第61話:スライム・ゴブリン従魔クランに改称

「アレックス様、あのような言い方をされたら、まるで私がアレックス様を尻に敷いているようではありませんか」


 俺が4人のゴブリン従魔司の能力を確かめている間は、ずっと我慢していたクラリス王太女殿下が、少しすねたように訴えてくる。

 確かにあのような言い方をすれば、俺がクラリス王太女殿下に逆らえないように見えるだろうな。


 それは事実だと思うのだが、俺にもそれを口にしないだけの分別くらいはある。

 別に力や能力で負けているわけではなく、愛に縛られているだけだと、身悶えしそうになってしまう事を心の中だけで思う。

 こんな想いを平気でクラリス王太女殿下囁けるような、鋼の心臓など持ち合わせていないのだ。


「申し訳ありません、次から気をつけさせてもらいます」


「もう、本当に気をつけてくださいね、アレックス様。

 公式の場では仕方がありませんが、私的な場では貞淑な妻になりたいのですから」


 今日は何度心の中で身悶えすることになるのだろうか。

 思わず抱きしめたくなってしまったが、正式な結婚式までは我慢だ。

 クラリス王太女殿下はもうその気でいてくれるようだし、ティン国王陛下も認めてくださっているから別に問題はないのだが、俺はちゃんとしたいのだ。

 クラリス王太女殿下の名誉を損なうような真似はしたくないのだ。

 それが男の愛情だと思ってしまっているのは、果たして前世の影響なのか、それともこの世界に来てから叩き込まれた貴族の常識なのか、俺にも分からない。


「それにしても、とてもいいクランメンバーを手に入れることができましたね。

 最大ヒュージゴブリン4頭とビックゴブリン10頭とホブゴブリン110頭を使役できるゴブリン従魔司は、軍の100人隊を超える強さですわ。

 ゴブリンに乗馬を教えれば、100騎隊に匹敵する軍になりますわ」


 確かにクラリス王太女殿下の言われる通りだ。

 使役できるゴブリンの最低ランクがホブゴブリンならば、普通の人間と変わらないから、強制徴募された農民兵くらいの強さは確保できる。

 野生のホブゴブリンと違って、鎧兜で防御力を高める事も可能だ。

 野生種の中には狼に騎乗するライダーゴブリンもいると聞くから、地道に訓練すれば乗馬を覚えるゴブリンもいるかもしれない。


 まあ、予測では各種職業能力を得るのはビックゴブリンになってからだから、クラリス王太女殿下の考え通りに全頭騎乗させるのは不可能だろう。

 そんなことができるようになるとしたら、4人のゴブリン従魔司が使役できるゴブリンの最低進化が、ビックゴブリンにまで向上してからになる。

 これからどうなるのか、本当に楽しみになってきた。


「ゴブリン従魔クラン」

従魔司:4名

   :マリア:女性124頭

       :ヒュージゴブリン:4頭

       :ビックゴブリン :10頭

       :ホブゴブリン  :110頭

   :ニーヴ:女性119頭

       :ヒュージゴブリン:2頭

       :ビックゴブリン :10頭

       :ホブゴブリン  :107頭

   :フレイ:男性113頭

       :ヒュージゴブリン:2頭

       :ビックゴブリン :7頭

       :ホブゴブリン  :104頭

   :テーレ:男性108頭

       :ヒュージゴブリン:1頭

       :ビックゴブリン :5頭

       :ホブゴブリン  :102頭

従魔士:216名


「主なゴブリン」

レベル3ファイターキングゴブリン:1頭

レベル7プリーストロードゴブリン:1頭

レベル5プリーストロードゴブリン:1頭

レベル4プリーストロードゴブリン:1頭

レベル3プリーストロードゴブリン:1頭

レベル2シャーマンロードゴブリン:1頭

レベル5シャーマンロードゴブリン:1頭

レベル4シャーマンロードゴブリン:2頭

レベル2シャーマンロードゴブリン:1頭

ファイターヒュージゴブリン   :18頭

プリーストヒュージゴブリン   :23頭

シャーマンヒュージゴブリン   :21頭

ファイタービックゴブリン    :219頭

プリーストビックゴブリン    :372頭

シャーマンビックゴブリン    :363頭

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