第10話 追いつけない強さ
アナリンの
アナリンはそんな僕を
「斬れぬものはないと言った
くっ!
体が動かない!
僕は歯を食いしばることも出来ずに
だけどそこで僕の兵服の中から赤い粒子が
すると僕の意思とは無関係にこの両腕が前に差し出されたんだ。
そして今まさに僕を突き刺そうとしていた
「何っ?」
こ、この力は……。
左手首に4つ目となる赤いアザが光り
ヴィ、ヴィクトリアの力だ!
自分の兵服の中を確かめることは出来ないけれど、間違いなくヴィクトリアが他の皆と同じように僕の左手首に吸い込まれたんだ。
そして
すさまじい力だ。
今なら大きな岩でも持ち上げられるんじゃないかと思うほどだ。
僕はアナリンの
「くっ! おのれっ!」
アナリンは
そして
だったら……。
「フンッ!」
僕は両手で
「うっ!」
刀を放さない意地が
僕はそんな彼女に思い切り体当たりを浴びせた。
「くはっ!」
アナリンはそれでも
ヴィクトリアの力によってアナリンは少なからぬダメージを負いながら何とか着地した。
だけどそのライフは着実に
やれる。
アナリンは確かに強さと速さを兼ね備えた最強の敵だけど、攻撃さえ当てられれば、ああしてダメージを与えることが出来るんだ。
それならこちらに全く勝ち目がないわけじゃない。
僕は地面に落ちている2本の
そして両手に
力、速度、防御力、判断力、これらでアナリンの攻撃を何とかしのげるかもしれない。
でもこちらからアナリンに斬り込んで彼女を倒せるイメージが
剣を使った戦闘は圧倒的に彼女に分があるんだ。
「なるほどな。あの
そう言うとアナリンはすぐさま
こちらが回復するヒマすら与えてもらえない。
僕は金の
僕はそれを銀の
だけど彼女はこれも平然とかわす。
「貴様の剣は腕力と瞬発力の増強で確かに強く、速くなった。だが、貴様の剣技は
そう言うとアナリンは右に左にと刀を揺らがせて、見たこともないような
僕は
「うぐっ!」
ノアの金の
僕は必死に防御体勢をとるけれど、彼女の刀は僕の剣から逃げるような幻惑的な
「くっ! ううっ……」
僕はたまらずに後方に大きく飛んで距離を取る。
アナリンは
「力が強い。動きが速い。それだけで剣の腕が上がるのならば苦労はない。
アナリンの言う通りだった。
皆に力を借りているこの
「武の道にごまかしは通じぬ。
アナリンの振るう刃が次々と襲い来る。
その
ま、まずい。
もうライフが残り4分の1を切る危険水域に入った。
くそっ!
僕は
この体に宿っている皆の力は本物なのに、僕のせいで本物になり得ない。
そのことが悔しくて僕は
アナリンの攻撃は
何か手を打つ
彼女の強さは深く底の知れない海のようだ。
海底が見えたかと思うと、そこにはさらなる深みへと続く
このまま僕の命が尽きるのが先か、この心が折られるのが先か。
僕は悲壮感に押し
「くそっ!」
アナリンの刀さえ奪えれば……。
その
金の
「甘いっ!」
だけどアナリンはすばやく
「ああっ!」
さらにアナリンは鋭い踏み込みから僕のすぐ目の前で
その一撃が、僕が左手に握る銀の
金の
「これで
「くっ!」
だけど
アナリンはほんのわずかな
僕は完全に彼女の手玉に取られていた。
やばいっ!
僕は即座に
彼女は
もう空中に
ノアの
「
今度こそやられた。
そう思った僕だけど、突如として真横から強い力で誰かに突き飛ばされて、僕は地面に転がった。
「なっ……」
僕はその黒い人影を以前に見たことがある。
あれは確か双子の暗黒姉妹キーラとアディソンを相手に戦った時にミランダが上位スキル・
ということは……僕がそう思ったその時だった。
僕は見たんだ。
アナリンの背中越しの風景が一変するのを。
「え……」
アナリンもすぐにその異変に気が付いた。
なぜなら風景が一変したのは彼女の背後だけでなく、僕の背後も同じだったからだ。
「な、何だこれは……」
今の今まで平原にいたはずの僕らは、どこか見知らぬ城の中の中庭らしき場所にいたんだ。
周囲は黒塗りの城壁に囲まれ、足元には多くの草花が茂っている。
突如として現れた光景に僕は
「ど、どうなってるんだ?」
思わず声を
【テスト・プレイ開始】
その
見ると倒れている僕の体の周りの地面から、無数の真っ黒い手が生えてアナリンの体を
その光景に僕は息を飲む。
なぜならそれは僕が今まで幾度か見たことのある光景だったからだ。
「こ、これって……
『ようこそ。我が城へ。あんたたちはこの城の記念すべき最初の訪問客よ。歓迎するわ』
変わらぬその
聞き慣れた少女の声に僕は思わず
僕は四方を見上げて声の主を探す。
この中庭を見下ろす格好で突き出した城の本丸の下に、せり出すように設けられたバルコニーがある。
そこには見慣れた
「ミ……ミランダ!」
そう。
そこに立っているのはここまで
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます