第26話 完全間話 三匹の大豚の暴走

作者より。亜香里成分不足補給のため、作者の完全遊びです。





木曜日のーーー亜香里同好会存続の危機!


長男は戦慄した。なんと姫が同学年の男と下校しようとしているではないか!


どうにも我慢することができない!姫が遠い存在になる前に、あらゆる手段を使って引き止める算段だ。


しかも、その相手は一人では無い。上田、下田、中田、向田、北田、南田・・・姫の相手は様々に入れ替わるようだ。なぜか共通しているのは、苗字に『田』がついているということ。


これは由々しき事態だ。姫に気に入られるためなら、自分たちだって名前に『田』を入れる覚悟はある。それが唯一の生き残る術ならば、我ら三人は喜んで改名をしよう。


「大兄様は何をしているのか・・・」


大兄様のそばにいることが姫のためでもあった。


ここにきて大兄様は姉・・・五橋先輩に心酔し、姫をないがしろにしている。姫に寂しさを味わわせてしまった。


やはり拙者達は真の兄様になり、姫を救わなければならない。そうだ、上田だか下田だか知らないが、部外者達に任せておめおめと引き下がる拙者達ではない!


「姫!もう暗いですが、遊びに行きませう!!」


「・・・長男、邪魔しないで」


「え?あんたら誰・・・?」


「我々は、だ○ご三兄弟だ!」


「そんなに気に入ったの?ダメだよ、使いすぎちゃ」


次男よ、そんなに睨むで無い。彼は坊主頭の好青年ではないか。そんなに血の涙を流すほど悔しいか!

月城という、大兄様の知り合いにバリカンで刈ってもらえ!


三男よ、耐えるのだ。まだ見ぬ姫の思い人におまえは成り代わらなければならない。長髪のお前は髪型ならどんなやつでもなれるだろう。後はダイエット一緒に頑張ろう!


「姫、我々では不満ですか?我々は三人なので、ローテーションであなたの悲しみを癒します」


「出番が無くて寂しかったの?」


「然り!然り!」


「うーん。お兄は今お姉とイチャイチャしてる。そっちに追い返すのもかわいそう。後でお姉に怒られそうだし」


「え、マジでこいつら何?友達?」


「友達は上田だけ」


ぐぬぬぬ。ナチュラルにイチャつきおって、拙者達の目玉が腐る前になんとかしなくては・・・。


「おい、貴様。姫が寂しさのあまり男を変えて下校してるのを知っているのか!?」


「そうなの?」


「お兄と帰って何が悪いの?お兄に言いつけるよ?」


「姫!目を覚ましてください!」


「何卒!何卒!」


「わたし、どんなに都合良く貴方達のことを使っても、嫌いたく無い。わかる?」


「ぐっ。わかってくださらぬか!」


「お兄もそうだけど、どうして勝手に嫉妬ばかりして暴走するの?わたし、そういうのお兄だけで十分で、恋愛とか全く興味無いから」


「え?」

「え?」

「え?」

「え?」


「これで十分?」


「ア、ハイ」


「じゃあ下がって。仕事終わらせてきて」


「御意」



ダダダダダダ


ちくしょおおお!!!いっそ嫌いになってくれよおおお!中途半端な優しさが一番傷つくよおおおお!!








「油田は、恋愛とか、興味ある?」


「油田は金になるんじゃないか?」


「上田は、わたしのこと、好きにならないでね」


「あ、ああ。俺はバスケ一筋だ」


「そう」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る