第58話:未開地開発

 クラリス王太女殿下と俺は、サクラに乗って高い位置から未開地の木々を睥睨しているのだが、とても気分がいい。

 敵の襲撃に対しては、スライムの透明の身体が防いでくれるから何の心配もない。

 ラノベやアニメでいう所の、透明のバリアに護られた状態だ。

 少し残念な事があるとしたら、心地よい風を感じられない事か。

 そんな事を考えたら、直ぐにサクラが安全な場所に空気口を設けて風を送ってきてくれた。


「ありがとう、サクラ」


「まあ、とても素晴らしいですわ、未開の森林の心地よい香りがしますわ」


 クラリス殿下の言う通り、未開地の緑の息吹は素晴らしい。

 連日の公務に疲れた心を癒してくれる効果がある。

 これは前世の影響による思い込みかもしれないが、心地好いことは間違いない。

 ここにケーキとお茶があれば言う事ないのだが、まだ仕事中だ。


「アレックス様、少し書類仕事を中断して、お茶にしませんか」


 最近のクラリス王太女殿下は、俺が休みたいと思う絶妙のタイミングで休憩するように勧めてくれるが、これが愛の力というモノなのだろうか。

 そんな風に考えてしまう自分に激しく動揺してしまった。

 いつから俺はこんな自信家になってしまったのだろう。

 俺が人に愛される要素など、前世の記憶と知識による利点しかないというのに。


「ええ、そうさせていただきましょう」


「直ぐにナッツケーキを出してください。

 アレックス様にはナッツだけの甘さ控えめのモノを出して差し上げて。

 私にはドライフルーツも入った甘みの強いモノを出して」


「ありがとうございます、クラリス殿下」


 クラリス王太女殿下はどんどん俺の好きなモノを覚えてくれる。

 それがとてもうれしくて、心の中がとても暖かくなる。

 だからこそ、リークン公爵領を完全に掌握したうえで発展させなければならない。

 俺とレベル1キングスライムのサクラがいるうちに、計画的に未開地の木々を素材として根こそぎ抜き去り、広大な農地に変えるのだ。


 父親と弟を幽閉させているレベル2ヒュージスライムには、俺が王都に戻った後の未開地開発を任せる予定だ。

 もう1頭レベル2ヒュージスライムを駐屯させて、大魔境で狩りをさせて公爵家の資金稼ぎにする。

 大ダンジョンの確保と、王都と大魔境の間で輸送任務に使っている3頭のロードスライムの配置を考え直した方がいいのかもしれない。


「今日のナッツケーキには、風味をよくするために新しい香草を使ったそうですわ。

 アレックス様のお口にあえばいいのですが」


「お口をナッツケーキにあわせます、クラリス王太女殿下」とか「貴方の作らせたケーキが僕の好みですよ」

 などと口に出せればいいのだけれど、俺にそんな度胸はない。


「スライム従魔クラン」

従魔師:1名・アレックス・リークン

従魔司:1名・アルペーシュ(137頭)

従魔士:175名


「主なスライム」

レベル1キングスライム :1頭(常にアレックスと共にいる)

レベル5ロードスライム :1頭(大魔境の大ダンジョンに居座る)

レベル4ロードスライム :1頭(大魔境の大ダンジョンに居座る)

レベル3ロードスライム :1頭(王都と大魔境の間で輸送任務)

レベル2ヒュージスライム:1頭(父親と弟の幽閉役)

レベル2ヒュージスライム:1頭(大魔境で狩りをして公爵家の資金稼ぎ)

「個体から成長した特別なスライム」

ヒュージスライム:11頭

ヒュージスライム:1頭(アルペーシュに貸し出し中)

ビッグスライム :45頭

ビッグスライム :4頭(アルペーシュに貸し出し中)

「各種特殊スライム」

アシッドスライム :376頭

マジックスライム :312頭

ポイズンスライム :4714頭

ポーションスライム:1537頭

ウッドスライム  :1862頭

ロックスライム  :1926頭

ブロンズスライム :39頭

アイアンスライム :88頭

シルバースライム :8頭

ゴールドスライム :6頭

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