第21話 俺のチーム?控えめに言って神です。
内容は10分一本。時間は流し。
ーーー試合が始まった。
「ドドスコスコスコ、ディーフェンス!!」
「お前がやらなきゃ、誰がやる〜〜ハイハイハイハイ!!パーパーパーパパ、パーパパーパパ、パーパーパー、そーれ竜ヶ崎!」
バスケ部一年の応援が響き渡る。
ジャンプボールを制した神崎、ボールが俺に渡る。
肘を張り、ボールをキープ。
俺を追い越していくプレーヤーたち。
ふぅ、と息を吐く。
ハーフコートを俯瞰する俺の目に入るのは、体育館の照明、こちらを見るギャラリー、リング、目の前の舌出しディフェンスくん。そして、動き回る赤と青のゼッケン。
この感じ、久々だな。なぜだか、懐かしさが込み上げてきた。
「よっしゃ、一本行くぞ」
ドリブルして感触を確かめる。うん、問題ない。
望美と目が合う、がパスは出さない。月城の圧が強すぎて俺が躊躇した。絶対パスカット狙ってやがる。
攻め所はどこやろな?
金森先輩か上田になるんだろうけど、金森先輩、出てきてくれないかな。
しっかしみんなやけに中央スペース空けてくれてんな。
ドライブしろってか?
神崎と目が合う。
ーーー行け、と口パクで言われた。
俺は左にフェイントを入れて肩を入れながらロールバック。右手で切り込み、そのままレイアップシュートーーー
と、目の前にカバーが来て手が伸びてくる。
ので、俺は空中で静止、一旦溜めを作って、奥側から片手でシュートする。
ポールはなんとかゴールに入った。
所謂これがダブルクラッチって言う技だ。
「うおおおおお!!」
ギャラリーから声が聞こえる。だいたい薫の声だ。うぜえ。
「魅せるねー水谷くん」
金森先輩に声をかけられる。
「先輩、攻め所が少ないです。もっとボールもらいに来てください」
「はいよっ。頼りにしてね」
まじで頼みますよ?
舌出しディフェンスくんは攻めてても舌を出す。おまえ、犬なのか?
体力を温存したいので、抜き気味にディフェンスする。
志多がパス。竜ヶ崎先輩だ。やべっ、やる気満々じゃん。竜ヶ崎先輩に対しているのは上田だ。おい、抜かれるなよ?
左サイドの竜ヶ崎先輩が右にドライブしてきた。当然、俺は中央にいるからヘルプする。
だが、不規則な動きで躱される。
ーーー!ギャロップステップかよ。
ステップを通常のレイアップと変えることで、相手を置き去りにする技だ。
先輩のレイアップシュートは綺麗にゴールに吸い込まれる。
これで2対2だ。
「すみません、先輩」
上田、しゃべる暇はない。謝るなら、やり返せ。よっ!
俺は先に走ってた望美に片手でロングパス。望美はキャッチするが、もう月城が戻っている。速攻失敗だ。
金森先輩が中央に走り込む。望美はパスを出すが、金森先輩はボールを受け取るものの、ディフェンスに阻まれてシュートまで行けない。
と、竜ヶ崎先輩が金森先輩に近づいてボールを取ろうとしてる。
こらあああ卑怯者!
女子は女子とバスケやらせろよ!
が、竜ヶ崎先輩が中に絞ったことで、上田がフリーになる。
金森先輩が上田にパス!
「おまえ、シューターだったのかよ」
俺が入ると確信してしまう、綺麗なフォーム。
スリーポイントラインの外から打った上田のシュートは、綺麗にゴールに吸い込まれた。
これで5対2。
「先輩、もっとパスください」
「うるせーよ。自分でディフェンス剥がしてから言え!あと、ディフェンス代われ!」
上田はこっちを見ると、こくっ、と頷く。
体力無いからディフェンスしないなんて言い訳はもうしない。
「竜ヶ崎先輩、宜しくです」
「僕につく気か。やめときなよ。五橋の前で恥かきたくないだろ?」
随分と余裕そうな顔してやがる。
この人俺をイラつかせる天才だわ。
「ここで先輩を止めます。明日勝負できないくらい、徹底的に」
「筋肉痛で泣いても知らないよ?」
泣くかよ。先輩こそ、
「泣かせてみせてください」
うん、準備不足だから膝が笑う可能性はあるけどな。
ここからが本番だ!
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