止められたことには僕もすぐに気づけませんでしたけど」
あんなに息が上がって苦しかったのは重力操作の魔法で重くさせられていたからだったのか、とヨワは納得した。どおりで疲労の回復も早いわけだ。記憶があいまいと思った違和感は時間操作で時を止められたせいによるものらしい。そこまで考えてヨワはまたあれ? と首をひねった。
「やあ。きみヨワさんだっけ。驚いたよ。カーブで飛んできたのもそうだけど、重力操作してもスピードが落ちないんだもの」
さっとボードを寄せてきたゾオがそう言って朗らかに笑った。
「時間操作の魔法まで使うつもりはなかったんだけど、つい負けず嫌いな質が出てしまった。でも、きみとはとてもいい勝負ができたよ。ありがとう」
求められるまま握手に応えたヨワは、思いきって抱いた疑問をゾオにぶつけた。
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