第196話タリム領に帰って来る
そうミヤーコに指摘されたわたくしは、皺くちゃになった着物姿を旦那様に見られる事を想像して、わたくしはそのまま寝そべりそうになるの寸前のところで堪えて、姿勢を正す
「だ、旦那様にそんな姿は見せられませんわっ!!」
そんなわたくしの姿を見た杏奈としおりんさんがくすくすと笑うではないか。
「そ、想像していたよりも精神的に疲れてしまったので寝そべりたいと思う事は何もおかしくはないですわっ」
「ご、ごめんごめん。 笑った事は謝るけど別にミヤーコに指摘された事を笑ったんじゃないよ?」
「そ? そうなんですの?」
「そうなんですの。 どちらかというと私たちは『シャーリーは本当に旦那様の事が大好きなんだなぁー』とほほ笑んでいただけだよ?」
「そ、それはそれで……、は、恥かしいですわっ」
そう杏奈から指摘されると急に先ほどまでの行動が恥ずかしくなり、顔が熱くなってくるのが分かる。
そして杏奈さんやさおりんだけではなく、みやーこにも旦那様を出してわたくしに指摘をしたという事は間違いなくバレバレなのだろう。
いや、確かに杏奈やしおりんにはどうすれば旦那様を振り無kさえる事が出来るのかなどの相談をした事があるので、わたくしが旦那様を好きだというその事自体は別に恥ずかしくはない。
むしろ乙女のように旦那様の事が、皺になった服を見られたくない程に大好きなのだという感情から出た行動を見られた事が恥かしいのである。
まるで見られてはいけない恥ずかしい物を見られたような、そんな感情に近い。
「あーもうっ、シャーリーちゃんは可愛いんだからっ!! そんなシャーリーちゃんにはしおりお姉さんが抱きしめてあげるっ!!」
「いや、それはそれで着物が皺になるでしょに、詩織」
「そ、そうですよしおりんっ! 着物が皺クチャになってしまいますわっ!」
「大丈夫大丈夫っ! 少しくらいならばなんてことないからっ!! 多分」
「い、いましおりん多分って言いましたわっ!! わたくし聞きましたわっ!!」
「むぅ、本当にシャーリーちゃんは旦那様の事が好きなんだから。 少し嫉妬しちゃうかも」
「あ、それは分かるかも。 私たちのシャーリーちゃんを独り占めされてるような感覚は確かにあるよね」
「ほんとう、少しくらい私達にも分けてくれても良いのに」
「そうだそうだーっ!!」
「そ、そう言われましても、わたくしが勝手に旦那様の事を、その、お、お慕い申しているだけですし……」
「あっ、照れてるシャーリーちゃんも可愛いっ!!」
そして馬車は姦しくも安全に、盗賊に襲われることもなくタリム領に帰って来る事ができたのであった。
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