俺のプライベート、ゼロ感


「お兄の宝物庫にあかりのブラジャーも納めて?」


「は?何でおまえが宝物庫の存在を!?」


「颯人?やっぱり何か隠してるの?」


夕食後、俺の部屋に姉妹が入った途端に亜香里が動き出した。


亜香里がベッドの上に登って、なぜか写真を天井に貼り始めている。


俺はそれを呆然としながら見ていた。


制服姿の亜香里、あと、顔が写ってない下着姿のやつ。ってはぁ!?ちょっと待って!亜香里さん、ストップ、ストーップ!!


「おい、亜香里。それは何だ?」


「あかりだよ?」


「いや、それはわかるが」


写真、下着姿も含めて亜香里だってわかってしまう俺ってやばいかもな。


「え・・・?もう颯人ったら。わたしの写真も欲しければあげるよ?」


望美がもじもじしながら言ってくる。


「亜香里さん?母親に見つかったらドン引きするから止めてくれないかな?」


「お兄が寂しくなったら、天井を見てね」


ダメだこいつ話を聞いてくれない。


「姉的に、あの行動はアリなんですかね?」


「うーん、颯人は目に焼き付けるタイプだと思ってたんだけどな。やっぱり一人の時間もあげた方がいい?」


ダメだ、話が噛み合わない。


「望美、勉強しようぜ、勉強」


勉強大事。継続は力なり。


「あかり?わたしたち二人が写ってる写真がたくさんあれば、颯人は喜ぶと思うよ?」


「お姉、天才」


「制服姿が良い?それとも脱ぐ?」


「望美、頼む。止まってくれ」


「そういえば、3人で写真、あんまり撮らない」


亜香里がそんなことを言う。スリーショットってレアなんだよな。あんまり携帯に入ってない。


「今日は亜香里の記念日だから、写真、撮ろう?」


亜香里が嬉しそうにスマホを取り出す。


「別にいいけど」


「颯人、あんまり嬉しそうじゃ無いね?」


「そんなことは無いけどさ」


「お兄、今は気にしないで?3人の関係は、これからじわじわと広げて行けばいい」


「もうちょっと上手くいければいいんだけどな」


「颯人、難しく考えちゃダメだよ。わたしは別に、3人の関係が他の人に認められなくても良いと思ってるからね?」


望美から爆弾発言。


はい?いや、それはダメでしょ。


「俺は、周りの人に認めてもらいたい。望美と亜香里が、苦しくならないように、ちゃんと説明できる関係ってのを目指したいんだが」


「颯人はそうなんだね。わたしは、3人になるって決めた時点で、ある程度の苦労は覚悟してるから。そ、れ、よ、り、も!」


望美が両手で俺の頬を挟み込んできた。


「颯人が悩み続けて髪の毛無くなりそうで心配だよ」


「あかりも、それはちょっと・・・」


「俺が禿げる前提みたいな感じで話すなよ」


「颯人が禿げても嫌いにならないけど、笑って過ごそう?約束ね」


「お兄はすぐ一人で悩むから、悩んだらどっちかに話して」


「わかった。ありがとな」


「じゃあ、お兄、自撮り棒を持って」


亜香里が小さいステッキみたいなものを取り出して、それをどんどんと引っ張って伸ばしていく。


先端にスマホを装着。それを俺に渡された。


「これは?どう?撮れば?」


「顔認識したら、5秒毎に勝手に撮ってくれる」


なるほど、便利だ。


亜香里が俺の右に、望美が俺の左に来る。


自撮り棒が写らないようにするにはっと・・・斜め上に自撮り棒を構える俺。


「颯人、撮り方下手だね。そんなに自分の頭写さなくても禿げてないから大丈夫だよ?」


「気にしてねーよ!」


「お兄、もっとハーレム王っぽく、肩に手を回して抱き寄せて」


「どこのホストだよ!」


あー、もう、悩む暇が無いぐらい、姉妹が俺に絡んでくる。


こんな調子で良いのかなー。絶対ダメだよなー。まぁ、こいつらに心配されるよりは良いか。


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