第64話 もう止まることは許されない

俺は昨日あったことをとりあえず全部瑞稀さんに喋った。


だが、瑞稀さんは興味無さそうに窓の外を見て相槌を打っているだけだ。


まぁ、そりゃあ昨日あったことの話だけしてもわからないよな。もっと望美について掘り下げて伝えないと。



「ねぇ、あれ、今話題のあなたの幼馴染じゃないの?」


「は?」


店の窓の外を眺めていた瑞稀さんが指差す。


あっ、ほんとだ。望美だ。間違い無い。駅の方向に向かうみたいだ。信号待ちをしている。


ポニーテールではない。お団子頭でも無い。セミロングの髪。


いや、つーかなぜ制服着てるんだ?


「ですね。あいつ、今日来てたんだ」


「・・・尾行するわよ」


「え?俺まだ食べてないんですけど」


「死ね」


直球すぎるわ。


ちょっと待って瑞稀さん。何であなたも来るんですか。




ーーーーーー




前を歩く望美の歩くスピードが、遅い。いつも一緒に帰ってる時は、俺の先を行く癖に。


店を出て望美に追いつくのは簡単だった。だけど、注意しないと俺と瑞稀さんが追いついてしまいそうだ。


「声かけても別に良いけど、どうする?」


「瑞稀さんが尾行したいんじゃないんですか?」


「本人に直接聞いたほうが早いからよ。そして、あの子に彼氏がいたら諦めなさい」


「望美は彼氏なんていませんよ」


「ちょっと、顔怖いわよ。ごめん、そこまで怒るとは思わなかったわ」


「いや、すみません。幼馴染のことになると、癖で顔が怖くなるんです」


駅前に着いた。休日の時計塔の下は、カップルの片割れが相手を待つ場所だ。


その集団を近くで見ながら、立ち尽くしてる、望美。


くっそ。


「彼女、寂しそうな顔をしてるわね。あ、ナンパ君が来たわよ?助けにーーーーーーー」






「俺の彼女に話しかけるなよ!!!」


時計塔の下の全ての人がこちらを見る。構いやしない。


ナンパ君はこちらを見て腰を抜かしている。構いやしない。


「はや、ちゃん・・・?」


なんて顔してんだよおまえ。泣いてんのか?


「行くぞ。確認したいことがある」


俺は望美の手を取ってズンズンと歩き始める。


瑞稀さんを横目に見るが、俺に向かって手を振っている。相談料ってことで俺の野菜ライスバーガー食べてください。


「はや、ちゃん。手が、痛いよ。どこ、行くの?」


「俺の家だ。いいだろ?」


「ダメ、だよ?亜香里に、悪いよ・・・」


亜香里亜香里うるせーな。


「はな、して。い、やっ」


離さない。俺の嫉妬がやばいことはお前も知ってるだろ?


「俺の方が、嫌だ。離さない」


「なん、でっ?どうして?」


こんなとこで言うことじゃ無い。すまん、望美。


「ひっぐ。やさしく、しないで?期待、させないで?はやちゃん、手を、離して?」


俺は自分自身に対して吐きそうだ。怒りが湧いてくる。こいつを追い詰めたのは俺だ。


早く決めなかった俺が悪い。


俺は自分勝手だ。何をするにも自分勝手。おまえと一緒にいる俺は、とんでもない自己中男だ。


信号が赤で歩みが止まってしまった。


振り払われそうな手を、もう一度優しく握る。


こんな場所で告白したくはない、でも、こいつが知りたいなら答えよう。


望美は涙をポロポロと流していた。俺は、望美の方を向いて、言う。


「聞いてくれ」


「いやぁ、ききたく、ないよぉ」


「頼むから」


周りの視線が痛い。でも、そんなことどうでもいい。


「亜香里が、好きな、くせに。ひっぐ。わたし、なんて、どうだって、いい、でしょう?」


「違う。そんなこと言ってない」


「ひっぐ。言って、たよ。寝言で」


寝言かよ!!知らねーよ!!


「あのさぁ、俺が寝言で何言ってたかは全然知らない。自分じゃわかりようがない。でも、ひとつだけ、わかることがある」


「・・・・・・」


「俺は、おまえと、キスしたい。もう、おまえとキスすることしか、考えられない」


「はや、ちゃん・・・!!」


「俺は、望美が好きだ。付き合ってくれ」


「ひっぐ。ううう・・・いいの?わたしで、ほんとにいいの?」


「望美がいいんだ。後は何もいらない」


「えっぐ。ありがとう、はやちゃん。わたしも、颯人が、大好きだよ」


俺はそのまま望美の唇を奪った。


ムードもへったくれもない、駅前近くの交差点。俺は望美と付き合うことに決めた。


絶対、望美を離さない。こいつの涙に誓った。










ーーーーーー


作者より。寝取られ回避からの一直線!


感想ください。お願いします!無理だったらレビューお願いします!!


今から亜香里書くぜよ(しぬ

時間をかけますね。


タイトル詐欺してごめんなさい。正直、これから面白く書けません。作者の後書きみたいなものが欲しければ書くけど、いります?


亜香里、亜香里・・・。


これからが地獄だ。



追記、感想たくさんありがとうございます。作者は感想が無いと不安になるので、どしどし感想をお願いします。



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